ボディコンテストで優勝するには、ただがむしゃらにトレーニングするだけでは不十分だ。まず、出場するカテゴリーの特徴を理解した肉体作りが求められる。次に、ステージで肉体を美しく見せる技術を磨くこと。そして、競合選手と比較して自分がどう映るかを研究する必要がある。9月20日(土)に開催された『サマースタイルアワード(SSA)2025東海帝王』のフィジーク部門で、菊池悟雄(きくち・ごお/33)さんが優勝を飾った。際立つアウトラインと洗練されたポージングで観客を魅了し、大会中、最も熱い歓声を浴びた。
「今回のステージングの完成度は私のなかでは、半分以下の出来でした。その改善も含め、課題の絞りや厚みもしっかりと作り出し、今後のPRO戦で活躍できる選手になりたいです」
謙虚に自分を振り返りつつも、「3年間の挑戦を経て、ついに優勝とPRO選手契約権を獲得できました」と喜びを語る。その背景には、肉体作りだけでなく「魅せ方」を追求した努力があった。
高身長での戦いと戦略
「SSAのフィジーク部門は身長別ではないので、競技の性質上、身長の高い自分は細く見えてしまいやすいです。どんな体格の選手が隣に並んでも見劣りしない身体が必要でした」
菊池さんの身長は180cm。サマスタPRO選手の平均身長が170cm前後であるなか、菊池さんは「高身長でも負けないアウトラインと筋肉量」を目標に掲げた。
「プロポーションを整えるより、まずは筋肉量を増やすことに全力を注ぎました」
そのために、1回のトレーニングで3〜4時間のハイボリュームセットを採用。補助をつけて限界まで追い込む方法で、圧倒的なバルクアップを目指した。
ポージングに取り入れた異分野の学び
「ポージングは、ボディメイク以外の分野から積極的に学びました。どんなジャンルでも、ステージで輝く人には共通点がある。それを分析し、軸の取り方から細かな所作まで徹底的に磨きました」
クラシックバレエ経験者からの助言、ディズニーランドキャストのパフォーマンス力、男性アイドル・アーティストの目線や仕草から男性の魅力を研究。この努力が実を結び、観客の心をつかむパフォーマンスを披露。基本を押さえつつも、個性溢れるポージングで存在感を示した。
トレーナーとして、PRO選手としての未来
「筋トレは、営業マン時代に精神力を鍛えるために始めました。当時、自分の最も苦手なことであった筋トレを続けることが成長につながると思いました」
その姿勢は成果を上げ、社会人2年目で社内売上No.1、同業者でもトップに輝いた。その後、「20代で事業を起こす」という目標を掲げ、筋トレの知識を生かして独立。静岡県富士市でフィットネスジム『THE FIT』のオーナー兼トレーナーとして活動している。
「お客様のコンテストサポートに携わり何名か優勝していただけているのですが、今回の自分の挑戦を見て、さらにたくさんのお客様がコンテストに出たいと言ってくれてとてもうれしく思います。お客様の身体作りはもちろん、その方の魅力を最大限発揮できるステージングを一緒に考え、目標達成のサポートに尽力したいです。オーナーとしては、フィットネス事業と併せて他の事業も展開して、人として成長していけるよう日々精進していきます」
【SSAアンチドーピング活動】SUMMER STYLE AWARD(サマースタイルアワード)はJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体である。全ての選手登録者はアンチドーピング講習の受講を必須としており、SSAから指名された場合はドーピング検査を受けなければならない。
取材:にしかわ花 撮影:上村倫代
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』『Womans'SHAPE』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーとエクサイズでボディメイクに奮闘している。
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