
2025年日本クラス別ボディビル選手権85kg以下級王者・椎名拓也選手。激しいトレーニングの代償として腰椎ヘルニアを発症した椎名選手が、さらに成長するきっかけとなったのは、「A-wear」だった。日常的に装着して過ごすというツールの体感を語ってもらった。
取材・文:舟橋位於 撮影:舟橋賢 取材協力:スポーツGYMドリーム Web構成:中村聡美
今まで効かなかった種目が効くようになる!
ボディビルのトレーニングでは、身体本来の自然な姿勢から崩れた状態で行う種目もあります。そういった種目を継続していると、身体は元々あるべき状態から離れて歪んでいってしまうはずです。コンディショニングをトレーニングと並行して行うことで、この歪んでしまった身体を正しい状態に戻すことが大切だと思っています。歪みが蓄積した状態でトレーニングを継続することは、身体の不調や怪我につながる恐れがあるので、特にハードなトレーニングを行う場合は気をつけないといけません。
コンディショニングで身体を正しい状態に整えることができると、今まで効いていなかった種目が効くようになることもあります。また、うまく動かせなかった部分が意識的に動かせるようになるということもあります。今回紹介するA-wearワークなどで、自身の身体の状態を正しく理解していけると良いでしょう。
椎名拓也が実践するコンディショニング大公開!
現在のコンディショニングでは、A-wearを用いたワークに加えて、ジュラシック筋膜リリースを受けています。ジュラシック筋膜リリースは、自分自身では取り切れないような身体の歪みや緊張を改善できるのが良いところです。最低でも月に1回は受けるようにしていて、大会前だと1カ月に3回受けることもありました。
それ以外では、ストレッチであったり身体をほぐしたりという基本的な内容も毎日行っています。これに加えて呼吸のエクササイズも取り入れていますね。こういったコンディショニングに取り組むことで、全身がリラックスして副交感神経が優位になり、睡眠の質が上がる体感があります。
筋肉の過緊張は、自分の場合は右の股関節や体幹部が該当します。全体として右側が内旋しがちな状態ですね。これについては、フォームローラーやナボソを使って、トレーニング前や就寝前にケアするようにしています。
キーワードはガンフィンガーポーズと足チョップ
A-wearを使うにあたって、注意するポイントは特にありません。まずは単に指につけてみるだけでも良いです。自分はトレーニング前後のワークの際に使うほか、日常的にも着用するようにしています。
ワークに共通するのは、手の親指と人差し指を伸ばし、他の指は曲げるガンフィンガーポーズです。足幅は拳1つ分として、つま先が約30度外方向を向くようにして立ちます。その状態で足の親指を持ち上げるようにして、足チョップと呼ばれる形を作ることも大切です。このようなポイントを意識することで、A-wearワーク中にお腹が引き上がる感覚や背骨が真っすぐになる感覚を得ることができます。
簡単なA-wearの種目を一通りやってみるだけでも身体の変化が感じられるはずなので、そこから必要に応じてワークの種類や時間を増やしてみると良いでしょう。
A-wearがなければヘルニアで何もできなかった!?
最初にA-wearを手に取ったきっかけは鈴木雅さんが着用しているという情報からでした。まずはとりあえずつけてみて、それからトレーニング時にもつけるようになりました。結果として、筋肉への刺激の入り方が良くなったり動きが良くなったりという体感はありましたが、この段階ではまだA-wearをつけているだけでした。
その後、元々怪我の多かった腰にさらに椎間板ヘルニアを患うことになります。このタイミングで、A-wearを使ったワークを積極的に取り入れるようになりました。今回のHow Toで紹介するような種目を行っていく中で、身体の歪みが取れていき、自然とヘルニアの症状が軽減されていきました。もしもA-wearに出合うことがなかったら、ヘルニアで何もできず、おそらくトレーニングもできなくなっていたのではないかとさえ思います。
今はトレーニング前のコンディショニングは大体1時間で、そのうちの30分ほどがA-wearを用いたワークです。時間があるときは、トレーニング後にもA-wearを使った種目を行うようにしています。
まずは何かコンディショニングを取り入れよう
コンディショニングという言葉は最近よく耳にするものの、何から始めれば良いか分からない方も多いと思います。そんな方は、とりあえずフォームローラーだけでもやってみると良いです。やり方もなんとなくで良いです。コンディショニングを実際に体験することで、何かしらの身体の変化が感じられるはずです。そのようにして、いつもと違う感覚が得られると、だんだん自分の身体に対する細かい気づきが得られるようになってきます。そうしていくうちに自分の身体の癖が見つかるようになったら、今度はその部分に対応する処方をしていけると良いですね。
身体の歪みや過緊張を取ることができると、当然トレーニングにおける怪我のリスクを低下させられます。また、自分のように腰の怪我が多く慢性的な問題があったとしても、強度を保ったトレーニングができるようになる場合もあるでしょう。
A-wear(エーウェア)とは?
指先に装着するだけで、姿勢改善・肩こり軽減・パフォーマンス向上へ導いてくれる、新発想のコンディショニングツール。指先から軸が整うことで肩甲骨や股関節までの連動が変わり、トレーニング効果を最大化する “隠れた名脇役 ”だ。すべてのエクササイズをサポートしてくれるので、装着しながらのトレーニングも可能。
■実践ワーク編はこちら!
https://www.fitnesslove.net/fitnesscategory/conditioning-goods/146789/
しいな・たくや
1999年3月24日生まれ。千葉県在住。身長172cm、体重80kg(オン)、88kg(オフ)。スポーツGYMドリーム代表。2024年JBBF日本クラス別選手権大会男子ボディビル75kg以下級3位、2025年同大会85kg以下級優勝。
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