2025年6月1日、カルッツかわさきで開催された『ONE PIECEボディメイクコンテスト』。ONE PIECEの世界観とボディメイクを融合させた前代未聞の大会で、見事“初代王者”の称号を手にしたのは、剣持央(けんもつ・あきら/30)選手。観客と審査員の心を一撃で射抜いたのは、筋肉の完成度だけではない。「ONE PIECE愛」と「成りきり力」、そして“気合い”だった。
普段は埼玉で美容師として働く剣持選手。筋トレを始めたのは約3年前、消防士の友人に誘われ、公園での懸垂からスタートした。
「最初は仕事帰りに少しずつ。そこからジムに通うようになって、今では週に6回、1回1時間ほどトレーニングしています」
コンテスト出場は今回が初めてだったが、堂々たる立ち居振る舞いと表現力で、初挑戦とは思えない存在感を放った。
「ONE PIECEが本当に大好きなんです。何が一番詳しいかって聞かれたら、人生で一番詳しいのはONE PIECEって言えるくらい」
そんな強い想いから出場を決意した剣持選手は、衣装、髪型、セリフのチョイスまで細部にこだわり、自らの手で“ルフィになりきる”準備を整えた。
トレーニングで意識している部位は肩と背中。特に肩は、軽めのダンベルを使い、片側ずつ“ネチネチ”と効かせるサイドレイズを重ねてきたという。
「普通のサイドレイズに加えて、インクラインでも丁寧に繰り返して効かせています」
技術や特別なメソッドではなく、地道な反復こそが、あの丸く発達した肩をつくった。
好きなシーンについて尋ねると、「アーロン編が好きですね」と少し照れながら話してくれた。
「ナミが“助けて”って言って、ルフィがアーロンを倒すあの場面は何度見ても泣けます」
“仲間のために怒れる強さ”を描いたシーンに惹かれるという剣持選手の感性は、コンテストでも随所ににじみ出ていた。
今後のボディコンテスト出場については「まだ何も考えていない」と語りつつも、「またONE PIECEのような大会があれば出てみたい」と笑顔を見せた。
初挑戦での優勝にも関わらず、気負いはなく、どこまでも自然体。だが、その内側にはONE PIECEへの深い愛と、真っすぐな筋肉への情熱が確かに燃えている。
ONE PIECEボディメイクコンテストの舞台で、「好き」と「鍛錬」をかけ合わせ、誰よりも高らかに叫んだ剣持央選手。その姿は、ただ筋肉が優れていたからではなく、作品と一体化していたからこそ、観る者の心を打ったのだろう。
取材:FITNESS LOVE編集部