2月24日(月・祝)、スパイスアップフィットネスNeo梅田店で「男性限定の尻トレイベント」が開催された。普段は女性専用のジムであるスパイスアップフィットネスが、この日だけは男性のために開放され、お尻トレーニングの先駆者、岡部友さんをはじめとするプロトレーナー3名が指導にあたった。イベント前半の1時間は「パワーヒップネス(※)」で日常で眠っているお尻に刺激を入れて目覚めさせ、イベント後半は専用のマシンを使ったグループトレーニングの構成。一見すると軽めの運動のように思える。しかし、実際に体験してみると、その負荷は想像を超えるものだった。
※ 専用のグルーツバンドを使用しながら音楽に合わせて楽しくエクササイズを行い、効果的に「ヒップアップ」が目指せる「美尻」プログラム。
前半のパワーヒップネスですでにお尻がパンパンの参加者男性陣だが、ここからがいよいよ本格的なお尻トレーニングの時間だ。指導するのは、お尻トレーニングの先駆者、岡部友さんを含む3名のプロトレーナー陣。参加者は7名、それぞれが7つのトレーニング種目を順番にこなしていく。
形式は、1人1種目を4分間行い、終わったら次のマシンに移動するサーキット方式。普通のトレーニングなら1セット30秒~1分が一般的なところ、4分間連続でお尻を酷使するという、なかなかのチャレンジだ。参加者たちは果たして最後までやり切ることができるのか……!?
7つの美尻トレーニングに挑戦!
■ヒップスラスト
お尻トレーニングの王道「ヒップスラスト」だが、今回は2024年世界新発売の専用マシン「ヒップスラストエリート」を使用。
〜動作ポイント〜
・骨盤を後傾させ、お尻を最大収縮させながら引き上げる
・お尻の力で持ち上げ、トップでしっかり締める
・お尻のストレッチを感じながら下ろす
「開始1分でお尻が痛くて動けなくなった…!」。角度のついたベンチとショルダーパットにより、負荷が抜けにくい設計になっている最新のマシン。そこに加えてトレーナーによる適切な指導で一切負荷が抜けなかった。前半のパワーヒップネスで行ったヒップブリッジよりも一気に強度が上がり、呻き声や悲鳴を上げる人が続出した。
■ブルガリアンスクワット
片脚を台に乗せ、ダンベルを持って行うスクワット。股関節を折りたたむ『ヒップヒンジ』を意識しながら、斜め前へ押し出すように立ち上がる。
〜動作ポイント〜
・片脚を後ろの台に浅めに乗せ、前足重心でダンベルを持つ
・骨盤を折りたたむようにして、後ろ足の膝を地面に下ろすように深くしゃがみこむ
・身体を斜め前に押し出すように立ち上がる
「ダンベルを持たずに、自重でもキツい…!」。負荷がダイレクトにお尻に入り、普段ブルガリアンスクワットを高重量でしている男性陣だが、膝から崩れ落ちる人が多かった。参加者の多くは、岡部さんに身体を支えてもらいながら上がるのがやっとだった。
■グルーツブリッジ ウィズ バンド
脚を台に乗せ、ゴムバンドの抵抗に逆らいながらお尻を持ち上げるトレーニング。ゴムの張力があるので、お尻を上げるほどに負荷が高くなる。
〜動作ポイント〜
・仰向けの状態でバンドで股関節を締めて両脚を台に乗せる
・お腹、お尻の順番で力を入れて、腰から反らないようお尻で引き上げる
・ゴムの張力に負けないように、お尻をしっかりと上まで引き上げる
こちらはダンベルなどの重りは使用しないが、ゴムの張力の抵抗でお尻を上げるほどに負荷が増える。開始1分でお尻が上がらなくなくなり、ゴムで縛られて身動きが取れなくなる参加者がいる中、「まだ休憩じゃないよー!」という岡部さんの声が響き渡る。それでも身体が動かない参加者たち。ほとんどの参加者が、すでに限界を越えていた。
■アブダクション
『3Dマルチアブダクター』という最新マシンを使ってのアブダクション。脚を閉じた状態から、脚を開くというシンプルな動きだが、マシンの起動が立体的な軌道を描くため、強い刺激が入る。
〜動作ポイント〜
・骨盤を前傾し、膝をしっかりと閉じた状態で、お尻のストレッチさせる
・骨盤を後傾しながら、お尻に力を入れて膝に当てたパッドをしっかりと外へ開く
・骨盤を前傾に戻しながら、お尻をしっかりとストレッチさせていく
「脚の力じゃなくて、お尻を意識するのが難しい…」。普段筋トレをしている人でも、お尻よりもつい脚の力で開いてしまいがちになる。骨盤や股関節の微妙な使い方の変化で強烈な刺激がお尻に入り続ける。
■カートシーランジ
