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巻き肩・猫背を即改善!ストレッチポールの正しい使い方と効果を寺田トレーナーが解説【ストレッチポール入門《解説編》】

どこのジムにも必ずと言って良いほど置いてあるストレッチポール。上に乗って身体を伸ばすだけでも気持ち良いが、他にもさまざまな活用法があることを知っている人は少ないかもしれない。今回は、ストレッチポールの特徴から実践的な使い方まで、余すところなく寺田トレーナーに解説していただいた。

取材・文:舟橋位於 撮影:北岡一浩 取材協力:Fitness Lounge Sync Web構成:中村聡美

撮影モデルは重岡赳瑠トレーナー

ストレッチポールの特徴を知る

ストレッチポールを使う目的は、アスリートでも一般トレーニーでも同じで、身体のコンディションを整えることにあります。コンディションの整え方についてさらに詳しく言うと、「筋過緊張を緩和させること」、「筋肉を伸ばすこと」、「関節の可動性を確保すること」、「アライメントを整えること」の4つのポイントが挙げられます。ストレッチポールの使い方を工夫することで、これら4つのポイントからコンディションを整えていくことが狙えるでしょう。

バルクアップトレーニング

コンディションを整えるためのグッズはストレッチポール以外にもたくさんありますが、その中で、ストレッチポールには次のような特徴があります。

1つ目は、長い筒状であることです。この形状であるために、上に乗った状態でエクササイズを行ったり、コロコロと転がしながら動作したりということが可能になっています。

2つ目は、適度な柔らかさがあることです(商品によって異なるため自身に合った固さをおすすめします)。ストレッチポールと似た形状のグッズとしてフォームローラーを想像される方もいると思いますが、あちらはストレッチポールと比べると比較的頑丈で、ストレッチポールと比較すると表面が固くできています。一方のストレッチポールは比較的柔らかめであるため、上に乗った際に地面に接する面積が大きくなり安定しやすい特徴があります。そのため、身体のコントロールが苦手な方でも、使用する際に安定して姿勢を作りやすいと言えます。表面が固すぎると、接触面が小さくなるため、身体操作に慣れていない方には、「上に乗ったときにバランスがとりづらい」といったように活用が難しくなってしまうというわけです。

ストレッチポールの活用法

ストレッチポールを使う目的は、前述した4つになります。

まずは「筋過緊張を緩和させること」についてです。過緊張している筋肉をターゲットとしてアプローチするのですが、ここで大事なのが、強い圧をかければ良いわけではない点です。対象筋の過緊張を緩めたりするために筋肉への最適な圧を探っていく必要があります。そのため別記事のHowToの中でも解説するように、ポールに乗っていない部分を上手く活用して、重力による筋肉への圧を調節していくことが重要となってくるわけです。

続いては「筋肉を伸ばすこと」です。今回は、HowTo部分で、前ももの動的ストレッチを紹介しています。トレーニング前に行うストレッチの中で、上手くストレッチポールを取り入れられると良いでしょう。

関節の可動性を確保すること」の例として、胸椎の伸展が挙げられます。デスクワークが多く、猫背や巻き肩のような姿勢の崩れが原因で背中が丸まってしまうと、ベンチプレスやラットプルダウンのような胸を張ることが重要なトレーニング種目が上手くできません。ストレッチポールで胸椎の伸展エクササイズを行うことで、この問題点の改善を狙っていきます。

モビリティ

最後は「アライメントを整えること」です。ここでいうアライメントとは、骨格(骨・関節)が理想的な位置にあることを指します。スポーツ動作においてもトレーニングにおいても、正しい姿勢を作ることで最大のパフォーマンスを発揮できるようになります。その解決策の一つとして、ストレッチポールを上手く活用していくことが鍵となります。

