ジム フィットネス HYROX

「走るのが大嫌い」だった39歳が18kg減 医薬品開発マンが“あえて”ジムを立ち上げた「仲間と続けるフィットネスの力」

「学生時代は、いかにして走らずに済むかばかり考えていました」

そう苦笑いするのは、製薬業界で多忙な日々を送る傍ら、埼玉県の大宮に自らグループフィットネスジムを立ち上げた日下春樹(くさか・はるき/39)さんだ。

かつての日下さんは、身長163cm、体重は72〜73kg。今より18kgほど重く、24時間ジムに通うも挫折。「自分は運動が続かない人間だ」と決めつけていた。そんな日下さんの人生を180度変えたのは、HYROX(ハイロックス)と、そこで出会った「仲間」の存在だった。

日下さん

ジムを始めたきっかけは、自身が通っていたグループフィットネスジムの閉鎖だった。

「あの空間のつながりや空気感、コミュニティがすごく好きだったんです。それがなくなってしまって、“こういう場所を自分自身で創りたい”と思いました」

その想いが、今のジムという形になった。

日下さんは学生時代、ハンドボールなど球技は好きだったが、マラソンや駅伝のような“ただ走るだけ”の運動は苦手だった。

「ボールがあれば走れるんですけど、普通に走るのは本当に苦手で。高校卒業以降はほとんど運動習慣がありませんでした」

仲間と出たHYROXで「世界が広がった」

転機となったのは、仲間と挑戦したレースだった。

日下さんが通っていたグループフィットネスジムでは、ただ運動をするだけではなかった。ジムのメンバーたちと一緒に、スパルタンレースやHYROX、トレイルランなどの大会に挑戦する文化があった。

「ジムの中だけじゃなくて、“みんなでレースに出よう”という空気があったんです。一歩踏み出したら、どんどん楽しくなっていって。『これをやるには走らないとな』と思って走るようになったり、レースに出ようと思ったり。身体はそれに合わせて勝手に変わっていきました」

気づけば、“嫌いだったはずの走ること”が、自然と日常の一部になっていた。

なかでも特に大きな存在になったのが、HYROXだった。

HYROXは、1kmのランニングとファンクショナルトレーニングを交互に繰り返す競技。体力だけでなく、持久力や筋力、精神力も求められる。

日下さんは、横浜大会でシングルに挑戦、その後大阪大会で仲間4人とリレーに出場。さらにシングルにも挑戦した。

「リレーはもともとのジムの仲間4人で出たんですけど、ものすごく楽しかったです。シングルで出たときも、一緒に練習した仲間が応援してくれたり、会場で見つけて声をかけてくれたりして。走っているときに応援してもらえるのが本当に力になりました」

HYROXは、自分と向き合い続ける競技でもある。それでも、日下さんはそこに「一人じゃない」という不思議な感覚を見出した。

「近くで仲間が応援してくれているから、逃げられない。でも、その逃げられない環境こそが、自分を次のステージに連れて行ってくれるんです。練習した分だけできるようになる。前より速く走れるようになったり、体だけじゃなくてメンタルも変わっていったり。HYROXを通して、自分がレベルアップしていく感覚があります」

初心者でも飛び込めば、世界は広がる

Coone Fitness

現在、日下さんのジム「Coone Fitness」では、少人数制のグループフィットネスを行っている。単なるトレーニングではなく、「仲間と続けられる環境」を重視しているのが特徴だ。コーチが1人つき、自重トレーニングやダンベルを使った筋力トレーニング、心拍数を上げるメニュー、HYROXにつながる動きなどを組み合わせている。

スタジオで最大10名、初心者から経験者まで、その日の参加者に合わせてメニューを変えている。

「HYROXにつながる動きといっても、走る、持つ、押すといった、人の基本的な動作なんです。だから初心者の人でも、『日常生活で身体が動きやすくなった』『ケガをしにくくなった』と感じてもらえますし、経験者はさらにパフォーマンスを上げることができます」

実際、ジムには「運動は久しぶり」という人から、「もっと追い込みたい」という人まで、さまざまな人が集まっている。

「HYROXの機材を触ったことがない人でも、やってみると『楽しかった』と言ってくれることが多いです。そこから運動習慣になってくれたらうれしいですね」

日下さん自身、大宮周辺にはHYROXの練習ができる場所がなく、遠くまで通わなければならなかった経験がある。そのため、自分のジムが地域の“ハブ”になればいいと考えている。

「ジムの中で、次のHYROXに誰と出ようか、どうやって出ようか、という話が自然に出ています。そういうつながりができる場所になれたらと思っています」

最後に、日下さんはこれから何かを始めたいと思っている人たちへ、こう語った。

「僕自身もそうでしたが、新しいことを始めるときって、すごくハードルが高く感じると思います。でも、いざ飛び込んでみたら、その先にはすごく世界が広がっていました。HYROXも、最初は自分が出ていいのか不安でした。そう思う人もいると思うけど、一回やってみる価値は本当にあると思います。少なくとも、自分の世界は確実に変わりました」

取材・文:FITNESS LOVE編集部 写真提供:日下春樹

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