6月8日(日)、大阪国際交流センターで行われた『サマースタイルアワード関西新人類』のビューティーフィットネスモデル・マスターズクラスで初出場の高無あゆみ(こうむ・あゆみ/42)さんが5カ月間で減量を成功させ、見事優勝に輝いた。
※体脂肪率は市販の体組成計によるもの
【写真】高無あゆみさんの引き締まった下半身と逆三角形の上半身
高無さんはトレーニングジムの店長として働いているが、自身の体型には「40歳を過ぎたから仕方ない」「2人の子供を産んだのだから仕方がない」と半ば諦めていた毎日だった。
「なんとなくのトレーニング」から「本気のトレーニング」5カ月で-11kgへ
もともとジムでの勤務やスタジオレッスンの経験もある高無さん。しかし自身のトレーニングは、「気が向いたときにたまにやる」程度だったという。お酒も大好きで、休肝日ゼロが当たり前。健康というより、ごまかしながら生きていた感覚だったと振り返る。そんな高無さんにスイッチが入ったのは、2024年6月に観に行った『サマースタイルアワード関西新人類』だった。
「勤務先のジムのスタッフが出場していたんです。あのステージを観て『自分もこんなふうに輝きたい』と思いました。今思えば、あれが人生の分岐点だったと思います」
その翌日にはパーソナルトレーニングの体験へ。正しいトレーニングの基礎から改めて学び直し、1年後には自らもステージに立つことを決めた。店長として働きながら、子育てをし、コンテストを目指す。想像しただけでもハードな日々だが、高無さんは「全部やりきった」と笑う。
「基本は週1でパーソナル、あとは週に4~5回のジム通い。家族が寝ている早朝に起きてトレーニングに行くのが日課でした」
初めは夫も心配していたが、どれだけ本気かを行動で示すことで徐々に理解が得られたという。
「子どもたちにも我慢があったかもしれませんが、大会当日は家族みんなが応援に来てくれて、本当に感謝の気持ちしかありません」
トレーニングだけでなく、食事も徹底して管理。すべての食事をアプリで記録し、カロリーとPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)のバランスを確認していた。
「減量中でも食事の楽しみは絶対に手放したくなかったんです。だから、見た目の満足感も重視してワンプレートにしたり、野菜でボリュームを出したり工夫しました」
オーバーナイトオーツやプロテインスイーツで甘いもの欲も満たす。「我慢だけでは続かない」ことを、体現してきた。特に減量末期には、寒天やこんにゃくなど低カロリー食材が大活躍。「無味の寒天にラカントときな粉をかけるだけでごちそうでした(笑)」と笑いながら語る。トレーニングを本格的に始めて最も驚いたことは、正しくやればちゃんと変わるという当たり前の事実だった。
「以前はなんとなくでやっていたから、変化を感じる前に止めてしまっていたんです。でも今は、自分の身体と正面から向き合えるようになりました」
ジム店長として、会員からの信頼も高まった。自身の変化をもとにアドバイスができるようになり、職場の選手たちとも励まし合える関係ができた。
「やっぱりやってる人の言葉って説得力があるんだなって実感しました。昔の私みたいに、もう遅いとか私には無理って思ってる人はたくさんいると思います。でも、勇気を出して一歩踏み出してみてほしい。強い夢を持つことで、人は本当に変われるから」
高無さんの挑戦は、働く親という枠を超えて、多くの人に気づきを与えてくれる。年齢や立場を言い訳にせず、人生を変えるのに遅すぎることはない。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
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取材・文:柳瀬康宏 写真撮影:岡 暁
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBFやマッスルゲートを中心に、毎年ボディコンテストに挑戦中。
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