アスリートでも一般トレーニーでも、身体のコンディションを整えるという目的は同じだとお話ししましたが、実は両者の間には違いもあります。それは、アスリートのほうが自分の身体の状態に敏感であることです。アスリートは、身体が崩れるとパフォーマンスが落ちてしまうことにすぐ気がつきます。一方で、一般の方は仕事や勉強がメインで座りがちです。身体を動かすことが少ないので、人間が本来備えている可動域で身体を使うことも少なく、長年動かしてこなかったために、身体が持っている他の動きへの感度が鈍ってしまうことがあります。

このような背景を踏まえると、アスリートはもちろんなのですが、一般のトレーニーにこそ、ストレッチポールを活用してほしいです。日常生活では行わない動きをしてみたり、崩れている部分を整えたりするというのがその例です。理想となる身体の使い方や動きを出していくためにコンディショニングを行うことは、アスリートでも一般の方でも変わらない部分です。しかし、一般の方のほうが自分の身体に対する理解度が高くないことに加え、崩れてしまっていることが多いので、ストレッチポールをその助けにできると良いのではないでしょうか。

よく見られがちな身体のエラーについて知ろう

ここからは、ストレッチポールで改善の狙える身体のエラーを紹介します。ご自身がここで挙げたエラーに該当する場合は、ぜひ、この後のHowToで紹介するエクササイズを普段の生活に取り入れてみてください。

特によく見られるのは肩周りの問題ですね。肩がさまざまな方向に自然に動かせる場合は問題ないのですが、猫背の方はこれが難しくなります。猫背の方は、肩が前方に行ってしまう、いわゆる「巻き肩」の姿勢になっているのですが、この状態では、スクワットの際にバーベルを上手く担ぐことができません。

私が指導する際には、このような上半身の問題に対して、ストレッチポールを利用したアプローチを取ります。下半身の過緊張を緩和する目的でストレッチポールを使用することもありますが、その場合は、必ずしもストレッチポールでなくとも、マッサージガン等でのアプローチもおすすめです。

ここまでに紹介したように、姿勢が悪いという自覚がある方や、腕が上がりづらいと感じている方は、ストレッチポールを使ってみると良いと思います。別の視点では、ジムに着いてからのウォームアップで何をやれば良いか分からない方にも、ストレッチポールをおすすめしたいです。今は基本的なストレッチしか行っていないという方も、HowToで紹介するようなストレッチポールを使った種目にチャレンジしてみると良いと思います。

ストレッチポールはどこのジムにも基本的にはあるので、「グッズを使って自分の身体をより良い状態にする」という気づきを得るためには最適なアイテムの一つなのではないかと個人的には思いますね。もう一つ使用がすすめられるのは、体幹の使い方があまり分かっていない方です。このような方のコアトレのためのツールとして、ストレッチポールを活用することもあります。ストレッチポールがない状態でも体幹トレーニングは行えるのですが、ポールの上に寝て、不安定な状態で動作をすると、少し難易度の高いエクササイズに挑戦できるようになります。

ストレッチポールを活用したエクササイズ11選

今回のHowToでは、ポイントとなる「筋過緊張を緩和させること」、「筋肉を伸ばすこと」、「関節の可動性を確保すること」、「アライメントを整えること」の4点にアプローチするエクササイズを選定しました。

まずは、「ベーシック7」と呼ばれるエクササイズに取り組んでみましょう。これを行う中で、自分が得意な動作と苦手な動作が見えてくるはずです。
さらに、追加の種目として4種目を紹介しています。これらについては、よくあるNGパターンや発展的なやり方等も解説していますので、ぜひご自身のトレーニング前後のコンディショニングに取り入れてみてください。

■How to編はこちら!

https://www.fitnesslove.net/?p=140368&preview=true

てらだ・けんたろう
日本体育大学大学院修了。ACTIVE RESET、STUDIOBAZOOKA トレーナー。FitnessLounge Syncオーナー。2019年神奈川県クラス別ボディビル選手権70kg 以下級2位。主な資格は柔道整復師、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、NSCA 認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、健康運動指導士など。

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