マッスルゲート選手 コンテスト

「下半身やべーな」とコソコソ言われた学生時代 隠していた太ももを武器にウェルネス競技で優勝した30歳

4月20日、安城市民会館で『マッスルゲート愛知春季大会』が開催された。ウーマンズウェルネス部門で見事に優勝を手にしたのは、介護福祉士として働きながら、夜間は理学療法士養成校に通うという多忙な毎日を送る神﨑綾(かんざき・あや/30)さんだった。

【写真】太ももを武器に変え優勝を掴んだ神﨑綾さん

「小学生のころから太ももが太いことがコンプレックスでした。ズボンを履くと太ももだけパツパツで、『太もも太いんだから、もっと大きいズボン買えば?』とか『あいつ下半身やべーな』とコソコソ言われたこともありました。モデルさんのような細い脚が欲しいと、ずっと願っていました」と、過去の苦い思い出を語ってくれた。

そんな神﨑さんが、どのようにコンプレックスを乗り越え、大会優勝にたどり着いたのか、話を伺った。

「最初は脚を細くしたくてパーソナルジムに通い始めたんです。でも、初めてトレーニングでパンプアップを体感して、『ムキムキを目指してみたいかも』って思い始めました。それに、もともとメンタルが弱く精神疾患も抱えていたので、SNSで『筋トレがうつ病克服に効果的』という話を見て、半信半疑ながらやってみる価値はあるかもと、本格的にボディメイクにのめり込んでいきました」

当初の目的は脚を細くすることだったが、トレーニングを続けるうちに意識が変わっていったという。

「週4回はジムに通い、脚トレ中心に励みました。中でも45度レッグプレスがすごく効果的で、重量も約2カ月で+100kg挙げれるようになりました。ズボンが入らないのは脂肪やむくみのせいだと思っていましたが、トレーニングを通じて、筋肉がちゃんと育っているのを感じて、自分の脚も悪くないなって思えるようになったんです」

脚への劣等感が、トレーニングを重ねるうちに誇りへと変わっていった。減量中の食事管理にも、神﨑さんならではの工夫があった。

「基本は白米+味噌汁+鶏胸肉を中心に、野菜を組み合わせるシンプルな食事でした。小柄ですが食べるのが好きなので、よく噛んで食事に時間をかけるようにしていましたね。あとは冷たい水が好きなので、水を1日4リットル飲んで間食を防いでいました」

一見、順調に見えるボディメイクの道のりだが、実際には何度も挫折を経験していた。

「甘いものが大好きで、減量中も誘惑に負けることが多々ありました。それに、ジムやSNSで他のトレーニーと自分を比べてしまい、『どうせ自分なんか……』と落ち込むことも何度もありました」

それでも神﨑さんは、筋トレを続けることで確実に心身ともに成長していったのだ。

「今のトレーナーさんと出会い、『ウェルネスに出てみよう!』と提案されたときはびっくりしました。最初は、コンプレックスを突かれた気がして正直傷つきました(笑)。でも、とりあえず出場してみようとレギンスカテゴリーに挑戦し、ステージに立つ楽しさに目覚めたんです。そして今回、思い切ってウーマンズウェルネス部門に挑戦しました」

そして迎えた大会で、見事優勝。神﨑さんは、その喜びをこう語る。

「素直にうれしかったです。これまで金メダルなんて無縁だったので、『この私でも1位を獲れたんだ!』って、自信になりました」

筋トレを始めてからは、仕事にもうれしい変化が現れたという。

「小柄だったので、以前は周囲から重い物を持つのを手伝ってもらうことが多かったんですが、今では自分より体重の重い利用者さんの介助や物品運びも任されるようになりました。この前は、体格のいい上司すら開けられなかったボトルの蓋を、私が一瞬で開けて、みんな驚いてました(笑)」

そして今後の目標についてはこう語ってくれた。

「いろんな団体のウェルネスカテゴリーに出場したいです。もっとバルクアップして、服を着ていても筋肉がわかるくらいのスタイルを目指したい!やっぱり筋肉のある女性って、かっこいいですよね!」

かつて隠したかった太ももは、今や神﨑さんの誇りとなった。これからも、自らの限界を超えて、輝き続けるだろう。

神﨑綾さん

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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取材:佐藤佑樹 撮影:上村倫代

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