「トレーニングにおいて、何が自分に合うかが一番大切」
そう教えてくれたのは、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)のビキニフィットネス競技で活躍する善本富久美(よしもと・ふくみ/36)選手。2024年は競技2年目でありながら、ビキニフィットネス競技で世界選手権4位、国内の大会でも年齢別で2位の成績を収めている。
【写真】競技2年目で世界4位!スーパーウーマン・善本富久美選手の肩とお尻
パーソナルトレーナー・専門学校の非常勤講師・家業の事務補助と3足のわらじを履きながら子育ても行うスーパーウーマン。そんな善本選手にトレーニングの秘訣や考え方、自身も課題だった「肩とお尻」のおすすめ種目などを伺ってみた。
お尻や肩の筋肉を5分割で考える
競技歴こそ2年目ではあるものの、身体作りへの情熱は人一倍。中学では砲丸投げ、高校ではさらに円盤投げとやり投げの選手だった。このバックボーンゆえに強い部位もあるが、課題を感じていたのは肩とお尻。
「お尻に関しては殿筋を5つに分けて考えています。腰から上の部分、腰から下の部分いわゆるお尻のトップ、大殿筋の外側と内側、そしてお尻の下部。ここまで細かく分けて考えているのは、お尻の厚みときれいな丸みを作りたいからです」
お尻の成長に一役買ってくれているのがブルガリアンスクワット。お尻の中でも善本選手自身が足りないと考えている「お尻の下部」を意識しながら、トレーニングをしているという。
肩も同様に、「フロント」「サイド寄りのフロント」「サイド」「サイド寄りのリア」「リア」で細かく分けている。善本選手が「ダンベル様様!」と表現するほど、肩を成長させてくれたダンベル種目。行っているのは1回持ったらバリエーションを変えて追い込むスタイルだ。
「例えばサイドレイズをするとき。10回できるかできないかぐらいの重さで行ったら、重量を半分以下に落としたダンベルで追い込みをかけていきます。手首の角度や腕の方向で若干入りが変わるので、そういったバリエーションも使いながら肩もまぁるく育てています」
トレーニング方法は一番自分に合うものを
トレーニング自体が全くの初心者であれば、マシン種目からやってみるといい、と善本選手。「肩はショルダープレス、お尻はヒップアブダクションが分かりやすいかもしれません」と教えてくれた。
ショルダープレスで注意すべき点が多いダンベルを使うと、「苦手意識をもつ要素になると思う」とのことで、どの部位においてもまずは “ 部位の筋肉を動かす感覚をつかむのが大切 ”なのだ。
善本選手自身もトレーニング方法は色々な人のところへ学びに行く。お尻であれば『桃尻大学』をプロデュースしている鳥海真央さんがベースで、肩や背中を大きくしたいと思えばフィジーク選手に聞きに行くそうだ。
「カテゴリーにとらわれることなく色々な話を聞くことで学びになります。間違いなく勉強にはなりますが、何が自分に合うかが一番大切。聞きに行って試してみて、自分にとって感覚がいいものを採用していますね」
子どもたちが学校に行っている間、善本選手は学びと実践を繰り返す。今年の目標を尋ねると「もう一度、世界の舞台に立ちたい。だから去年より全身改造します!」と力強い声で話してくれた。スーパーウーマンは、今年どこまでスーパーな存在になるだろうか。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピング講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
次ページ:競技2年目で世界4位!スーパーウーマン・善本富久美選手の肩とお尻
取材・文:小笠拡子 撮影:中原義史、中島康介