ベンチプレスをしていると、なぜか胸ではなく肩に効いてしまう…そんな悩みを抱えていませんか?実はその原因、フォームではなく“ある部位のコンディション”にあるかもしれません。今回はその原因と、解決につながる2つのコンディショニングを紹介します。
※IRONMAN 2023年7月号に掲載された「1POINTコンディショニング」をWEB用に編集したものです。
ワンポイントコンディショニング第1回
お悩み「ベンチプレスで肩に効いてしまう」
【原因】
肩に刺激が入る理由としてはアーチが作れないというのが大きな要因として考えられます。アーチが上手く作れないと、肘を閉じることができず、肩が上がった状態で動作してしまい、支点となった肩に効いてしまいます。さらに肩関節も痛めてしまうのでしっかりとアーチを作りましょう。
【改善の考え方】
アーチを作るために大事なのは胸椎の伸展、肩甲骨を下制・内転・後傾です。この動きがしっかりコントロールできるようになるととアーチが作れるようになります。胸椎の伸展に関してはストレッチポールなどを使用して可動域を広げていきましょう。今回ご紹介する肩甲骨についてですが、まず肩甲骨が前傾する要因を解消するために小胸筋の緊張をほぐすことが重要になります。次に肩甲骨を下制・内転させるために使えていない筋肉を働かせるためのエクササイズをしていきます。
コンディショニング01:肩甲骨の前傾を解消!小胸筋をほぐすリリース
小胸筋はろっ骨の第三から第五の前面から始まって、肩甲骨の烏口突起に付着しています。その部分に対して、テニスボールでもラクロスボールでもなんでもいいので、当てて筋肉を動かしていきます。
ボールについて
テニスボールのほうが柔らかいので、女性や筋肉量の少ない方はテニスボールから始めたほうがいいです。筋肉量が多い方はラクロスボール、部位によってはゴルフボールを使用してください。小胸筋はゴルフボールは圧がきつすぎると思います。
①小胸筋のところにボールを置いて、グッーと体重をかけて動かしていきます。うつ伏せになるだけで圧をかけられているので刺激は入っています。圧のかかっていないほうの脚を曲げてあげることで、上体が圧のかかっていない方に回旋し、より小胸筋に圧をかけやすい状況を作ることができます。
②圧のかかっている方の腕を上下に動かしてあげることで筋肉がリリースします。
コンディショニング01:肩甲骨を下制・内転を出しやすくする!コブラのポーズ
①肩甲骨の内転を作り、胸椎を伸展します。肩甲骨の下制を出したいので、肩が竦んだ状態にならないように首は長く、肩を落とします。
②手のひらを外側へ向け、上体を持ち上げていきましょう。肩甲骨内側下方の僧帽筋下部のあたりを使っている感覚があればOK。
【注意①】顎を引いた状態で行うこと。
【注意②】腰を反ってしまうと、今度は僧帽筋下部ではなく脊柱起立筋に刺激が入っているだけなので、みぞおちの少し上くらいまでを浮かせていく意識で行う。
寺田健太郎(てらだ・けんたろう)
日本体育大学大学院修了。ACTIVE RESET、STUDIO BAZOOKAトレーナー。2019神奈川県クラス別ボディビル選手権70kg以下級2位。主な資格は柔道整復師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、健康運動指導士など。
取材:IRONMAN編集部 撮影:北岡一浩 取材協力:ACTIVE RESET