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“立体胸筋”を生み出す最強胸トレ7選《前編》━グラチャン3連覇・伊吹主税のメンズフィジーク講座【胸トレ編】

どこの部位も、どこから見ても隙のないフィジーク絶対王者、伊吹主税の身体。その裏には緻密に考え抜かれたトレーニング技術が隠されていた。
今回は伊吹主税のフィジークの特徴の一つである胸に注目する。各トレーニングを基本の動作から、ワンランクアップするための伊吹式の『チカラポイント』を紹介していく。骨格によってはなかなか成長が難しい部位であるが、分厚い胸を作り上げた伊吹の技術を見ていこう。

【写真&動画】伊吹主税の大胸筋トレーニング解説

取材・文:柳瀬康宏 撮影:中島康介(大会写真)、岡暁(トレーニング写真) Web構成:中村聡美

フィジーク競技における胸の重要性と目標とするイメージ

フィジーク競技ではフロントポーズが審査の中でも7〜8割を占めるぐらい大切なんです。もちろん逆三角形を演出するために肩の張り出しが大切なのですが、それに見合った胸のバルクが求められますね。特に胸の上部が弱い選手が多いので、そこを鍛えることで、肩から胸上部のラインが圧倒的にカッコよくなりますよ。もちろん胸が発達しているけど、肩や腕が追いついていないとバランスが悪く見えてしまうので、トータルのバランスが整っているというのが前提ですよ(笑)。

べンチプレス

私は胸の第1種目は、ベンチプレスかダンベルチェストプレスを隔週で行っています。本当は毎回ベンチプレスで重量を扱いたいのですが、どうしても関節に負担がかかってしまうので、ダンベルチェストプレスと交互になるようにメニューを組んでいます。あ、とは言ってもダンベルも片手40㎏でメインをやっているので、軽いわけではないですよ?(笑)。ベンチプレスの特徴としては動作の中間位で一番負荷が強くなるミッドレンジ種目となります。全身を使って出力を高める意識で行いましょう!

セッティング

①セーフティバーを自分の胸に落ちない位置にセットする
②シャフトの高さを、自分が楽に戻せる位置にセットする

基本動作

①ベンチに仰向けになってバーを握る
②バーを持ち上げて、スタートポジションを作る
③胸に向かってバーを下ろす
④バーをトップポジションに挙上する

各動作ポイント

バーを握るときは、腕がベンチと直角になったポジションで仰向けになります。肩甲骨を下制して、僧帽筋をストッパーにしてアーチを作ります。このときの手幅は、バーを胸まで下ろしたときに前腕が地面と垂直になる位置にしておきましょう。あとグリップですが、手のひらでしっかりと押し込んで握ります。指側で握ってしまうと手首が大きく曲がってしまい、怪我の原因になります。なので手首は(少し)立てておきます。次にバーを持ち上げてスタートポジションを作るときは、脇を締めて肘を外旋させます。それと同時に胸郭もしっかりと立てます。バーを下ろすときはゆっくりと自分の乳首に向かって下ろすイメージをします。このときに肘が開いたり、肩が上がったりしやすいので注意です。最後に持ち上げるときのポイントは、胸を寄せるように挙上して、足でしっかりと地面を踏みながら動作することです。

チカラポイント

あと細かいポイントですが、胸郭は動作ごとに立て直すと意識しやすくなります。脚は開きすぎず、内転筋にも力を入れて地面を足の裏全体で捉えることも大切です。1回1回丁寧に動かして素早く動作しないようにしましょう!

ダンベルプレス

ダンベルプレスはベンチプレスほどの出力が出せないかわりに、身体をコントロールしながら効かせにいく意識で行います。特徴としては中間位で一番負荷が強くなるミッドレンジ種目となります。胸に上手く効かせるテクニックもあるので、見ていきましょう!

