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怪物・扇谷開登の“垂れ下がるほどの”大胸筋を作ったトレーニング方法とは【解説!扇谷開登の超高密度トレーニング】

メンズフィジーク、マスキュラーフィジーク、そしてクラシックフィジークを経て、昨年の日本選手権でボディビル競技デビューを果たした扇谷開登。
日本最高峰のその大会でいきなり優勝争いに絡む4位入賞の快挙を遂げた。その扇谷の規格外の圧倒的な筋量にボディビル界は驚愕した。
新たな時代の筋量の基準となる扇谷開登の上半身のトレーニングを紹介していく。
連載の第一回目は「胸」のトレーニングだ。

文と写真/吉田真人 大会写真/中島康介 Web構成/中村聡美

扇谷開登選手

扇谷開登が考えるボディビルにおける胸

ボディビルにおける胸という概念はありません。ボディビルをやるにあたって鍛えなくてもいい部位はないと思っていますので、胸もとにかく一生懸命鍛えるという感じです。ボディビルダーになりたいというよりは、大きく、強く、優しい男になりたくて、そういうことをイメージした時に、間違いなく筋骨隆々であるべきだと思うし、そうすると、胸板は分厚ければ分厚いほど良いし、男らしくカッコいいと思います。

扇谷開登が目指す胸

形についてはあまり考えていなくて、とにかく密度とサイズだけをイメージしています。現状の胸よりももっとギチギチしていて血管がバチバチに走っていて、厚みがある胸です。目標としている胸は明確にはないですが、自分をもっと進化させていった先に、優勝とかが見えてくると思うので、今の自分の胸よりも分厚くて、広くて、ギチギチのストリエーションが入る、そんなエグい胸を目指しています。

胸のトレーニングメニュー

〈パターン1〉

①ダンベルフライ
50㎏×15〜10回→34㎏×12回(8回+補助4回くらい)→徒手抵抗(ネガティブ)×5回→(ポジティブ)×10回×3セット

②スミスマシン・インクラインプレス
100㎏×10回→80㎏×10回→60㎏に徒手抵抗(ネガティブ)×10回→60㎏×10回×3セット

③ケーブルクロスオーバー
10回程度反復できる重量×10回×5セット

④ディップス
自重に30㎏荷重×10回×5セット

〈パターン2〉

①ベンチプレス→プッシュアップ
(ベンチプレス)160㎏×10〜7回→130㎏×9回〜5回
(プッシュアップ)徒手抵抗(ネガティブ)×5回→自重×10回→補助×5回(
ベンチプレス→プッシュアップ)×3セット

②ダンベルフライ
34㎏×10回→徒手抵抗(ネガティブ)×5回→徒手抵抗(ポジティブ)10回×3セット

③スミスマシン・インクラインプレス
80㎏×10回→50㎏+徒手抵抗×10回×3セット

④ケーブルクロスオーバー
10回反復できる重量×10回×3セット

胸のトレーニング解説

扇谷開登のトレーニングメニューの多くはトレーニングパートナーの美濃川大(選手ではない)が扇谷の筋肉の特徴を考え組み立てている。扇谷にとって美濃川は信頼を寄せる最高のパートナーだ。筋力の強い扇谷に絶妙な力加減とタイミングで徒手抵抗や補助を行っており、扇谷の成長になくてはならない存在だ。

胸のトレーニングは基本的にパート1とパート2に分かれているが、その他に高重量と少し重量を落とした中重量で行うパターンがあり、全部で4つのパターンが基本となる。また、トレーニング種目を入れ替えることもあり、今回紹介するのは、現在行っているメニューだ。

①ダンベルフライ

狙い
大胸筋全体
ダンベルフライは特にストレッチが強く働く種目なので、それを意識して大きい可動域で行っています。

構えと動作
ダンベルを握る位置が重要で、ダンベルが傾いて手首に負担をかけないように中心で持っています。ダンベルを握る時には、必ずパワーグリップを使っていて、ダンベルと腕を固定して一体化させることで大胸筋に意識を集中します。

肩甲骨をしっかりと寄せ、胸郭を引き上げて構え、負荷を乗せた状態から肘の角度を変えずに弧を描くように腕を外側に開いていき、大胸筋を最大限にストレッチさせてからゆっくりと上げていきます。

パート2のダンベルフライでは、ベンチプレスの後の種目になるので、重さを狙わずにストレッチ感をより重視して行っています。

ポイント
ダンベルフライは、上げ下げするというよりも、大胸筋をストレッチさせたりつぶしたりすることで結果的にダンベルが上がったり下がったりするように意識します。また、きつくなってきた時、どれだけフォームを崩さずに痛みから逃げずに動作できるかがポイントです。

①ダンベルフライ
パターン1:50kg × 15 ~ 10 回→ 34kg × 12 回(8回+補助 4 回くらい)→徒手抵抗(ネガティブ)×5回→(ポジティブ)× 10 回×3セット

