マッスルゲート選手 コンテスト

50歳元カヌーアスリートがボディコンテストで優勝 「鍛えた身体は競技のためのもので、見せるためものではない」と思っていたけど……

「今まであった筋肉の盛り上がりが何もなくなって、体型が崩れていくことが毎日ショックだった」

そう振り返るのは、輸出入業務の窓口として働く塩野(旧姓は脇若)綾(しおの・あや/50)さんだ。アメリカと日本の合弁企業で海外とのやりとりを担当しながら、50歳で本格的にボディメイクを開始。わずか1年余りで大会に出場し、入賞を重ねている。

今年出場した『マッスルゲート神奈川』ではウーマンズレギンス新人の部158cm以下級で優勝。その後も栃木大会、西東京大会と立て続けに出場し、西東京大会ではウーマンズレギンス158cm以下級3位、ウーマンズレギンスフィットネス158cm以下級3位に入った。

【写真】塩野綾さんの鍛えた肩で魅せるフロントポーズ写真を含む2枚

塩野綾さん

ハーフマラソン1時間42分 しかしコロナ禍で体型が崩れた

塩野さんは中学時代から運動を続け、社会人になってからもマラソンなどに取り組んでいた。毎年出場していたマラソン大会では、ハーフマラソン21kmを1時間42分で走った経験もある。

だが、コロナ禍を経て生活が変わると、身体は急激に変化した。

「マラソンやジム通いはしていたんですけど、コロナとかいろいろなことがあって、身体がめちゃくちゃ鈍ってしまったんです。今まであった筋肉の盛り上がりがなくなって、体型が崩れたことが本当にショックでした」

何か始めなければと思っていたとき、職場の先輩から「ボディメイクが合っているんじゃない?」と言われた。さらに、通っていたスポーツジムのトレーナーからも筋トレや食事のアドバイスを受け、背中を押された。

「職場の先輩とジムのコーチが、私の心に火をつけてくれた感じでした」

「見せる競技」に抵抗があった それでも挑戦して分かったこと

最初に出場したのは、2025年3月にスポーツクラブ内で行われたウェルネスチャレンジだった。しかし結果は振るわなかった。

「死ぬほどボロボロでした。向いていないのかなとも思いました」

それでも諦めきれず、翌年に本格的な大会へ挑戦することを決意。JBBF基準に沿って行われるマッスルゲート を選んだ。

もともと塩野さんは、大学時代にレーシングカヌー(現スプリントカヌー)に打ち込んでいた。「鍛えた身体は競技のためのもので、見せるものではない」と考えていたため、最初はボディメイク競技に抵抗もあったという。

「私はずっとスポーツをしてきたので、鍛え上げた身体は運動するためのものだと思っていました。だから最初は、見せる競技ってどうなんだろうという先入観があったんです」

しかし実際に挑戦すると、その印象は大きく変わった。

「中に入ってみたら、これは立派な競技なんだと分かりました。ポージングや栄養管理、身体の見せ方まで、全部が奥深かったです」

大好きな酒を我慢 通勤40分ウォーキングで身体を変えた

塩野さんは大の酒好きだ。日本酒やビールが好きで、お酒のイベントがあればすぐに足を運ぶという。夫婦で外食や食事を楽しむことも多い。

それでも大会期間中は、正月明けから大好きなお酒を封印した。

「仕事仲間とお酒を飲みに行くこともありますし、夫とご飯を食べたり出かけたりするのも好きなんです。でも大会までは期間限定と決めて、お酒とビールを控えました」

仕事との両立も簡単ではなかった。ジムに行くためには、仕事を早めに切り上げなければならない。そこで塩野さんは、通勤時間を工夫した。

これまで自転車で15〜20分だった通勤を、往復40分の徒歩に変更。片道3.7kmを歩くため、ヒールとハンドバッグをやめ、運動靴とリュックで出勤するようになった。

「通勤を有酸素運動に変えたんです。そこはすごくうまくいきました」

さらに、職場ではピラティスの資格を持つ先輩が昼休みに簡単なレッスンを開いており、そこにも参加。隙間時間を活用しながら身体を作っていった。

トレーナーからは、塩野さんの強みは肩だと言われている。大学時代のカヌー競技で培った土台が生きているようだ。現在は3kgのダンベルで15回×3〜5セットのサイドレイズを続けている。

ボディメイクを始めてからは、苦しいこともあった。ポージングがうまくできず、涙が出るほど悲しかったこともある。それでも塩野さんは、その感情すら前向きに捉えている。

「なんで好きでやっていることでこんなにつらい思いをしなきゃいけないんだろうって思ったこともありました。でも、それだけ感情が動くっていうこと自体が尊い経験で、楽しんでいる証拠なんですよね」

そして、これから挑戦しようとしている人へ、こうメッセージを送った。

「ボディメイクって最初は、外見を重視するものなのかなって思っていました。でも実際は、栄養のこと、身体のこと、生活のことを総合的に学べる世界でした。新しい気づきがたくさんあるので、迷っている人にはぜひ挑戦してほしいです」

最後に初のボディコンテストを終えた塩野さんは感謝で締めくくった。

「食事やトレーニングの時間確保への理解、遠い会場であっても必ず足を運んで協力してくれた主人に、そしてコーチ、先輩の応援があったことでこの挑戦をすることができました。本当に感謝しています」

【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。

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取材・文:FITNESS LOVE編集部 撮影:中島康介

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