筋トレからダイエット、そしてめざした大会出場。それは、本人だけでなく家族にも影響を与えるできごとだった。かなえさん(42)が娘の小学校入学式での家族写真で、予想以上に太っていた自身の姿にショックを受けて筋トレを始めたのは4年前。身長164cm、体重88kgから筋トレを始めて一年ほど経ったころ、ボディコンテスト『サマースタイルアワード』の大会出場を考えるようになった。
「どこまで通用するのかやってみたいという思いと、自分に自信をつけたいなと思ったんです」
しかし、すぐに出場することはできなかった。というのは体重が減ってもコンテストに出場できるような「いい身体」にはなかなかならなかったからだという。
「徐々に絞りながら2年かけて65kgになったのが去年2月でした。9月末の大会には53kgで出場しました」
1月に参加したポージングセミナーでは、若い人が多く、皆絞れていた。まっさらな状態で行ったかなえさんとは違い、練習されているポージングに圧倒されたという。それでも大会をあきらめることはなかった。
「そのときは周りと比べて焦ってしまいましたが、自分自身楽しんで、やりきってみるというのが今回の目標でした。また、普段娘たちにはガミガミ言っているのですが、私のがんばっている姿を今まで見せたことはありませんでした。がんばっている姿を見せるには今しかない、という気持ちでした」
筋トレを始めるきっかけとなった入学式から4年、双子の娘は5年生になった。母親のがんばっている姿は2人にも伝わっていた。
「疲れているときにはコーヒーを入れてくれたり、すごく引っ込み思案な娘が、吹奏楽部で勇気を出してソロのオーディションを受け、本番でも演奏をしました。娘たちががんばる姿を見て、私ももっとがんばろうという気持ちになりました」
当日はご主人と娘さんの応援があった。
「娘には『ママがあんなにステージでできるって思ってなかった』と言われました。主人には準備をしているときから当日まで、何か言われたりすることはなかったのですが、応援してくれているという雰囲気はありませんでした。会場へ向かう車でも無言だったんです。でも、ステージに立っている私に一番叫んで応援してくれました。終わった後、笑顔で『がんばったね』と言われ、うれしくて泣きそうになりました」
ご主人が当初あまり応援していなかった理由は、かなえさんが何度聞いてもいまだに教えてもらえないそうだ。大会出場に戸惑い、複雑な気持ちがあったのかもしれないが、かなえさんのやりきった姿に驚き、感動し、モヤモヤしていた気持ちを吹き飛ばしたのだろう。かなえさんはサマースタイルアワード札幌予選ビューティーフィットネスモデル(トール)で5位、マスターズで3位の成績を収めた。
大会出場を決めてから8カ月減量し、食生活は習慣になったからもう大丈夫、と思っていたかなえさんだったが、大会が終わると食欲が止まらなくなった。大会のときから10kg重くなってしまったが、今年2月から再び減量を始めた。
「朝はプロテインパンケーキかお米200gに卵2個、昼はお米と鶏むね肉、夜はさばで、ブロッコリーとアスパラは3食食べています。トレーニングは週3回で背中、肩・胸・三頭、脚の日に分けています。また大会に出場したいんです」
今後はもっと筋量を増やして、違うカテゴリーでの出場を考えているそうだ。「自分だけがんばっているって思っていたけれど、結局家族もがんばってくれていました」とかなえさん。家族全員の後押しでこれからも挑戦を続ける。
【SSAアンチドーピング活動】SSA(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:あまのともこ 写真提供:中島康介
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