「これまでの人生で、運動も勉強も何もかも中途半端で続かなかった自分が嫌で、何か真剣に打ち込めるものを探していました」
6月14日(土)に開催された『サマースタイルアワード』(通称:サマスタ)名古屋予選大会にて、ビューティーフィットネスモデル部門ショートクラス(161cm未満)で優勝した、伊藤百那(いとう・ももな/27)さん。トレーニング歴1年半、コンテスト初シーズンで優勝、さらにベストステージング賞とプロ契約権を獲得という、活躍を支えた努力を聞いた。
日付を超えるトレーニングと6回の分食 「変わるためにはやるしかない」
伊藤さんが「人生初のチャレンジ」の場にボディコンテストを選んだのは、ふとした偶然だった。
「メリハリのない身体が気になりジム通いを始めてトレーニング動画を観ていたところ、サマスタの選手の方々が流れてきました。美しい肉体や華やかな世界に衝撃を受け、人生で初めて自分もこうなってみたいという好奇心がわきました」
とはいえ、生活とコンテスト出場の両立はハードだった。歯科助手として働きながら、週5日、1日2時間半のトレーニング。早朝からの勤務のためジムに行くのは仕事終わりになる。
「トレーニングを終えて帰宅するのは日付を超え、睡眠が浅くなりがちと聞いていた減量末期でも、目を閉じた瞬間に気絶するように寝ていました」
それでも鍛えることに妥協はせず、「先週より少しでも重く、一回でも多く」を目標に、限界を目指し続けたという。
「今までの自分だったら確実に途中で投げ出していたと思います。『27歳にして初めて見つけた本気でやりたいことを貫きたい』という気持ちだけでした」
急成長の鍵は、食事にもあった。非常に食が細い伊藤さんは、筋肥大のために1日6回に分けてトレーニングに見合う栄養を確保したという。
ついに立った憧れのステージでの快挙 全国決勝戦へ向けてのさらなる決意
努力は最高の結果で身を結んだ。初戦の関西予選大会ではルーキークラスで優勝。次戦の名古屋予選大会では、一般の部となる身長別戦で優勝。
「出場できるだけで感動だったので、まさか自分が1位になれるとは思いませんでした。本当に感激しました。あとは、昔に中途半端だったと思っていたクラシックバレエやヒップホップダンスで学んだことがパフォーマンスに生きてベストステージング賞を頂けたのかなと思い、積み上げてきたものに気づいてうれしかったです」
だが、喜びと共にプレッシャーも感じているという。
「経験値が少ない、負けを経験しないうちに実績ができてしまったことに、怖さもあります。全国大会にはすごい選手ばかりが集まるので、この結果に甘えずに実績に負けないもっと強い自分を作り上げたいです」
11月の決勝大会に向け、さらなる成長を遂げるために一生懸命励みたいと強く意気込みを語った。
伊藤さんのコンテスト挑戦は、競技そのものを超えた自分の人生に対する挑戦である。やっと見つけられた「本気」を貫き、中途半端だった自分を変えたその姿勢こそが、真の実績ではないだろうか。一途に努力する人の姿は、自分を変えたいと思いつつ踏み止まりがちな誰かへの、言葉以上のエールになる。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代 写真提供:伊藤百那
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。
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