5月24日(土)にパピヨン24ガスホールで開催された『マッスルゲート博多』。そのビキニフィットネスマスターズ35歳以上の部で優勝の栄冠を手にしたのは、石田美野(いしだ・みの/44)さんだった。だが、その華やかな舞台の裏には、深い葛藤と努力の日々があった。
「実家が牧場を営んでいるのですが、太っていたころに『牧場の動物みたいだな』と言われたことがあるんです。その言葉はいまだに忘れられませんし、涙が出るほど辛かった。でも、あの一言がなければ、今の自分はいなかったかもしれない。そう思うと、結果的には良かったのかもしれませんね(笑)」
もともとサーフィンなどアクティブな趣味を楽しんでいた石田さん。しかし、仕事の忙しさから次第に海から遠ざかり、心身のバランスを崩してしまう。
「プライベートも仕事もうまくいかず、気づけば心身ともに限界でした。何もやる気が起こらない、何もしたくない……でもこのままではひどい人生になってしまう。そんな自分から抜け出したくて筋トレを始めました」
しかし、トレーニングの道も一筋縄ではいかなかった。間違った減量方法でただただストレスが溜まっていく時期もあったという。それでも前を向き続けた石田さんは、トレーニングを通して、結果よりも挑戦することの大切さに気づいた。
「できる・できないに関係なく、何かにチャレンジしたい気持ちが芽生えました。前を向くだけじゃなくて、上を見る。トレーニングを通してそんな自分になれた気がします」
目指しているのは単に筋肉をつけるだけのボディメイクではない。
「健康的な身体と心を持った女性でいたいと思っています。周りの人にもパワーを与えられるようなエネルギッシュな人でいたいです」
「ひとまずコンテスト優勝という結果は手にできましたが、まだまだ私がやれることはあると思うので、これからも頑張り続けたいです」
コンテストでの優勝はあくまで通過点。これからも、粘り強く、楽しみながらトレーニングを続けていくつもりだ。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
文:林健太 写真提供:北岡一浩
パーソナルトレーナー、専門学校講師、ライティングなど幅広く活動するマルチフィットネストレーナー。マッスルゲートにも出場経験あり。