フィットネス HYROX

「HYROX(ハイロックス)はインフラになる」世界で急速に広がる新フィットネスレースを日本で広める47歳が語る展望

世界的に拡大を続けるフィットネスレース「HYROX(ハイロックス)」。その裏側で、日本における普及とビジネス基盤の構築を担うキーパーソンがいる。HYROX365のアフィリエイトマネージャーとして活動する郡勝比呂(こおり・かつひろ/47)さんだ。単なる競技の普及ではなく、「インフラ」として定着させる——その壮大な構想を語った。

「HYROXは文化を超えてインフラになる」

現在、国内には約95のアフィリエイトジムと45人のコーチが存在。これを郡さんは将来的に「ジムとコーチを合わせて1000契約」まで拡大する構想を描いている。

「運動機会を増やし、レースを目標にする人が増えれば、普段から運動する人も増える。フィットネス参加率が上がり、市場そのものが広がっていく」

現在約6000億円規模とされるフィットネス市場についても、「HYROXに関わる人が100万人規模になれば、新たに500億円の市場が生まれる」と試算。市場全体を押し上げる存在になり得ると語る。

さらに海外の事例から、その未来像はより明確だ。

「ドイツなどでは、街中にHYROXができるジムがあり、旅行者が“ここでできる?”とドロップインで来る。つまり“運動=HYROXで検索する”状態になっている。日本もそうなると思います」

ピラティスやヨガのように、競技名がそのまま運動の入口になる。郡さんは、HYROXがそこに並ぶどころか、それ以上の存在になると見ている。

急成長の裏にある「自然流入」と市場拡張戦略

アフィリエイトジムの拡大について、郡さんは「積極営業というより自然流入」と語る。

競技に関わる人たちのSNSやブログでの発信に加え、業界での人脈を通じた紹介が主な流入経路。現在はHYROX自体の認知拡大により、「やりたい」と問い合わせが来る状態にあるという。

「今は急成長しているので、こちらからアプローチするというより、向こうから来るイメージですね」

実際、2024年からスタートしたアフィリエイト制度は、短期間で約100に迫る規模へと拡大した。

また日本特有の事情として、ジムよりもコーチが増えやすい構造も指摘する。

「海外は広いスペースのジムが多いが、日本は土地が少なく、小規模な個室ジム文化がある。HYROXのようなトレーニングは広い場所が必要なので、コーチとして活動する選択が増えている」

この柔軟な拡張モデルも、インフラ化を後押しする要因の一つだ。

「安全性×競技性」完成されたフィットネスの最終形

郡さんがHYROXに可能性を見出した背景には、10年以上にわたるファンクショナルトレーニングの経験がある。

「TRXやバイパーなどを使い、動きを良くするトレーニングをずっとやってきたが、日本ではなかなか市場として育たなかった」

そこに登場したHYROXは、「屋内開催」「世界共通ルール」「スコア化」という要素を持つ新しい競技だった。

「天候に左右されず、記録が可視化され、旅行と組み合わせて楽しめる。これは絶対に流行ると思った」

さらに、クロスフィットやスパルタンレースとの違いについても明確に語る。

「クロスフィットやスパルタンレースは、技術やパワーを極限まで求める分、ハードルが高いと感じる人もいる。HYROXは安全性とフィットネス要素がしっかり設計されていて、誰でも参加できる。全身をバランスよく鍛えられる“完成された種目”です」

万人が参加でき、健康維持にもつながる設計こそが、長期的な普及の鍵だという。

「検索される競技」がビジネスを変える

郡勝比呂さん

HYROXのもう一つの特徴が、ビジネスとしての強さだ。

「運動したい人が“HYROXで検索する”ようになると、ジムも自然に検索される。つまり顧客獲得単価が圧倒的に下がる」

一般的なパーソナルジムでは、1人の顧客獲得に5万円以上かかるケースもあるが、HYROXでは2000〜3000円程度に抑えられるという。

「今は急成長期なので、競合が少ない。先行者利益が取れるビジネスチャンスでもある」

さらに重要なのは、その持続性だ。

「パーソナルトレーニングは一時的に伸びても、長期的には厳しくなっている。HYROXは長く安定して続くビジネスになる可能性が高いと考えています。夢がありますよね」

そう語る郡さんのビジョンは、単なる競技普及にとどまらない。運動習慣そのものを変え、フィットネス市場を拡張する“社会インフラ”としてのHYROX。その未来は、すでに現実味を帯び始めている。

取材・文:FITNESS LOVE編集部 写真提供:郡勝比呂

-フィットネス, HYROX
-

おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手