勝負には勝利もあれば敗北もある。全力で挑んだ敗北は、時に勝利以上の成長をもたらす。
「これまでの人生で最高の身体を作り上げました。成績は振るわなかったけど、トレーニングを学び、人生初のダイエットにも成功して、本当に価値のある経験でした」
9月20日(土)に開催された『サマースタイルアワード2025東海帝王』でコンテストデビューを果たした医療事務員の荒木真由(あらき・まゆ/25)さん。新人戦と身長別戦でともに4位という結果に終わったが、荒木さんのひたむきな挑戦は、目標に向かって努力することの大切さを教えてくれる。
肉体美に衝撃 コンテスト出場を決意
「去年の『東海帝王』を観戦したとき、ある新人選手の肉体美に衝撃を受けました。あんな身体になりたいと強く思ったんです」
1年半前に自己流でトレーニングを始めた荒木さんは、ボディコンテストに興味を持ち、昨年の大会で感銘を受けた選手に指導を依頼。基礎からトレーニングを学び始めた。医療事務の仕事の合間を縫い、昼休憩の時間を活用して週6日のジム通いを続けた。ジムへの通いやすさを優先し、環境を整える努力も欠かさなかった。
「職場の福利厚生のジムもありましたが、効率よく通うために自分で近くのジムを契約しました」
8kgの減量とストイックな準備
「今まではダイエットが中途半端に終わっていましたが、引き締まった身体を初めて実現できました」
荒木さんはカーボサイクルという食事法を取り入れ、主食の米の量を段階的に調節。停滞期には里芋、さつまいも、かぼちゃと食材を変えることで、4カ月で8kgの減量に成功した。退勤後に有酸素運動を追加し、ストイックに身体を仕上げた。
「初めての減量でしたが、明確な目標があったので辛さを感じませんでした。トレーナーの提案する食事メニューを素直に実践しました」
敗北から得た学びと挑戦の価値
「上位入賞者がステージ前方に呼ばれる『ファーストコール』に選ばれず、後ろから見ていました。そこで、筋肉の輪郭やバランスがまだ足りないと気づけたのは、大きな収穫でした」
荒木さんは涙を滲ませながらも大会終了まで会場に残り、審査員やトレーナーからのフィードバックに熱心に耳を傾けた。課題を次に生かす強い意志が、その姿勢から伝わってきた。
どんな分野でも、挑戦には失敗や挫折がつきものだ。真剣に取り組むほどその痛みは大きい。だからこそ、目標に向かってひたむきに努力する人の姿は、周囲を惹きつけ、心を動かすのではないだろうか。
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。
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