「正直、悔しい気持ちはあります。でもステージを降りてすぐにフィードバックをいただけて、次はもっとこうしなきゃいけないって具体的な目標が見えました。背中のVシェイプやヒップの改善点は、まだまだ伸びしろがあると思っています」
そう語ったのは、今年開催された『サマースタイルアワード千葉予選』、ビキニモデル部門トールクラスで3位に入賞した金家礼奈(かなや・れいな/30)さん。
グランドスタッフとして空港勤務を続ける金家さんがトレーニングを始めたのは7年前。最初は「ただ痩せる」ではなく「引き締まったきれいな身体になりたい」という想いからだった。海外のビーチに似合うような健康的なスタイルに憧れ、食事制限だけでなく筋トレを取り入れた。そこから筋トレは生活の一部となり、「やらないと落ち着かないし、逆にストレスになるくらい」と笑う。
大会に挑戦するようになったのは2021年。「鍛えてるなら出てみたいし、何よりキラキラのビキニを着てステージに立ちたい」という気持ちが背中を押した。最初の挑戦から4年、今では年に1〜2回必ず大会に出ることを続けている。
まだ先にある未来への準備
得意な部位はヒップ。「お尻のトレーニングが一番、自分との戦いって感じがするんです。まん丸なお尻を作りたいから、大殿筋や中殿筋といった部位ごとに分けて鍛えています。筋肉痛が来ると『よし!』って達成感があるんですよ」
その一方で、苦手なのは肩のフロント。
「どうしても効いてる感じがつかめなくて……だから最後は回数を増やして、もう無理!ってところまで追い込むようにしています」
周囲から「スタイル良くなったね」「ウエストどうなってるの?」と褒められることも多い。でも金家さんはいつも「全然です、まだまだです!」と言う。本人にとってボディメイクにゴールはない。褒められても素直に受け取れないのは、理想がまだ遠くにあるからだ。
空港でのグランドスタッフとしての仕事は今年で10年目。早朝から夜遅くまで不規則な勤務の中でも、トレーニング継続を切らしたことはない。
「コツコツ続けてきたら、こんなふうに大会のステージに立てるようになりました。自分でも不思議ですけど、続けるってすごいことだと思います」
フィットネスの魅力についてはこう語る。
「がんばった分だけ、ちゃんと自分の身体に返ってくるところ。見た目が変わるのも励みになりますけど、一番は健康でい続けたいという気持ち。おばあちゃんになっても元気でいたいから、今のうちから準備しておこうって思ってます」
サマスタの千葉予選を終えた今も、金家さんの視線は次に向いている。
「悔しいまま終わりたくないんです。今年は9月7日の埼玉大会に出場します!」
勝ち負けにこだわりながらも、ステージは「純粋に楽しめる場所」だと言う。
「トレーニングは歯磨きみたいに生活の一部。私にとっては習慣であり、自分の人生を楽しむためのツールなんです。みなさんも何かに夢中になれたら、人生はもっと豊かになると思います」
7年前の小さな一歩が、今では大きなステージにつながっている。金家さんの言葉からは、「まだまだ先に理想がある」ことを楽しみながら追いかける強さが感じられた。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない
取材・文:柳瀬康宏 写真提供:金家礼奈
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。
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