フィットネス HYROX

日本代表の攻略テクを盗め!【HYROX 全8エリア攻略ガイド】 ━WATARUが解説

01 スキーエルゴ
飛ばし過ぎないことが重要

スキー動作を再現したマシンを使用し、上半身と体幹を連動させて1,000mを漕ぐ種目。腕力だけで引くのではなく、下半身の踏み込みやリズムが重要となる全身運動。
「ここで飛ばしすぎないようにするのは大切だと思います。自分の中である程度合格点を決めて、そのタイムを目指すようにしています」

WATARUさんの目安とするタイムは4分。もちろんスキーエルゴだけを行う場合であれば、それ以上のペースでの練習も行うが、1時間近くのレースを戦い抜くには、ペース配分は必須だ。
「最初の頃は、トップでスキーを抜けていくのが気持ちよくて頑張りすぎてしまうこともありました。今はダンパー設定(抵抗値)をあえて軽くして、筋肉の疲労感を減らして次につなげています」

最初のランからスキーエルゴを上位で終えても、レースはまだまだ序盤に過ぎない。パワーで押し切りすぎると、そのまま次のランで失速してしまうことが多いパターン。

02 スレッドプッシュ
筋肉に負担をかけない工夫

重量を積んだスレッド(そり)を、12.5mを2往復、計50mを押し進める種目。下半身のパワーだけでなく、姿勢維持と呼吸管理が求められ、心拍数が一気に跳ね上がる。
「個人的には一番ハードな種目だと感じています。競技的には早く終わらせたほうが良いのはもちろんですが、ここで無理に押しすぎると走れなくなるので、あえて刻みながら行います」

12.5mの道のりを押し切らず、あえて途中でリカバリーをするのがWATARU流。体力や筋力的に押し切れても、そこはあえて我慢するコントロールが重要だという。
「大腿四頭筋が攣りやすいので、かなり注意しながら行っています。まだまだレースも序盤ですから、ここは冷静に自分の身体と相談することが大切ですね」

実際のレース結果を見ても、第一種目のスキーエルゴを上位で通過しているにもかかわらず、スレッドプッシュの区間タイムは中位から下位にとどまっている。

03 スレッドプル
腕だけでなく全身を使え!

ロープを使ってスレッドを、12.5mを2往復、計50m手前に引き寄せる種目。背中や腕の筋力に加え、体重移動と足の踏ん張りが重要で、全身を使った持久的な引く力が試される。
「多くの選手が最も苦戦する種目で、私自身も最初は一番苦戦しました。ただ、その経験があったからこそ、重点的に練習を重ね克服することができました。今では得意種目です」

初レースとなった台北大会では6分48秒を要したが、半年後のソウル大会では4分22秒まで大幅に短縮。動作のコツを掴んだことで、この種目だけでなく、レース全体の組み立てにも好影響を与えたという。
「HYROXは長いレースなので、一つの種目での取り組み方が、別の種目に影響することがよくあります。実際、ソウル大会では下半身をうまく使ってスレッドプルをクリアできたので、握力が重要なファーマーズキャリーでも良いタイムを出すことができました」

04 バーピーブロードジャンプ
焦らずにペースを維持せよ

バーピー動作と前方へのジャンプを繰り返し、80mを進む種目。全身持久力とメンタルの強さが問われ、リズムを崩すと一気に消耗が進む。ここで前半戦の終盤を迎え、レース展開は徐々に激しさを増していく。懸命なジャンプで少しでも距離を稼ぐタイプの選手と、小刻みなジャンプを重ねながら淡々と前進する選手に分かれ、戦略の違いがはっきりと表れる局面だ。
「私は小刻みなジャンプで淡々と前に進んでいくタイプです。とにかくキツくても無心で前に進み続けることを意識しています」

大きなジャンプは一気に距離を稼げる反面、前半で使った下半身に強いダメージを残しやすい。後半のランやワークアウトを見据えた判断力が、この種目の明暗を分ける。
「ペナルティも取られやすい種目なので、焦ってフォームが雑にならないようにも気をつけています。しっかり胸を床につけて、確実に飛ぶ。スピードよりも再現性を優先する方が大切だと感じています」

