コンテスト womens

フルタイムの営業職と家事、育児の分刻みのスケジュールの中、昨年の悔しさを胸に挑んだ大会「コンテストが私を成長させてくれた」

高久あゆみさんボディコンテストでの受賞の瞬間。選手たちが流す涙には、その人なりのさまざまな意味がある。12月10日(日)、埼玉・三郷市文化会館で開催された『Super Body Contest(SBC)2023 FINAL』のSBC部門で、MONARCH(40~49歳)クラス2位となった高久あゆみ(たかく・あゆみ/45)さんの場合は――。

【写真】高久あゆみさんの美しいS字ライン

「目指していた1位を逃したので、もちろん悔しさもあります。でも、ここまでできることはすべてやってきて、張り詰めた気持ちがゆるんだような、解放されてホッとしたような、これで終わりだという寂しさのような、本当にいろいろな感情があふれて、涙が出てきてしまいました」

実は、2022年12月のSBCファイナルをもって休養に入ろうと決めていた高久さん。ふだんはフルタイムの営業職につくかたわら、家事、育児と多忙な日々を送っており、分刻みのスケジュールに追われることも少なくなかったという。

「毎日走り回りながら、30分時間があったらそこにトレーニングや家事など何をどう詰め込んでいくかという生活で(苦笑)。ずっと気持ちを張り詰めて過ごしてきたので、2022年はとにかくできることをやり切って、納得した上で一度お休みしようと」

これが最後と決め、2022年のファイナルではモノキニビキニ着用の「SBC MONOKINI」部門と、SBCの中でも筋量が求められる部門「SBC」部門にダブルエントリー。前者では腰からヒップにかけての美しいS字ラインが評価され、年齢別クラスを制したが、全年齢の優勝者で競うChampion of the show(総合優勝)は惜しくも逃した。また、もう一つのSBC部門は2位という結果に。

「モノキニでは総合優勝、SBCではクラス優勝を目指していたので、2ヵ月くらいはやっぱりずっと悔しかったですね。それで、『こんなに悔しさをずっと抱えたままで過ごしていくのも苦しいな。だったらあと1年だけ頑張ってみよう』と思い直しました」

コンテストでの悔しさは、コンテストでしか晴らせない。その一念でこの1年を過ごした高久さん。筋量アップをテーマに、つねに重量を意識したトレーニングを重ねる一方、ポージングも『2022年とは比べられないくらい』と自負するほど練習回数を重ねた。

「コンテスト専門のトレーナーの方についていただいたのも、私にとっては大きかったです。コンテストで勝つには1年間をいかに戦略的に送るかが大事で、ただ鍛えるだけではダメな世界なんだと。ボディコンテストの難しさや奥深さを改めて勉強させていただきました」

「もうこれ以上、やるべきことはない」と言い切れるほど、十全に準備を重ねてのぞんだ2023年ファイナル。高久さんは昨年クラス別で優勝し、今シーズンも地方大会を制したMONOKINI部門ではなく、あえてSBC部門1本に絞って出場した。

「様々な部門がある中で、このコンテストの代名詞であるSBC部門で勝負したいという気持ちが私の中ではあって。評価される身体は部門によって違うので、ダブルエントリーでどっちつかずになって後悔するより、やっぱりSBCに全てを懸けたいなと思いました」

運命の結果発表。「2位」で呼ばれた高久さんは、穏やかな笑顔と共に涙を流した。

「順位にはすごく納得していますし、SBCに出場した3年間も本当に充実していました。最初の年はファーストコールにも呼ばれず、最高でも4位。こっそり出て、こっそり帰るような選手でした。そんな私でも、少しは成長できたことが嬉しい。でも、最後はまた『悔しい』で終わってしまいましたね(苦笑)」

やり切ったことに悔いなし。ただ、少しの悔しさは昨年同様、じわじわと引きずってしまうかもしれない。来シーズン、彼女が下す決断は――。

次ページ:高久あゆみさんの美しいS字ライン

取材:藤村幸代  撮影:上村倫代

次のページへ >


-コンテスト, womens
-,