パターン2:34kg × 10 回→徒手抵抗(ネガティブ)× 5 回→徒手抵抗(ポジティブ)10 回×3セット

ストレッチ感を強く意識して、大きな可動範囲で行う。ダンベルの後は徒手抵抗で、さらに追込みをかける

②スミスマシン・インクラインプレス

狙い
大胸筋上部
大胸筋上部をつけて、ボリュームのある大胸筋を目指しています。

構えと動作
狭く持つと三頭に入ってしまい、広過ぎると肩にきてしまうので、手幅は肩幅の1・4から1・5倍くらいで、バーの81㎝ラインが中指にくるところで握っています。しっかり胸を張って構え、鏡を見た時にしっかりと胸が盛り上がっているのを確認してからスタートします。ゆっくりしたスピードで動かし、大胸筋の収縮を大事にしています。

ポイント
バーを押し上げていくというよりは、胸の筋肉をつぶして収縮させるように上げていくイメージです。

ダンベルフライで目一杯追い込んだ後の種目になので、軌道が固定化されている方がバランスをとる必要がなく動作に集中できるので、フリーウエイトではなくスミスマシンで行っています。

②スミスマシン・インクラインプレス
パターン1:100kg × 10 回→ 80kg × 10 回→ 60kg に徒手抵抗(ネガティブ)× 10 回→ 60kg × 10 回×3セット

パターン2:80kg × 10 回→ 50kg +徒手抵抗× 10 回×3セット

大胸筋上部のボリューム狙い。ダンベルフライで目一杯追い込んだ後なので、バーベルではなく軌道の決まっているスミスマシンで行う。この種目も途中、徒手抵抗を加える

③ケーブルクロスオーバー

狙い
大胸筋下部、収縮を意識して大胸筋全体を張らす

構えと動作
ダンベルフライのように肘の角度を固定して弧を描くように動作するのではなく、下に向かってプレスするように、腕を曲げたところから肘を伸ばしていきます。可動域はしっかりとりますが、ストレッチはあまり考えずに最大限に収縮させて筋肉をパンプアップさせていきます。収縮し切ったところで動きを止めるのではなく、パンプ感を得たいので、他の種目と違ってやや早いテンポで動かし続けるように行っています。

ポイント
腕を動かしていくというよりは、胸をつぶしていくことで腕がついていくイメージです。

③ケーブルクロスオーバー
パターン1:10 回程度反復できる重量× 10 回×5セット
パターン2:10 回反復できる重量× 10 回×3セット

下に向かってプレスするように、腕を曲げたところから肘を伸ばしていく。やや速いテンポで動かし続けるように行う

④ディップス

狙い
大胸筋下部、大胸筋全体にも効く

構えと動作
身体は前傾せず、どちらかというと立った状態で構え、大胸筋にしっかりとストレッチをかけ、そこから肘を伸ばしていき大胸筋の下部に効かせていきます。

ポイント
胸の筋肉にテンションをかけたまま腕を伸ばしていきます。

④ディップス
パターン1:自重に 30kg 荷重× 10 回×5セット パターン2では行わない

どちらかというと立った状態で構え、大胸筋にしっかりとストレッチをかけ、そこから肘を伸ばしていき大胸筋の下部に効かせる

●パターン2
①ベンチプレス→プッシュアップ

狙い
大胸筋全体、高重量を狙う、過去と比べてどれだけ強くなったかの指標にも使える

構えと動作
バーの81㎝ラインに中指がくるように握ります。肩甲骨を寄せて胸郭を引き上げて構えます。肩甲骨を寄せると肘が横に張り過ぎず、正しいフォームが作れるので、しっかりと大胸筋に負荷が入ります。
以前は、肘が開き過ぎていていわゆるギロチンベンチのようなフォームだったこともあり、大胸筋に負荷が上手く入らず、肩を痛めてしまったこともありました。フォームを改善してからは大胸筋への刺激が高まり、扱える重量も増えました。
プッシュアップは、立てたダンベルの上に手を置いて構え、背中を押すパートナーの徒手抵抗に耐え、3秒かけて下ろしています。ネガティブで5回耐えた後に、負荷なしで上がらなくなるところまで繰り返し、さらに4回くらい補助を入れて、限界まで追い込みます。
以前はベンチプレスの重量をさらに落としたうえに徒手抵抗を加えていましたが、筋力が増してきてから徒手抵抗をかけた時の軌道が安定しなくなったので、最近は徒手抵抗を加えたプッシュアップで大胸筋に追い込みをかけています。

ポイント
しっかりと肩甲骨を寄せ、胸を張った状態を維持して大胸筋への負荷を逃さないように動作します。

パターン2-①ベンチプレス⇨プッシュアップ
ベンチプレス:160kg × 10 ~7回→ 130kg ×9回~5回
プッシュアップ:徒手抵抗(ネガティブ)×5回→自重× 10 回→補助×5回
ベンチプレス→プッシュアップ×3セット

以前はベンチプレスの重量をさらに落として徒手抵抗を加えていたが、最近は徒手抵抗を加えたプッシュアップで大胸筋に追い込みをかけている

↓第2回は腕トレ!↓

https://www.fitnesslove.net/?p=139105&preview=true

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