「腸内環境を整えることは本当に大事。そういうところからの見直しで、30代のときより今の方が質感がとてもいいです!」
こう話すのは八木佑樹(やぎ・ゆうき/42)選手だ。
9月13日(土)、岩手県・盛岡市民ホールで開催された『オールジャパン・マスターズ フィットネスチャンピオンシップス2025』(以下、マスターズ)。本大会の「メンズフィジーク40歳以上172cm超級」と、階級の壁を超えて行われるオーバーオール審査で八木選手は2連覇を達成した。
きのこパワーで調子が爆あがり
八木選手はシェフでありながらパーソナルトレーニング指導も行う、マルチな才能を持つ。普段は狂気の男・合戸孝二選手が営むマッスルハウスジムでトレーニングをしており「死ぬほどやるのが普通(笑)」とのこと。
「30代のときは特に何も気にしていませんでした。でも40代に突入したときに、年齢的にこのままじゃどんどん落ちていくな、と思って。トレーニングはマッスルハウスでこれ以上できないぐらい追い込む。となれば、変えるところは『同じカロリーで何を食べるか』っていうところに行き着いたんです」
水分摂取のタイミングや量、筋肉に良い腸内環境の作り方を自分の中で見つけていった。昨年の大会もそれでうまくいったそうだが、今年はさらにブラッシュアップ。
減量中、特に良かったのはきのこ。食物繊維も豊富で、腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果もある。昨年は1日に半株だったところを、今年は1株にしてみると調子が良くなったそうだ。
なかでも八木選手はマイタケがおすすめだそうで「食感も良く、少ないカロリーで満腹感も得られます!カレー粉できのこを炒め、キャベツに乗せて食べるとめっちゃうまいです!」と教えてくれた。
1300kcalでも筋肉量を維持する
八木選手の減量では、末期になると1300kcalほどまで落とすという。
「そこまで落とすと、筋肉量も削られてしまうイメージを持つ人もいるかもしれません。ですが、筋肉量を維持できているのは、栄養の吸収率を上げているから。少ない摂取カロリーでなるべく筋肉の方に吸収できるように料理を作っています」
きのこのほかに、取り入れて良かったと思う食材を尋ねてみると、「大麦!」と八木選手。増量期ではお米5合に大麦50g、減量期では最終1.5合に大麦30gを混ぜて炊く。
自分の腸内細菌に餌をあげて数を増やすことが大切で、その餌となるのが「食物繊維」なのだそうだ。
「食物繊維を多く含む、大麦やきな粉、そしてきのこ類を食べることで腸内環境を整えます。同じ摂取カロリーでも『痩せ体質』になりますし、栄養吸収率も上がる。こうなると、筋肉にとってはより質感がアップするんですよね」
八木選手は9月21日(日)に兵庫で行われた『日本クラシックフィジーク選手権大会』にも出場。「40歳以上級」で4位入賞を果たした。自身のSNSで悔しい胸の内を投稿していたが、「また一から頑張ります」と前向きな言葉も。
腸内環境の大切さを見つめ直したことによって得た、今年の身体。身体づくりは、トレーニング以外にもあることを八木選手は改めて教えてくれた。
【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。
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取材・文:小笠拡子 撮影:中原義史
小笠拡子(おがさ・ひろこ)
ボディビルにハマり、毎年筋肉鑑賞への課金が止まらない地方在住のフリーランスライター。IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門で、毎月コツコツ筋肉鑑賞貯金をしている。