3年前、50歳を目前にしてトレーニングを始めた島嵜玉希(しまざき・たまき/52)さんは、昨年マッスルゲートのウーマンズレギンスカテゴリーで競技デビューしたばかり。
「運動とは、ほぼ無縁の生活を送ってきました。ボディメイクのきっかけは、お腹に3段の浮き輪肉ができてしまったから(苦笑)。痩せたくても何をどうすればいいか分からなかったので、パーソナルジムに通ったんです」
とにかく3段の浮き輪肉を無くしたい一心で努力した結果、「8kgの減量に成功した」と言う島嵜さん。しかし、その表情は少し曇っていた。
「数字で見たら体重は減って浮き輪肉もなくなり、トレーナーさんは願いを叶えてくださいました。ですが、目がくぼんでシワも増えてしまって……。思い描いていたのとは違う、貧相な身体になってしまったんです」
憧れていたのは、ほどよく引き締まったボディ。理想の身体を作るために島嵜さんは落とした体重をもう一度増やし、筋トレと食事を見てもらうようになった。週に2回のパーソナル、そして週に3回、トレーナーが組んだメニューで自主トレを行う日々。
理想の身体に向けて努力した結果、トレーニング前は30%近くあった体脂肪が今では18%程度に。全身の筋肉がまんべんなくついたことで、姿勢はスッと伸びて足取りは軽やか。「若い頃の自分より、今の自分が大好きです」と島嵜さんは朗らかに笑う。
※体脂肪率は市販の体組成計によるものです。
間食はなるべく手作りの甘味を
継続してトレーニングをすることで、島嵜さんは食事への意識も変わってきたそうだ。特に間食は選ぶようになったという。市販のお菓子ではなく、なるべく手作り。寒天やあんこ、皮から作ったクレープをおやつにしたり、小さなおにぎりを食べたりしている。
「たまに仕事帰り、飴とか食べちゃいますけど」と島嵜さんは笑うが、自分でカロリー調整する癖がついたのは大きな進歩。筋肉量も増えたことで代謝が良くなり、体重は落ちやすくなった実感もあるようだ。
ダイエットを始めた当初からパーソナルに通った島嵜さんは、「専門家に頼ること」の大切さを教えてくれた。
「トレーニングを始める前から痩せたいと思ってはいたんですが、挫折して継続できませんでした。いろいろな情報が飛び交う現代、パーソナルで見てもらうことでボディメイクを迷わずに進めたと思います。トレーニング、食事など身体にまつわる知識を教えていただけてありがたいですね」
島嵜さんの今シーズンの初戦は3月23日に愛媛県で行われた『マッスルゲート Women’s contest(ウーマンズコンテスト)』。ボディコンテストの登竜門とも呼ばれる『マッスルゲート』による初の試みで、女性限定の大会だ。
ウーマンズレギンスの「50歳以上60歳以下の部」、と「158cm以下級」の2カテゴリーで島嵜さんは2冠を達成。今年の12月に開催される、マッスルゲート全国大会への挑戦権を手にし、「良かった」と頬を緩める。
安堵した理由を尋ねてみると「筋トレは続けますが、冬まで大会を一旦おやすみしようかと。今年の夏に孫が生まれますから」と目尻を下げた。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:小笠拡子 撮影:北岡一浩