APF選手 コンテスト

36歳女優が初のボディコンテストで2位 「プロテイン+しらす+焼き海苔を常備します」

10月18日(日)、東京・武蔵村山市民会館で開催された「APF ALL OUT CHAMPIONSHIPS 2026」に初出場した女優の山下麻衣(やました・まい/36)さんは、プロテイン、しらす、焼き海苔を生活の場に備え、食事管理を続けた。ウィメンズフィットウェアモデルのニュービー、一般の両クラスと、ランウェイモデル・イブニングドレスのミドルクラスの計3部門で2位に入賞した。

【写真】36歳女優・山下麻衣さんが初コンテストで披露した引き締まった背中
山下麻衣さん

魚が60gしかない日に、何を足すか

名古屋市在住で、芸名「須原麻衣」で活動する山下さんは、ダンサーであり、夫の天ぷら店の女将でもある。日中の仕事から店へ向かう際など、競技者として必要な食事を取れない場面があった。

同じ三重県出身で幼なじみの、トレーナー香取健(かとり・けん/36)さんの指導で、タンパク質・脂質・炭水化物(PFC)を1日分でまとめて調整するのではなく、1食ごとに決めた量を取ることにしていたという。

店のまかないでは、脂質の多い天ぷらの代わりに、タンパク質が豊富な刺身などの魚を出してもらったが、半熟卵1個と魚75~90gを食べたいのに、魚が60gしかない日があった。香取さんに「足りなかった」と報告すると、「間違ってもいいから、自分で対策を2パターン考えて出してみて」と課題が出たという。

「鶏胸肉を15~30g足すのは、その量だけ調理するのが面倒。卵を2個にすると脂質がオーバーしてしまう」。山下さんは考えた末、しらすに行き着いた。

「しらすは冷凍しておけるし、解凍すればすぐに食べられる。しかも、食べていて、実際のグラム数より多く感じるので満足感もあるんです」。脂質や糖質を抑えてタンパク質を補える点も、当時の食事に合っていた。自宅では10gずつ小分けにして冷凍し、店にも備える。職場には置いていない。

店の後にトレーニングをする日は、食後に空ける時間も考え、おにぎりとプロテインの軽食にすることがあった。その備えとしてプロテインを店に置き、職場にも常備。

また、香取さんから食物繊維やミネラルを取るよう指導され、その食材選択として海苔を活用。おにぎりには焼き海苔を巻くようにしているが、持参し忘れた日が続いたため職場に置いたのだ。

ごま油とジュースで考えた「その分、何を減らすか」

食材を足すときには失敗もあった。鶏胸肉の味に飽き、「良い油だし」とごま油を垂らしたのだ。「ほんの少し、垂らしただけなんです(笑)」。店では客からドリンクをごちそうになり、お酒の代わりにオレンジジュースを1杯飲んだこともある。

山下さんが香取さんから注意を受けたのは、ごま油やオレンジジュースを取り入れる際、1食のPFCや満足感への影響まで考えていなかったことだ。山下さんによると、香取さんからは、限られたPFCの中で脂質を取るなら魚から、ジュースを飲むなら糖質に相当する分の米を減らす、といった選び方を説明された。ビタミンはすでにサプリメントで補っていたという。

ジュースを飲むか、その分の米を食べるか。どちらが満足でき、後でつらくならないかまで考える必要があった。「どうしても取りたいものなら、満足感より気持ちが上がるほうを選んでもいいと思います。でも、そういうわけではなかった。きちんと調べて、考えて選択しなくてはいけないなと思いました」

「足りなかった」という報告から、足すものを備える工夫へ

食事の写真と内容、時刻をスマホで報告し、迷ったときは相談する。香取さんは、山下さんがノートにまとめ、「この場合はこうだからこうしたほうが良いよね?」と自分の案を添えて相談するようになったことを評価する。

山下さんが大会に向けた準備の中で直面した課題と、それに対する具体的な対策、そして日常生活に応用できる工夫は以下の通りである。

1. 用意した食材(魚)が予定の量に足りない
山下さんの対策:不足分を「しらす」で補った。自宅では10gずつ小分けにして冷凍保存し、店のほうにも備えておくことで、不足時にすぐ調整できる体制を整えた。

自分の生活で試す工夫:少量ずつ足しやすい食品(しらす、納豆、冷凍野菜など)をあらかじめ決め、使いやすい分量に小分けしてストックしておくとよい。

2. 店の仕事後にトレーニングがあり、通常の食事では開始が遅くなる
山下さんの対策:トレーニングがある日は、おにぎりとプロテインによる軽食に切り替えた。素早く補給できるよう、プロテインは店と職場の両方に常備した。

自分の生活で試す工夫:予定が変わる日の食事タイミングと内容をあらかじめ想定し、必要な軽食や栄養補給源を「食べる場所(職場や持ち歩くバッグ)」に用意しておくのが有効である。

3. おにぎりに巻く焼き海苔を持参し忘れる
山下さんの対策:持ち忘れを防ぐため、焼き海苔を職場に常備することにした(夫の店にはもともと置いてあった)。

自分の生活で試す工夫:持ち歩くことで忘れがちな食品やサプリメントは、持参する手間を減らすため、利用する場所に最初から置き場所を決めておくとよい。

4. 「身体に良さそう」とごま油やジュースを予定外に加えてしまう
山下さんの対策:単に「身体に良さそう」という理由で追加せず、1食のPFC(タンパク質・脂質・炭水化物)の中で他の食品をどう調整するか、また食べた後の満足感が十分得られるかまで考慮して判断した。

自分の生活で試す工夫:予定外のものを追加したくなった際は、まず「何を補いたいのか」目的を明確にし、いつもの食事との組み合わせで満足できるかを一度立ち止まって考えることが大切である。

※補足
これらは山下さんが大会に向けて取り組んだ際の一例である。取り入れた食品や分量は、当時の山下さんの目標とトレーナー(香取さん)の指導内容に合わせたものである。

まずは、食事で困りやすい場面を一つ振り返り、そこで使うものを用意しておく。食べる場所と準備を結び付ける山下さんの工夫は、仕事で忙しい日々を送る中で食事を改善しなければとお悩みの方をはじめ、栄養素の質や量を意識して取りたいトレーニーにとって、食事を整えるための手掛かりになるのではないだろうか。

■ワンポイント用語
APF:Asia Physique Federationの略。さまざまな衣装や審査基準の部門を設けるボディコンテスト団体。
ウィメンズフィットウェアモデル:フィットネスウェアとスニーカーで、身体や表現、服装の総合的なバランスを競う部門。ニュービーはAPF登録初年度の選手向け(同クラスで3位以内に入賞後は対象外)。一般は経験豊富な選手も出場するオープンクラス。
ランウェイモデル・イブニングドレス:ドレス姿で、健康的なボディラインや歩き方、表現などを競う部門。ミドルクラスは満36~49歳が対象。

取材・文:久米大郎 写真:高坂裕希

執筆者:久米大郎
数学書の編集者、フィットネスライター。都内の出版社に勤務する傍ら、自らもボディビル競技に取り組む。2024年マッスルゲート埼玉大会ボディビル65kg以下級3位、2025年東京ノービスボディビル選手権大会男子ボディビル55kg以下級2位。筋トレ情報サイト「FITNESS LOVE」では、競技者としての経験と編集者の視点を生かし、選手の挑戦や身体づくりの工夫を伝えている。徳島県徳島市出身、神奈川県大和市在住。

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