「ウエストが太くなるからスクワットをしないでおこう、と思っていた時期もありました。でもそれじゃ進化しないよなって。なので、今年の1月からボディビルダー・加藤直之選手のもとで脚トレを始めたんです」
こう話してくれたのは小倉あれず(おぐら・あれず/27)選手。小倉選手といえばイランと日本のハーフで、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)の中でも、特に競技人口が高いビキニフィットネスのトップ選手だ。
ビキニとボディビルはあまり交わることがないカテゴリー。加えて、実は「かなり人見知り」だという小倉選手。トップボディビルダーのパーソナルを受ける背景と、その中身をのぞいてみた。
初心に戻り、ひたすらスクワット!
事の発端は世界選手権(※)で同室だった加來紗織選手に、自身の課題である脚の成長について相談したことだった。加來選手が「加藤さんいいよ」と勧めてくれたことがきっかけとなる。
「競技を始めたころから、加藤直之選手のことは知っていました。個人的にボディビルダーって頂点だと思っていて。ビルダーの方達って、シンプルで基本のトレーニングをすごくやる。身体を進化させるために、私も初心に立ち返ろうと思いました」
小倉選手は毎年、脚の筋量が課題だと話していた。これまでも、下半身強化のためのパーソナルトレーニングをたまに単発で受けていたが、加藤選手のパーソナルは月2回に固定。競技人生の中で初めての定期パーソナルだそうだ。
受けているパーソナルメニューは
バーベルスクワット:55〜60kgを10回3セット、40kgを10回2セット
ハックスクワット:5セットほど
レッグプレス:5セットほど
レッグエクステンション&シシースクワット:5セット
と、かなりのボリューム。
脚トレの基本種目を徹底的にやり込み、加藤選手に追い込んでもらうのが目的だ。ちなみに加藤選手と初めて喋ったのは1回目のパーソナルのとき。人見知りを大発動させながらも、脚を追い込んでもらったという。
「自分でも追い込みますが、それ以上に追い込まれます。普通に吐きそうになりますし、パーソナル中に耳鳴りもしちゃって(笑)。でもこの脚トレを乗り越えたら、絶対に脚は変わるなと思っています」と、小倉選手。
普段からかなりハードなトレーニングをしているであろう、ビキニのトップ選手でもキツいそうだ。
「もう嫌です」
「ダメです、やってください」
「嫌です」
こういったやりとりをパーソナル中に何度も交わしているのだそうだ。それほどまでに苦しい脚トレをするのも、すべては過去一の身体をつくるため。今年の小倉あれず選手は、一味違う姿を見せてくれそうだ。
※2024年12月17日(火)~19日(木)に東京・有明コロシアムで開催された『IFBB世界フィットネス選手権&男子ワールドカップ』のこと。小倉あれず選手は世界フィットネス選手権、加藤直之選手は男子ワールドカップに出場した。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピング講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
取材・文:小笠拡子 撮影:中原義史、中島康介