スミスマシンでバーベルの軌道を安定させた状態で行う。片脚をクロスさせながらしゃがむことで、お尻の側面にしっかり刺激を入れる種目。
〜動作ポイント〜
・片脚を斜め後ろへクロスして、前足体重で立つ
・前脚に体重を乗せ、脛が地面に垂直を保ったまま下がっていく
・後ろ膝が地面に付く寸前まで下ろして、前足体重のまま元の姿勢に戻る
「膝がガクガク震えて、3~4回で動きが止まる…!」。脚を前後に開く『ランジ』のトレーニングでは、前ももや後ろ脚に効くという方が多い。だがポイントを押さえたフォームだと、ずっとお尻に負荷が乗り、途端にキツくなる。片脚2分ずつ行ったが、5回動かしただけで脚がガクガクと震えて、『普段のランジは何だったのか』と痛感させられた。
■45度ヒップエクステンション
膝を曲げて行う「バックエクステンション」。膝が曲がっていることで、もも裏の力を使わずに、お尻をメインで鍛えられる。
〜動作ポイント〜
・膝を曲げて、猫背姿勢で上体を丸める
・上半身の力は使わずに、お腹に力を入れて、お尻を絞めながらしながら上体を起こす
・絞めたお尻の力を緩めながら、ゆっくりと元のポジションに戻る
「猫背姿勢を意識すると、お尻にピンポイントで入る…!」。普段は背中を鍛えるバックエクステンションだが、あえて猫背姿勢で行うことでお尻だけピンポイントに鍛えることができる。また、お尻を絞めるときは、前ももでパットを押し付けることで骨盤が後傾し、お尻をさらに強い力で引き締めることができた。バックエクステンションで背中を鍛えている人は、お尻を狙ったヒップエクステンションを取り入れてみるのも良いかもしれない。
■ランドマイン・シングルルーマニアンデッドリフト
バーベルの端を持ち、片脚で行う片足のデッドリフト。片足立ちで行うため、バランス能力やお尻ともも裏のコントロールが求められる高度な種目。
〜動作ポイント〜
・片手でバーベルの端を持ち、片脚重心でバランスをとって立つ
・バランスを取りながら、お尻からもも裏までがストレッチされるのを意識して股関節を曲げる
・動作中は肩から腰までが一直線になるようにキープする
「バランスを取るのが難しくて、お尻に効かせる余裕がない…!」。片足で股関節を動かす動作はなかなか難しい種目。バランスが保てなかったり、上体が外に開いたり、腰から動かしてしまう場面もあった。それでもトレーナーからの指導で、動作ポイントを掴んだ参加者は「あ、こういうことか…!!」と苦痛の表情を浮かべながら取り組んだ。
【まとめ】本気のお尻トレーニングは予想を遥かに上回るキツさ!!
4分間×7種目=合計28分間、お尻を鍛え続けた今回のサーキットトレーニング。
「ヒップスラストで燃え尽きた…」。「ブルガリアンスクワットで立てなくなった…」。「アブダクション、全然お尻の力を使えてなかった…」など、参加者はお尻トレーニングの過酷さや奥深さ、そして限界を突破するメンタルを体感し学んだ。本気でお尻のトレーニングをしたい人、競技力を上げたい人、女性トレーニーがどれほどキツいことをやっているか興味本位でもやってみたい人は、ぜひ体験してみてはいかがだろうか。
おかべ・とも
1985年12月6日生まれ、神奈川県出身。株式会社ヴィーナスジャパン代表取締役。分子整合栄養アドバイザー。高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中に、プロアスリートに指導できるスポーツトレーナーが保持する資格NSCA-CSCSを取得。女性専門ジム「SPICEUPFITNESS」を東京、大阪、名古屋の5店舗で運営。NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に出演し大きな反響を呼んだ。IG:@tomo_fitness
SPICEUPFITNESS(スパイスアップフィットネス)
岡部友が設立した女性専用フィットネスジム。トレーナーやスタッフも全て女性で構成されており、脂肪燃焼や筋力アップなど、個々人の目標を達成するために厳しい研修を経た一流のトレーナーたちが全力サポートする。特に「美尻トレーニング」に特化しており、ヒップの筋肉を鍛えることで女性らしいボディラインを作り出すことを重視する。店舗は東京の南青山・原宿、大阪の心斎橋・梅田、名古屋と計5店舗。
取材・撮影:柳瀬康宏 写真提供:SPICE UP FITNESS