「地元が京都で大学も近くだったんで、とても思い出深い懐かしい場所。この場所で素晴らしい結果が得られたことがとても嬉しいです!」
2024年6月16日(日)に行われたマッスルゲート京都大会。ウーマンズレギンス50歳以下の部、ウーマンズレギンス一般の部163cm以下級、ウーマンズレギンスフィットネス一般の部163cm以下級の3つのカテゴリーで1位を獲得したのが、山本千佳(やまもと・ちか/40)選手だ。
「トレーニング始めたのが、去年の12月です。2月のマッスルゲート大阪高槻大会に向けてダイエットとトレーニングをはじめました」
2月11日(日)マッスルゲート大阪高槻大会では、2つのカテゴリーが4位で悔しい思いをした。
「絞りが甘かったことと、ポージングもすごく下手くそだったんです。なので今回の京都大会の間に食事のバランスとポージングの見直しをしました。食事はバランスを考えながらも、量はストレスなくしっかり食べてました。あとはトレーニングの強度ではなく質を上げる、そしてしっかり寝る、といったことをしてできるだけストレスがないようにダイエットをしました」
トレーニングは週に2回程度で、食事も過度に制限をしないと言う山本選手。
その考えの背景には、過去にダイエットで辛い思いをしたことがあった。
「30歳ぐらいのとき、一度だけボディコンテストに出場したことがあるんです。そのときは、めちゃくちゃハードなダイエットをしていました。食事はいわゆる『食べないダイエット』で、常に栄養が不足している状態でした。それでもジムでは毎日追い込むようにトレーニングをして、その後に有酸素運動としてキックボクシングへ行ってました」
過度な食事制限の上、毎日のハードな運動で心と身体は日に日に疲弊していった。
「そんな日々を過ごしていると、あるときから鬱っぽくなりました。そしてホルモンバランスも崩してしまいました。ボディコンテストが終わってからも『太るのが怖い』と思うようになっていて、もう本当、拒食症一歩前でした」
こういった経験から山本選手は『フィットネスとは何か』を深く考えるようになったという。
今回のマッスルゲートではこういった背景から、『追い込まない。自分を大切にする』ということを決めてボディメイクを行った。
「それでもやっぱりダイエットは、自分の思ったようにいかなかったです。それでも、『とりあえず頑張ってる自分を認めよう!』と思うようにしていました。上手くいかないときも、気持ちを楽にしてみようというか、自分を追い詰めることはやめようと思うようにしていました」
特に食事はいわゆる減量食といったものをほとんど意識せずに、ストレスフリーに食事を楽しんだ。
「平日はもう普通の食事です。お米、牛肉、魚、鶏肉のようなタンパク質に、海藻類のサラダ。量もほとんど決めてません。週末はケーキ食べたり、焼肉食べに行ったり、居酒屋にも行ったりしてました。実は大会前日もビール飲んでました!」
人間の欲求を満たすことで、快適な運動ができて心身ともに健康になると考えていると語る山本選手。
山本選手は、運動もただ重量を上げて追い込むトレーニングではなく、『正しいフォームでいかに刺激を入れられるか』を重要視するようにしている。
「自分の筋肉の構造とかにも興味があって調べたりしてるんですけど、姿勢やフォーム、自分が効かせたいところに効いているかを意識してやっています。そうすると、そんなに重量あげなくても、かなり筋肉痛になります。トレーニングを重量を上げて追い込む方法をやめてから、特に身体のラインがハッキリして、細かい筋肉が見えるようになってきました」
こうして食事や運動も追い込むことからストレスフリーに意識を変えた結果、心も身体も変化が出たようだ。
「正直大会当日も浮腫みがあって『どうしよう』って思ったんですけど、そこも自分を信じて焦らずに動じないようにリラックスしてました。そうすると会場に着いたときに汗をかいてむくみが引いてきたんです。なんかたまたま偶然コンディションが噛み合いました」
自分を追い込まずに信じる。動じない心が心身ともに自分を良い方向に変えてくれたと語る山本選手。
「目標もあります。これからもストレスフリーにボディメイクをして、いつかビキニでバッキバキの身体になりたいです!」
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取材:柳瀬康宏 撮影:上村倫代