近年、ボディビル人気が急上昇している。10月12日に開催される日本選手権のチケットは、販売開始からわずか15分で全席完売。筋肉美への憧れは女性にも広がり、多様なカテゴリーが生まれるなか、最も筋肉量と絞り込みが求められる女子フィジークにも注目が集まりつつある。
8月24日(日)、名古屋市で開催された『JBBF愛知県女子フィジーク選手権大会』でデビューした石川春菜(いしかわ・はるな/25)選手も、究極の筋肉美に魅了された一人だ。
脚トレに魅了され、ダイエットから筋肥大へ
「元々、外国の女性のような筋肉質な美しさが好きでした。1年半前、ダイエット目的でパーソナルトレーニングに通い始めたのですが、脚トレが楽しすぎて、痩せるより筋肥大がしたいと思うようになりました」
特に夢中になったのは、レッグエクステンション。
「大腿四頭筋にガツンと走る強烈な痛みと、トレーニング後の充実感、みるみる大きくなっていく脚の変化に虜になりました」
憧れの選手との出会い 試行錯誤で大会へ挑戦
女子フィジークを明確に目指すきっかけは、昨年『日本女子フィジーク選手権』(日本選手権)で3位入賞を果たし、今年の『日本クラス別選手権大会』女子フィジーク163cm超級で日本一に輝いた、原田理香選手との出会いだ。
「大会後に原田選手に声をかけたら、『日本選手権のステージで待ってるね』と言ってくれて。その言葉で出場を決めました」
トレーニング中心の生活を送るため時間の融通が効く仕事へシフト。ホテルの客室清掃員とジムスタッフのダブルワークをしながら、夢の舞台を目指す。
「初めての減量は、自分に合う食材を探すことからのスタートになったため、納得のいく絞りまでは間に合いませんでした。でも、白米で浮腫みやすくなることがわかり、お餅が減量に適しているという発見をしたので、来年に生かしたいです」
愛知から日本一へ 夢の第一歩
現在、日本選手権のファイナリストとして活躍するのは、40代・50代の選手が主力だ。愛知県大会でも、20代は6位入賞となった石川選手のみ。上位5名は30代1名、40代2名、60代2名だった。
しかし、2023年に28歳で日本選手権6位となった藤原彩香選手など新たな風も吹きつつある。藤原選手は今年の身長別日本一を競う『日本クラス別選手権大会』女子フィジーク158cm以下級では、2年連続日本女王の荻島順子選手についで2位となった。
「達成まで10年、20年かかるかもしれませんが、原田選手を始めとする憧れの方々と日本選手権の舞台に並びたいです。愛知県出身の女子フィジーク選手と言えば、私の名前が挙がる存在になりたい。まずは愛知県で1位を目指します」
ベテラン選手たちの築きあげてきた歴史を受け継ぐ新世代が、今、また新たに芽吹こうとしている。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。