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筋トレで初めて得た自己肯定感。学生ボディビルダーはこうして生まれる

トレーニングを始めるきっかけは「痩せたい」「かっこよくなりたい」「強くなりたい」など人それぞれ。なかには、軽い動機で始めたトレーニングで人生が一気にいい方向に転換する人もいる。8月29日、富山・とやま自遊館で開催されたマッスルゲート北陸大会でボディビルデビューを飾った内田匠選手もその一人だ。

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「それまで僕には熱中できるものがあまりなく、何をやっても中途半端な状態でした。勉強も得意ではなく、かといって中学時代に所属していたテニス部でも特に成績を残せるわけでもなく…。それこそ中途半端どころか何をやってもうまくいかないと思うことばかりでした」

いわゆる、特にこれといった取り柄がない子どもだったという内田選手。そんな彼が出会ったのが、トレーニングだった。

「中学生のころに友だちから誘われてトレーニングを始めたのですが、自分の身体が変わっていくことが実感できました。1カ月ごとに鏡を見たり、数カ月前の自分の写真を見たりすると、明らかに身体が変わっていることが分かって、それが凄くうれしかったんです。友達からも『すごいなあ』って言ってもらえて、初めて僕という存在を認めてもらえたような感覚になりました。『これだったら僕でもできる』『やるべきものがやっと見つかった』と思いました」

トレーニングを行うことで初めて得た自己肯定感。高校に進学しても、この筋肉を生かすことを考えた。

「周囲の人たちに認めてもらった筋肉を生かすために、ラグビー部に入りました。そこではラグビーのためのトレーニングももちろんやるのですが、自分にとって欠かせないボディメイクのトレーニングも続けました。ラグビー部はすごい身体をした人たちばかりなんですが、そういう人たちからも『お前はすごいな』と認めてもらえました。最終的には部活でのウエイトトレーニングを管轄するトレーニングリーダーという役職にも選んでいただけました」

そして迎えた大学進学。内田選手が進んだのは、やはりあの大学のあのクラブだった。

「理系の大学への進学も考えたのですが、やはり僕にとってはボディメイク、フィットネスという道が今一番楽しく、自分がやりたくてやっているものを大事にしたいと思いました。今の自分に一番合っているものは何かを考え、日本体育大学に進学して、バーベルクラブに入りました」

日体大のバーベルクラブは岡田隆先生が部長を務める学生ボディビルの名門。2019年にミスター東京、日本選手権ファイナリストになった相澤隼人選手が所属する強豪クラブだ。

「当初、1年生の間は試合に出場するつもりはなかったのですが、相澤隼人さんに説明会で会ったときに『迷っているんだったら出るべきだ』と。同級生にも大会出場経験者が何人かいるのですが、そういう人たちからも背中を押されました。そして関東学生選手権でのデビュー戦を考えて減量に入ったら、バーベルクラブの友達から『そのペースだったら早めに仕上がるし、もう1試合出てみたら』と言われ、マッスルゲートへの出場を進められました」

結果はボディビル新人の部、大学生の部で優勝。立派な成績を勝ち取った。

「バーベルクラブのみんなは、ポーズの取り方すら分からない僕をひとりの仲間として支えてくれました。僕からは何も教えられることがないので、受け取ったもの大会で出し切って、結果で返すしかないと思っていました。隼人さんも手取り足取り教えてくださいました。実際にここまでこられたのはバーベルクラブに所属していたからこそだと思います」

続く2戦目は9月26日の関東学生選手権。内田選手のボディビルライフが始まった。

「大会に出られる人間になったということに関して、自分なりに一歩成長できたと思います。これは決して大袈裟な表現ではなく、トレーニングに出会えて本当に人生が変わりました」

取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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