容姿へのコンプレックスや人生の苦しさを抱えながらも、筋トレとボディメイクを通じて自分自身を取り戻した、大学生のT(23)さん。今年5月、松山市総合コミュニティセンターで『ベストボディ・ジャパン2026松山大会』が開催され、フィットネスモデル部門ガールズクラス(18歳~34歳)では「生きるために筋トレを選んだ」と話すTさんがグランプリを獲得した。
【写真】エネルギッシュな力強さが美しい、Tさんのステージショット

身体だけでなく人生そのものを変えた筋トレ
Tさんはもともと太りやすい体質で、中学、高校、そして社会人になっても周りから「かわいくない」「太っている」と言われることに深く傷つき、ずっとコンプレックスを抱えていた。
「3年ほど前に大会の存在を知り、健康的な美しさを競う世界に憧れを抱いたものの、『私には無理だろう』と諦めていました」
昨年、一度はベストボディ・ジャパンの大会に出ようと減量を試みたものの、食欲に抗えずに食べてしまい、一気にリバウンド。アルバイトも上手くいかず、心身ともに追い詰められ、一時はすべてに絶望し、生きる気力を失いかけていたという。
そんな崖っぷちの状況だった昨年の11月、「もう失うものはない。最後の賭けだと思って、死ぬ気でステージに挑戦してみよう」と、最後の一歩として本格的なトレーニングを再開した。
「ボディメイクを死ぬ気でやって、容姿でバカにしてきたやつらを見返してやるんだって思っていました。最初はそんな反骨心からでしたが、筋トレを続けるうちに身体が変わり始め、『自分にも可能性があるのでは?』と感じられるようになったんです」
以前は周りの目が気になり「私も細くならなきゃ」と焦っていたが、次第に「周りが細いから私も細くなる、じゃなくて、自分が絞りたいと思うから絞るんだ」という思考へと変化していった。
「私が憧れたのは、細いだけではなく、健康的で筋肉のある美しい身体です。黒髪でも、一重まぶたでも、手足がたくましくてもいい。人と比べるのではなく、自分の個性を受け入れたいと思うようになりました。私にとって、ステージは自分を表現する場所の一つです」
目指す姿のために苦手な筋トレを継続
「むしろ筋トレは苦手」と話すTさんは、『笑いながらの筋トレ』を実践しているそうだ。
「週3~4回、1回1時間ほど行っています。部位分けは、脚・背中・胸の3分割です。筋トレ中は、あえて笑顔を意識しています。『楽しいから笑う』のではなく、『笑うから楽しくなる』と考えているからです。身体だけでなく、心も鍛えるつもりで取り組んでいたところ、最近では『表情も明るくなった』と褒められることが増えました」
Tさんは大好きな揚げ物を我慢しながら、5カ月かけて減量した。
「タンパク質と炭水化物をしっかり取ることを意識して減量しました。ただ、減量を急ぎすぎたことで気持ちに余裕がなくなり、家族に強く当たってしまった点は反省点です。今後はもっと長い期間をかけて、心にも余裕を持ちながら健康的に身体を作っていきたいと思っています。夢は……日本大会です!」
暗い過去にさようなら、筋トレで手に入れた「無敵の私」
「筋トレを始める前は、自分の居場所がどこにもないように感じていました。バイト先や学校が全てだと思っていました」
しかし、いまTさんの目の前には全く違う世界が広がっている。
「今では、世界が輝いて見えています。生きていてよかった!毎日が楽しくなった!筋トレで無敵になれた!ステージもあるし、私にはちゃんと居場所があると思えるようになりました」
「暗い私にさようならできた!」と笑うTさん。周囲を驚かせたいという気持ちも芽生え始めているという。
これからは、ステージがあり、応援してくれる人がいて、挑戦したい目標がある。「自分らしさを大切にしながら、誰が見ても元気をもらえるような存在になりたい!」と意気込むTさんは、多くの人へ『自分らしく生きる勇気』を与えてくれる存在だ。
ワンポイント大会用語
・フィットネスモデル部門
極度に発達し過ぎた筋肉ではなく、バランス良く発達している筋肉が好ましい。その筋肉を魅力的に魅せる表現力も評価される。
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取材・文・撮影:山口夏織
フィットネスからグルメ&レジャー、経済紙まで様々なジャンルで執筆&撮影を行う、歌う筋肉クリエイター。自身もボディコンテストへの参加経験があり、日々鍛えている。どちらかといえば猫派、某チョコはきのこ派。
-ベストボディ選手, コンテスト
-BBJ, ベストボディ・ジャパン










