「気づいたら、上着の背中がビリッと……。えっ?え、え!?自分の身体がそんなに変わったの?」
そんな出来事を、笑いながら教えてくれたのは、レギンスフィットネス競技に挑戦するアナウンサーでありラジオパーソナリティでもある、北島直子(きたじま・なおこ/54)さん。
北島さんは2023年に地元・浜松で初めて、初心者でも参加できるボディコンテストの『マッスルゲート』に出場して以来、全国で数々のコンテストに出場し、どの大会でも上位成績を収める快進撃を続けている。
2024年には、マッスルゲート京都でウーマンズレギンス158cm以下級とウーマンズレギンスフィットネス158cm以下級のダブル入賞。そして今年の4月6日(日)に行われたマッスルゲート大阪では、健康的に締まった身体と素敵な笑顔を披露して、レギンス50歳超級、レギンス158cm以下級でそれぞれ優勝し、レギンスフィットネス158cm以下級で2位を達成した。
「年齢別と身長別、ダブルで金メダルってうれしいですね。50代からでも、金メダルってもらえるんだってうれしいです!」と、キラキラした表情で話す。
北島さんがトレーニングを始めたのは3年前。しかもそのきっかけは、なんとラジオの仕事だった。
「ゲストで来られたフィットネストレーナーさんが、ラジオ局と同じビルのゴールドジムで働いていて。話を聞いていたらジムに行く流れになりました(笑)」
それまでランニングは続けていたものの、筋トレはまったくの未経験だったという。それでも、2022年3月からゴールドジムに通い始めてみると、どんどん身体が変わっていった。
「50代から始めた筋トレですが、それでも身体って変わります。ある日上着を羽織ったら裏地が破けてしまい、自分の筋力と筋肉が増えたことを実感しました(笑)。何より『やってみよう!』っていう気持ちが大事。50代だからこそ、『今やらなきゃ』って思えたんです」
トレーニングは夕食後の時間に行うことで、日常と無理なく両立。家族や周囲の理解も、「やるべきことをやってるからこそ得られた」と話す。
食生活では、赤身肉や魚、納豆や豆腐を中心にたんぱく質をしっかり確保。炭水化物は玄米と雑穀米のブレンド、野菜や海藻もたっぷり。「脂っぽいものは元々好きじゃなくて」と語るあたりも、自然体な食事スタイルが伝わってくる。減量中は、腸内環境を整えるためにモズクやなめこを欠かさないという。
一人で各地の大会に出場するようになって、「どこでも行ける自分」にもなった。「今年の大会は、愛知、浜松、福島で出場予定です。昨年は熊本で食べた馬肉がおいしかったので、今年の夏の熊本大会にも出ようと思ってます」と話す表情は、まるで旅行の計画をしてワクワクしている学生のようだった。
目指すのは、くびれのあるメリハリボディ。その目標は、54歳になった今もアップデートされ続けている。
「気持ちって、どんどん若返ることができると思うんです。だから、『いつかやろう』じゃなくて、『今からやろう』ですよ!」
何かを始めるのに、年齢なんて関係ない。北島さんの言葉は、今を頑張るすべての人の背中を、そっと押してくれる。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材:柳瀬康宏 撮影:上村倫代
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。NSCA認定パーソナルトレーナー,ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、NASM認定コレクティブエクササイズスペシャリスト。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年より毎年ボディコンテストに出場中。