60歳になる年で初めての大会に出場し、2024年の『JBBF兵庫オープン』や『JBBF東北・北海道選手権大会』で入賞を果たした福士博子(ふくし・ひろこ/62)さん。4年前にトレーニングを始め、JBBFのフィットモデルとビキニフィットネス両カテゴリーで活躍している現役会社員だ。
【写真】福士博子さんの鍛え上げられた身体ときれいなアウトライン
きっかけは偶然だった。しかし、その偶然が、人生を大きく動かす選択へと変わっていく。
「初めてJBBFの大会を観たとき、本当に衝撃でした。選手の方々の仕上がった身体もそうですが、それ以上にこだわりのレベルが想像以上で。私が知らなかったことを、皆さんは当たり前にやっていたんです」
PFCバランス、食事タイミング、トレーニング内容の調整ーー。
最初は驚きの連続だったが、いつしか福士さん自身も、同じように当たり前に取り入れるようになっていた。
トレーニングを始めたきっかけはもう一つある。
「ハイパーナイフ(※)を体験したくて検索した店舗で、たまたまビキニのトップ選手で審査員もされている長瀬陽子さんが担当してくれたんです。そのときに団体や競技の魅力をたくさん教えていただいて、『カッコ良い!私も頑張ってみたい!』と心が躍りました」
※ハイパーナイフはラジオ波によって、身体を芯から温め代謝改善やむくみの軽減を目指せる他、痩せやすい体質を目指せる施術
事務職歴が長かった福士さんにとって、激しく動く筋トレは未知の世界で、分からないことが多かったという。特に悩みだったのが腰や下半身のダブつき。それを変えてくれたのが、バーベルスクワットだった。
「最初は恐る恐るでしたが、パーソナルトレーナーの先生方にスクワットのフォームやコツを教えてもらい、少しずつ重量を増やしていきました。80kgまで扱えるようになったとき、鏡に映る自分の後ろ姿に驚きました。腰回りがガラッと変わったんです」
食事にも変化が生まれた。脂質を抑えつつ、タンパク質はしっかり摂る。
「朝はFAVO LINK(※)のミールリプレイスメントに豆腐とフルーツを入れて、時短しながらも栄養バランスは保つようにしています。脚トレのある日は元気が出る牛肉も食べます。美味しくて、力が出るって最高ですよね」
※ビキニ選手の安井友梨さんがプロデュースするフィットネスブランド
白米と味噌汁、塩麹で下味をつけた鶏胸肉やゆで卵、野菜のピクルスなども、福士さんの定番メニュー。すべて実際にやってみて、効果を感じたものばかりだ。
身体の変化は、周囲にもすぐに伝わった。
「『年齢詐称してるでしょ?』って言っていただけることもありました(笑)。正直それがすごくうれしかったです」
「私は見られる場所に出ないと頑張れないタイプだったんです。だから、コンテストに出ることで身体の変化も最短で出たんじゃないかなと思います」
自分で自分を応援する
「母がずっと応援してくれていたんです。今は亡くなりましたが、そのぶん、自分で自分を応援してます。『今日も頑張ったね』って、心の中で声をかけてあげるんです」
トレーニングを始めてからというもの、物事を客観的に見るようになり、自分の時間も自分自身も大切にするようになったという福士さん。最近では、「毎回会うたびに身体が変わってる!」と大会仲間から声をかけられることが一番うれしいと話す。
「筋トレって、こんなに楽しいとは思ってなかったんです。どんどん身体が変わっていくのが楽しくて、気づいたら夢中になっていました。健康でいるって、自分の人生の価値を高めることだと思うんです。自分を大切にすることのひとつが、運動だと思いますよ」
現在の目標は、ビキニフィットネスでトップ選手のみが参加できる『オールジャパン』での活躍と語る福士さん。やりたいことに挑戦することには年齢は関係ないと感じされられる。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピング講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材:柳瀬康宏 撮影:中島康介 写真提供:福士博子
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。NSCA認定パーソナルトレーナー,ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、NASM認定コレクティブエクササイズスペシャリスト。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年より毎年ボディコンテストに出場中。