「ガリガリ、骨が出ている、貧相に見える」
かつてそんな言葉に悩んでいた須原あゆみ(すはら・あゆみ/25)さんは、8月31日(日)に開催された『サマースタイルアワード(以下サマスタ)京都』でルーキービキニモデル部門優勝、ビキニモデルオープン部門優勝、さらにオーバーオールまで制した注目選手だ。昨年のサマスタ京都大会、そして今年の名古屋大会での敗北という悔しい思いをしてきただけに「リベンジが果たせて良かった」と笑顔を見せる須原さん。その身体は、努力と決断の積み重ねが作り上げたものだった。
転職がコンプレックス克服の第一歩に
須原さんは不動産業に就いていたが、仕事に楽しさを見いだせず、転職を考えていたときに出合ったのがジムトレーナーの求人だった。もともと身体を動かすことは好きで、趣味程度にトレーニングをしていたが、この転職をきっかけに本格的なボディメイクの道へ進んだ。ジムで働くうちに、大会を目指す会員から影響を受け、「自分も出てみたい」と思うようになったことがコンテスト挑戦の始まりだったという。
「ボディメイクを始めた当初は下半身を徹底的に鍛えることを意識しました。アブダクションやスクワット、ブルガリアンスクワットなどを中心に、10〜15回×3セット、最後は限界まで追い込むメニューを組み立てていました」
そして今回の京都大会に向けては肩を徹底的に強化。避けてきたミリタリープレスを取り入れ、さまざまな可動域を試しながら丸みのあるラインを作った。「お尻の丸さや肩のアウトラインを褒めてもらえたことが自信につながりました」と振り返る。
ただ、肩が仕上がることで下背部の弱さが相対的に目立ってしまうのが今後の課題。改善のための細かいアプローチもすでに考えているそうだ。
朝5時に始まるルーティーン
トレーナーとして働きながら大会に挑むには、徹底した時間管理が不可欠だ。須原さんは「朝にすべて済ませてから仕事に行きます。5時起きでトレーニング、身支度をして出勤。仕事が終わったら寝たいので(笑)」と語る。どんなに忙しくても「ルーティーンを守り必ず確保する」と断言。そのストイックさが今回の3冠につながった。
「ルーティーンは守りますが、常に全力で頑張れば良いわけではないと思っています。『とにかく自分を褒める』ことも心がけていました。また、ポージング講師のもとへ通って、適宜アドバイスを受けて褒めてもらうことで自己暗示をかけ、モチベーションを維持してきました。頑張りすぎると好きなトレーニングが嫌いになってしまう。だから頑張りすぎず、適度に頑張る。難しいけれど、これに尽きます」
須原さんのこのバランス感覚こそ、継続のカギと言えるだろう。
トレーニングで最も印象に残ったのは「重量が上がると、それに付随して身体も変わる」瞬間だった。食事を整えたことで肌の調子が良くなったのも意外な発見だったと語る。しんどいことを楽しめる性格も、自身の成長を後押しした。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマー・スタイル・アワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない
取材・文:柳瀬康宏 撮影:岡暁
執筆者:柳瀬康宏
『IRONMAN』『月刊ボディビルディング』『FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格:NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動。2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに挑戦中。
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