熱中は人生の楽しさを倍増させてくれる。部活で汗と涙を流した日々を、社会人になり懐かしく思う人も多いのではないだろうか。秦里加子(はた・りかこ/27)さんも、厳しい部活動に捧げた熱中の日々に、社会人で再び出会い人生を輝かせた一人だ。
「中高校時代は陸上とソフトテニス、大学はラクロスと運動一筋の学生時代でした。今は営業の仕事をしていますが、どんなときもあの頃の辛さに比べれば乗り切れると自信を持って言えるほど厳しくも充実した毎日でした」
秦さんは、2年前から国内最大手ボディコンテスト団体ベストボディ・ジャパンに出場し、10月12日(土)に行われた『ベストボディ・ジャパン2024静岡大会』で3位と上位入賞に食い込んだ。
トレーニングを始めたのは社会人3年目に受けたショックがきっかけだ。厳しい部活動で揉まれ、鍛えられた身体には自信があった。しかしある日ふと鏡を見たとき、そこにかつての自分はいなかった。
「体重はそんなに変わっていないのに、いつの間にか身体のラインが変わっていました。輪郭が緩んでぼやけているような。過去の自分からかけ離れた姿に危機を感じ、近所にできたチョコザップに入会しました」
チョコザップは都内では街を歩けばひと区画に一軒は見かけるほどの店舗数を持ち、トレーニングウェアもシューズも持たずに通える『コンビニジム』として、人気を博す24時間型無人トレーニングジムだ。
「とにかく何か運動を始めたいという気持ちで駆け込みました。トレーニングの仕方を動画で学んで、見よう見まねからのスタートです。そのうち少しずつ重量が上がるようになり、本格的にトレーニングを学んでみたいという気持ちで別のジムに移籍しました」
秦さんは今でもトレーニングの種目名やマシン名はあまり分からないという。しかし、強い味方がいた。運動歴の深い友人達は秦さんのジム通いを歓迎し、合同で指導をしてくれた。
「男性から教えてもらう機会が多いので、追い込みやボリュームは女性のなかではかなり多いほうかもしれません。知識がない分、量でカバーしようと長い日は3時間鍛えています。これは仕事柄、行けない日が多いのを想定して全身をやりきるから長くなっているというのはあります」
通い始めた当初、ジムへの出発時間は23時を超えることもしばしばだったという。それでも通い続けられたのは大会の出場という目標があったからだという。
「友達と一緒に出ようと約束したからには頑張ろうと思いました。気づいたら実際に出るのは私一人になってしまっていたのですが(笑)、出場してみたら本当に楽しくて、もっと続けようと思いました」
飲み会が多いなかの減量は大変だが、周囲も大会前には理解して応援してくれるそうだ。
「まだ食事もポージングも試行錯誤ですが、仕事以外でも昔のように真剣に打ち込めることができ、自分がアップグレードされていくのがすごく楽しいです。あまりジムに通えないときだも、日常でも階段を使う、30分くらいの距離なら散歩ついでに歩くなどちょっとしたことでも身体は変わっていきます。これからも定期的に出場に挑戦したいです」
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用も行うマルチライター。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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