都会のようにトレーニング環境が整っていなくても、ボディメイクはできる——。それを自らの身体で体現するのが、八丈島在住の池田ことみ(いけだ・ことみ/23)さんだ。
長崎で生まれ育ち、3年前に八丈島へ移住。もともとは宅建士として働くために島に訪れたが、自然や人の温かさに惹かれ、そのまま移住を決意。2024年3月には土地家屋調査士として独立開業も果たした。
トレーニングを始めたきっかけは、女性のためのトレーニング&スポーツ専門誌『ウーマンズシェイプ』。「マッスルゲートに出ちゃいました」という記事を読み、「これだったら私にも出られるかも」と思ったのがスタートだった。
環境のせいにせず、工夫しながらトレーニング
トレーニングを始める前から雑誌を何十回も読み返し、出場者たちの歴史やトレーニング法を研究。「そのときのウーマンズシェイプは、ボロボロになるまで読み込みました」と笑う。
池田さんが通っているのは、個室ジム『トレーニングスペース 草野さん家』。マシンはなく、あるのは可変式ダンベル、フリーウエイトスペース、バイク、マルチラックのみ。だが池田さんは動きを工夫しながらトレーニングメニューを組み立てる。SNSで見つけた種目を試し、分からなければトレーナーに相談するスタイルだ。
「ジムの予約可能枠が1時間制なので、トレーニング時間は毎回1時間。胸・肩・背中・お腹・脚の5分割で、日曜日以外は毎日トレーニングしています。最近は仕事前の朝8時からやることが多いですね」
トレーニングは基本的に一人。パーソナルでフォームを習い、自分で復習。自分でやり方が分からなくなったときだけ見てもらう。
「誰かに見られてると本気が出せないんです。汗だくの姿や本気の形相をあまり見せたくなくて(笑)。一人でひたすら追い込むのが好きですね」
素潜りで絞る!? 島ならではの減量方法
ユニークなのは減量方法にも表れている。なんと「絞るために海に入る」のだ。八丈島にはプールがないため、減量期になるとウェットスーツを着て素潜りをすることもあるという。
「海に入ると体内の水分が抜けてむくみも取れるし、1時間素潜りすればかなり疲れる。しっかりカロリー消費できます」と、池田さん。
しかも、島にはマッチョなトレーナーが3人いて、彼らは海で魚やタコを獲ってくるそうだ。「そのマッチョたちが持ち帰った魚を、私もありがたくいただいています(笑)。自然のタンパク源ですよね!」
まさに“自給自足型ボディメイク”。大規模な設備や便利なアイテムがなくても、ボディメイクはできる。必要なのは「工夫」と「行動力」。八丈島で楽しみながらボディメイクに励む池田さんの声は、海のようにキラキラと輝いていた。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:小笠拡子 写真:北岡一浩
執筆者:小笠拡子(おがさ・ひろこ)
筋肉の世界にハマった地方在住のフリーランスライター。インタビュー記事を得意とし、IRONMAN・月刊ボディビルディング・Woman’s SHAPEなどで執筆・編集活動を行う。筋肉は見る専門。