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「ここで勝てないと次はない」 再浮上を懸けた45歳の決断【2026年日本クラス別ボディビル選手権・注目優勝者インタビュー】70kg以下級優勝/加藤直之

昨年の日本選手権では10位。崖っぷちに立たされた加藤直之は、自身にある決断を下した。25年の競技生活で初めて、有酸素運動を一切行わず、筋量を残すことにフォーカス。生き残りを懸け、再浮上を果たそうとしている45歳が、決断の理由と日本選手権への思いを明かした。

[月刊ボディビルディング2026年11月号より]

加藤直之

2026年日本クラス別ボディビル選手権70kg以下級優勝の加藤直之

――今回の日本クラス別選手権には、並々ならぬ意気込みを抱いて臨んだと思います。

加藤 おっしゃる通り、かなり強い緊張感を持って挑みました。昨年の日本選手権は10位という成績に終わりました。今回は「ここで勝てないと次はない」という気持ちでした。

――日本クラス別から勢いをつけて再浮上を果たしたという点では、昨年、同年代の須山翔太郎選手が非常にいい見本を見せてくれたと思います。

加藤 大きな刺激を受けました。須山さんの存在は、僕の中では一緒に戦ってきた戦友だと、勝手に思っています。須山さんがやれるなら、自分もやれるんだという気持ちでやってきました。

――ただ、実際に試合に臨むにあたっては、怖さもあったのではないでしょうか。

加藤 ものすごく怖かったです。できれば逃げたかったほどです。特に日本クラス別は、これまでに多くの波乱を生んできた大会です。何が起こるか分からないのが日本クラス別の怖さであり、楽しさです。

でも、怖かったですが、「出る」という選択肢しかありませんでした。自分にできることを精いっぱいやろうという思いで取り組みました。

――「自分にできることを精いっぱいやる」という点で、今年はこれまでと違う取り組みができたというのはありますか?

加藤 去年と同じことをやっていても、勝てないですから。僕はもうおっさんです(苦笑)。変えたのは有酸素運動です。今回は、まったくやりませんでした。これは現役生活で初めての試みです。去年は絞りにフォーカスして失敗し、小さくなってしまいました。だから今年は筋量にフォーカスして、そこを突き詰めました。

――有酸素運動をまったくやらないというのは、ものすごく勇気のいる決断ではないでしょうか。

加藤 ですが、意外なほど予想通りに体重は落ちていきました。しかも疲労を最小限に抑えられ、トレーニングの調子もよかった。いくつになっても、発見はあるものですね。

――有酸素運動をやらない分、摂取カロリーを減らしたというのは?

加藤 摂取カロリーも、あまり減らしていないんです。それでも減量が進んでいったのは、これは感覚的な話になってしまうのですが、例年より活動量が増えていたんだと思います。

疲労が少なかったので、かなり動けていたという実感はあるんです。トレーニングもしっかりとできました。今は特に現場に出る仕事なので、現場でもテキパキと動いていました。生活代謝が上がったのではないかと、勝手に推測しています。

――ここから日本選手権までは、どのように進めたいですか?

加藤 今の日本選手権は“大きさの時代”にあると感じています。その中で自分がどう戦っていくかと考えると、やはり筋肉量は絶対に必要です。当たり前のことですが、今回の日本クラス別選手権の時点での筋肉量を維持しつつ、もう少し皮膚感も出していきたいです。

――加藤選手といえば、肩の怪我に泣かされた時期もありました。

加藤 今ではラットプルダウンもしっかり引けるようになりましたし、ダンベルプレスの重量も戻ってきています。欠場する以前の2021年ごろの強度に戻せてきました。膝と股関節の調子も良くなってきて、しっかりと脚のトレーニングもできています。

筋力が戻ってきたからか、筋量を残せたというのもあると思います。「おじさんはまだまだ頑張れるよ」というところを見せていきたいです(笑)。

PROFILE|加藤直之(かとう・なおゆき)

1981年2月14日生まれ/45歳/埼玉県出身/身長161cm/体重69〜70(オン)、74〜75kg(オフ)/ゴールドジムアドバンストレーナー/2019年日本男子ボディビル選手権3位/2021年日本クラス別ボディビル選手権70kg以下級優勝。2025年日本男子ボディビル選手権10位。2026年日本クラス別ボディビル選手権70kg以下級優勝

取材・文:藤本かずまさ 撮影:中原義史

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