8月31日(日)に行われた『サマースタイルアワード京都予選』のビューティーフィットネスモデルショート部門で優勝し、オーバーオールも制覇。加えてマスターズクラスでも優勝し、マスターズクラスでもMVPを獲得したのは肥後麻以(ひご・まい/39)さんだ。
肥後さんはビューティーフィットネスモデルらしく、ただ細いだけではなく、女性らしいアウトラインやステージ上での表現力が評価され、堂々としたステージングで観客を魅了したが、トレーニングを始めたきっかけは自分を変えたいという思いからだったという。
うつを乗り越え、ジムで見つけた新しい自分
「当時、仕事がとても辛くて自分でそれを解消できなかったんです。人生も諦めていたような感じでした。そうしたときに抑うつになったんです」
トレーニングをはじめたきっかけは、病院でも診断抑うつの克服だったが、少しずつ変わっていく自分の姿を見て心の変化も出てきたという。
「人から『どんなトレーニングをしているのか教えてほしい!』と聞かれたとき、自分の身体に自信を持っていいんだと思えました」と語る。心身の変化が自信へとつながり、以前の自分では考えられなかった「大会出場」という挑戦へ背中を押した。
その一歩を踏み出すきっかけとなったのは、現在パーソナル指導を受けている、吉良友汰さんのサマスタサポートYouTubeを見たこと。視聴しているうちに「自分もやってみたい」と思い、今年2月からは吉良トレーナーのパーソナル指導を受けるようになった。そこから身体のアウトラインが一気に変化し、74cmあったウエストが気づけば55cmに。「まさか自分が大会に出るとは思わなかった」という驚きもあったという。
柔軟性のあるルール作りでメンタル面も変化
食事管理ではチートデイを設けず、「食べたいものは食べるけどPFCは守る」というスタンスを徹底。満腹感を得るためにサラダは「どれだけ食べてもいいルール」を設けて減量を工夫した。こうした柔軟性のあるルール作りが、無理なく続けられるポイントだったそうだ。また、SNSの閲覧時間を制限する習慣を取り入れ、余計な情報に左右されないように意識。大会へのイメージトレーニングに時間を割き、集中力を高めていった。
トレーニングを習慣化したことで「気持ちが揺れなくなった」とメンタル面での大きな変化も実感。落ち込んだときも「ジムに疲れに行く」という考え方で気持ちを切り替える。仕事との両立は、1日のスケジュールにトレーニングを組み込むことで解決した。忙しい日も「ジムに行くことを当たり前にする」ことで習慣が崩れなかった。
今後の挑戦について聞くと「ベティ部門やドレス部門にも挑戦したい。一度でいいからもっとバキバキの身体になってみたい!」と目を輝かせる。
「私はトレーニングをきっかけに病気の克服だけでなく、心の面でも大きく変わることができました。不安の中で環境を変えるのは簡単ではありませんが、不調こそ自分を更新するきっかけになると思います。支えてくださる方々を大切にしながら、楽しんでボディメイクを続けていきます」
肥後さんの言葉は、同じように「変わりたい」と思いながらも踏み出せない人の背中を、そっと押してくれるはずだ。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない
取材・文:柳瀬康宏 撮影:岡暁
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。
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