「舞台に立って注目されるドキドキ感は、他では味わえない快感です。自分を表現する喜びを知ったことで、人生にたくさんの収穫がありました」
鈴木沙織(すずき・さおり/37) さんは、保育士として働くかたわら、身長166cmのプロポーションが映える引き締まったシャープな筋肉を作り上げてボディコンテストで活躍している。
6月14日(土)に開催された『サマースタイルアワード名古屋予選大会』では、ビューティーフィットネスモデル部門マスターズ(本年度で38歳以上となる年齢別クラス)で優勝。さらに、プロ選手を抑えて身長別戦で2位を獲得する躍進を遂げた。
「ガリガリ体型」でジムの幽霊会員だった過去からステージで輝くまで
鈴木さんは『サマースタイルアワード』の他にも、2023年にはマッスルゲートの全国大会『ゴールドジムジャパンカップ』のウーマンズレギンス163cm超級で日本一の実績を持つ実力者だ。しかし、そのボディメイク履歴には紆余曲折がある。
かつての鈴木さんは、ジムの「幽霊会員」だった。20代を「ガリガリで華奢」な体型に憧れ、3日間水だけで過ごすなど過酷なダイエットを繰り返したことで筋肉はほぼ無く、体重は40kgを下回るほどだった。「肩幅が広いのがコンプレックスで、いつも肩をすくめて小さく見せようとしていました」と当時を振り返る。
「歳を重ねるにつれて、そんな自分の体型に疑問がわき、ジムに入会したものの、全くトレーニングに楽しみを見出せずほぼ行っていませんでした」
しかし、とあるモデルとしてのステージ経験が人生を変えた。観客の視線を集める高揚感に魅了され、コンテスト出場を目指して本格的にトレーニングを始めた。
ボディメイクで広がる趣味とチャレンジ精神
目標ができたことで苦手なトレーニングに取り組む意欲を手に入れ、コツコツと努力を重ね続けた。身体の変化とともに美意識も変化を見せ、単に細さを求めるのではなく肩幅も生かしたメリハリのある体型を目指すようになった。また、大会出場を経験するなかで、様々な分野への挑戦心が湧いたという。
「ウォーキング講師の資格を取り、日常の立ち振る舞いにも気をつけるようになりました。体型だけでなく、所作でも人のオーラは見違えるほど変わります。自然と人目を引く動作を身につけることで、見られることへの自信がつきました」
骨盤や膝、ハムストリングを意識した優雅な歩き方を日常でも行っているという。さらに、減量のために始めたキックボクシングやマラソン、表現力向上のためのダンスなど、興味は多彩に広がりを見せていった。
「趣味が広がったことで、人生がもっと楽しく刺激的になりました。ボディメイクを通じて新たな自分に気づけたことが一番の収穫かもしれません」
鈴木さんの世界はさらに広がっている。今年、地元浜松で開催される『遠州筋肉まつり』(9月7日)にゲストポーザーおよび審査員として招致され、現在はそのステージに向け意欲を燃やす。ジムの幽霊会員から日本一のステージへと駆け上がり、さらに向上を目指して活躍する姿は、ひたむきな努力がもたらす無限の可能性を教えてくれる。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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