「本当に楽しかった!」
日本最大規模の参加者を誇る人気ボディコンテストである『ベストボディ・ジャパン2025岐阜大会』にて、ミス・ベストボディ部門レディースクラス(30歳〜39歳)で、初出場の高木恵理(たかぎ・えり/34)さんが準グランプリを獲得した。ステージから降りた途端に喜びを爆発させた背景には、自分自身を取り戻すための長い葛藤と努力があった。
【写真】引き締まったお尻と艶やかなボディラインの高木恵理さん
「自分は誰のために生きてるんだろう」から始まった挑戦
高木さんは美容が大好きで、20歳で結婚する前はバッチリメイクとヘアセットが日常だった。しかし、結婚と出産を経て、周囲から「まだそんな格好してるの?」と言われるようになり、好きな自分をすべて封印。周囲から浮かないように、母らしくあらねばと自分を戒めて子育てに追われるなかで、「子どものことは大好きだけど、自分が誰のために生きているのか分からなくなった」と心の葛藤が募っていった。
昨年、仕事での昇進が決まり、生活がさらにハードになったことで心の不調に限界を感じた高木さんは追い詰められたすえ、ふと「逃げるなら最後に好きなことをしよう」とコンテストのセミナーに参加した。当時はまだふくよかな体型だったが、「絶対大丈夫!出なよ!」という講師からの後押しを受け、出場を決意した。
心身を整えることから始まったボディメイク
17年間、ありとあらゆるダイエットを試しても痩せなかったという高木さん。7年間ジムには通い続けていたが、夫の反対もあり、早朝にこっそりトレーニングし、家族が起きる前に帰宅する生活を送っていた。
「コンテスト出場を決めてからは、フィットネスに没頭する日々が楽しくてたまりませんでした。大会当日は何色の水着を着よう、どんな髪型にしようと考えるだけでワクワクしました。14年ぶりに自分自身と再会したような気持ちでした」
すると驚くことに、これまで変化のなかった体重がスルスルと落ち始めた。これまでの生活と変えたのは何かを抜くのではなく、バランスよく食べること、早寝早起きで睡眠をしっかりとり、半身浴でリラックスし、朝に散歩して日光を浴びることだけだったという。
「ダイエットにはストレス管理と、基礎的な生活を整えることが最優先。お金をかけてジムに行く前に、まず心と生活習慣を見直すことが大事だと気づきました」
ステージでの輝きがつくった新たな家族の絆
1年間の準備を経て、ステージに立った感想を聞いた。
「高いヒールを履き、好きなメイクと髪型で輝く瞬間は至福でした。誰にも抑圧されず、ありのままの自分を肯定された気持ちになりました」
大会後、予想外のことが起こった。渋々観戦に来ていたはずの夫から「こんなに頑張ってるとは思わなかった。今までわかってあげられなくてごめん」との言葉が。子どもからは「2番だったけどママが一番きれいだった」と手紙をもらい、高木さんは涙した。
「準グランプリより、家族の言葉が何よりうれしかったです」
高木さんは今後も大会出場を続けたいと意欲を見せる。目標は「見た目だけでなく、内面から美しいと思われる人間になりたい」。自分を愛し、ありのままを生きる姿こそが人を最も美しく輝かせるのかもしれない。
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取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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