05 ローイングエルゴ
リカバリーするようなイメージで

ローイングマシンを使い、1000mを漕ぐ種目。脚・体幹・腕を連動させた効率的な動作が不可欠で、心肺機能と技術の両立が求められる。
「最初のスキーエルゴと同様に、無理のないペース配分を意識しています。もちろん楽なワークアウトではありませんが、バーピーブロードジャンプで消耗した身体を、少しリカバリーするようなイメージで取り組んでいます」

ローイングエルゴは8種目の中で唯一“座って行う”種目。ここまで5kmを走り、4種目をこなしてきた身体にとって、動作と呼吸を一度落ち着かせられる貴重な局面となる。

ここで無理をしすぎず、自分の状態を客観的に見て整えられるかどうかが、後半戦の展開を大きく左右する。
“ここまで来ても頑張りすぎない”ローイングエルゴは、HYROXレース全体の流れを見極める一つのターニングポイントと言えだろう。

06 ファーマーズキャリー
理想は休まずに走り切ること

両手に重りを持ち、200mを運ぶ種目。握力や体幹の安定性が重要で、姿勢が崩れると一気にペースダウンにつながる、シンプルだが過酷な種目。

ケトルベルは何回床に置いて休んでも構わないが、言うまでもなく、休まずに完走できればタイムが稼げる。ウエイトはカテゴリーによって違う。男子プロは1個当たり32kg、女子プロ、男子オープンは24kg、女子オープンは16kgとなっている。
「地味な種目ですが、握力だけでなく下半身にもかなり疲労が溜まります。8種目の中では一番早く終わる種目になるかと思うので、一度も休まずに走り切るのが理想です」

一度止まってしまうと、レース後半での“少しの休憩”が、想像以上に長引いてしまうこともある。

だからこそここでは、苦しくてもリズムを崩さず、次の種目へ勢いをつなげる意識が重要になる。

07 サンドバッグランジ
足が攣らないように慎重に進め

サンドバッグを担いだ状態で、前方へランジ動作を繰り返し、100m進む種目。下半身の筋持久力に加え、体幹の安定性とバランス感覚が強く求められる。

ルール上、サンドバッグを床に置くことは許されないため、脚だけでなく精神的な耐久力も試される。
「いつもファーマーズキャリーからランジのあたりで足が攣りそうな感覚が出てきます。完全に攣ってしまうと走れなくなるので、慎重に進んでいます。立ち止まることはありますが、焦らず歩幅を抑えながら、確実に一歩ずつ前へ進むことを意識しています」

ここで無理をすれば、残りのランとウォールボールに致命的な影響が出る。逆に、このランジを“崩れずに終えられるかどうか”が、レース全体の質を決定づける。
「正直に言えば、今も課題種目です。でも、ここを安定させられたとき、一つ上のレベルになると思います」

08 ウォールボール
どれだけ練習したかが物を言う

HYROX最後の砦であり、ボールを決められた高さのターゲットへ100回投げる種目。スクワットとスローを連続で行うため、下半身と心肺への負荷がレース終盤の身体に大きく響く。横浜大会からはターゲットがデジタル化され、判定はより厳格になった。
「初めてデジタルターゲットが導入された大会では、かなり苦戦しました。届いているけど正確に当たっていなくて、ノーレップが何度もあり、正直心が折れそうになりました」

しかし、ゴールが近づいてくるという側面もある。
「だんだんゴールという実感が湧いてくると、逆に身体が動く感覚もあります。最近は20回ずつ刻むイメージで臨んでいますが、トレーニングではオープン重量(6kg)で300回をノンストップで行ったこともあります」

実際、ウォールボールで逆転し、表彰台を掴んだレースが何度もある。

取材・文:林健太 撮影:EISUKE KOMATSUBARA Web構成:中村聡美

-フィットネス, HYROX
-,

おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手