基本動作

①ダンベルを膝に乗せて座る
②ベンチに仰向けになりダンベルを挙上する
③胸に向かってダンベルを下ろす
④スタートポジションにダンベルを戻す

各動作ポイント

座るときはベンチの端に座り、ダンベルの真ん中を握って膝に乗せます。仰向けになるときは、ダンベル・オン・ザ・ニー(身体を倒すときに、ダンベルを膝につけて一気に倒れる)の動作でダンベルを挙上します。仰向けになったら、肩甲骨を下制して、ダンベルを八の字で構えます。地面を足の裏全体で踏んで、身体にアーチを作ります。ダンベルを下ろすときは、ゆっくりと乳首のラインに下ろすようにします。挙上するときは地面を足の裏全体で踏んで、肩が上がらないように肩甲骨に負荷を感じながら動作しましょう。また、肘も伸ばし切らない方が良いですね。肘を伸ばし切ってしまうと関節に負荷が乗ってしまい、筋肉への負荷が抜けてしまいます。ベンチプレスと同じになりますが、胸郭は動作ごとに立て直すと意識しやすくなります。脚も開きすぎず、内転筋にも力を入れて地面を足の裏全体で捉えるようにしています。

チカラポイント

ダンベルをスタートポジションに持ってきて肩甲骨を寄せた後に、一度肩の力を抜いて、肩甲骨を下制させてショルダーパッキングします。これをすることで肩が安定して、怪我のリスクを軽減でき、効率的な筋力伝達ができるようになります。あとは、ダンベルを下ろし切った後に少しだけダンベルを外側に開いてみてください。そうすると胸郭が広がって胸にストレッチがかかり、内側に寄せようとする作用も働くので、そのまま親指側から寄せるイメージでプレスすると、胸の中心部までしっかりと効いてきますよ!可動域は、ダンベルが胸にちょんと触れるくらいですね。

インクラインダンベルプレス

この種目は大胸筋の上部を狙った種目です。フィジークにおいて肩から大胸筋上部の厚みはとても重要で見栄えが良くなるので、各ポイントを意識してみてください。種目の特徴は中間位で負荷が強くなるミッドレンジ種目です。

セッティング

ベンチの角度は30〜45度

基本動作

①ダンベルを膝に乗せて座る
②ベンチに仰向けになりダンベルを挙上する
③胸に向かってダンベルを下ろす
④スタートポジションにダンベルを戻す

各動作ポイント

仰向けになるときは、ダンベル・オン・ザ・ニーの動作でダンベルを挙上します。仰向けになったら、肩甲骨を下制して、胸郭をしっかりと立てるようにします。ダンベルを下ろすときは、手首を立てて、ダンベルは八の字で持って、肘は45度で下ろしていきます。胸郭は常に立てておき、しっかりと地面を足の裏全体で踏んでアーチを保持しておきます。

チカラポイント

骨盤を少し後傾させると、アーチの角度が抑えられるので、胸の上部に効きやすくなりますよ。脚を開きすぎると、骨盤が前傾してしまい、腰が反ってしまうので足は腰幅程度にしましょう。また、腹圧をかけて肋骨を締めておくことも有効ですね。

インクラインベンチプレス

この種目は大胸筋の上部を狙った種目です。フィジークにおいて肩から大胸筋上部の厚みはとても重要で見栄えが良くなるので、各ポイントを意識してみてください。種目の特徴は中間位で負荷が強くなるミッドレンジ種目です。

セッティング

①ベンチの角度は30〜45度
②おでこの真上にバーが来る位置にベンチをセット

基本動作

①ベンチに仰向けになりバーを握る
②バーを持ち上げ、スタートポジションを作る
③鎖骨に向かってバーを下ろす
④バーをトップポジションまで挙上する

各動作ポイント

バーを握るときは、手幅は肩幅より少し広い位置(だいたい81㎝ラインを小指に当てるくらい)で握ります。手首は寝かさず、( 少し)立てて、肩甲骨を寄せて肩が上がらないようにします。腰を反ってアーチを作らないように、胸を張る意識が大事ですね。バーを持ち上げるときは、肩甲骨に負荷が乗っていることを感じる意識で持ち上げます。下ろす際は、手首の真下に常に肘が来るようにします。

チカラポイント

インクラインダンベルプレス同様に、骨盤を少し後傾させると、アーチの角度が抑えられるので、胸の上部に効きやすくなります。また、動作する度にショルダーパッキングすると、胸に負荷を乗せて固定感を高めることができます。お尻が浮いたり、腰でアーチを作ったりしてしまうと、フラットなベンチプレスと同じ部位に効いてしまうので注意しましょう!

後編はこちら>>>

いぶき・ちから
1991年7月28日生まれ/滋賀県出身/身長173cm、体重71㎏(オン)、79㎏(オフ)/職業:トレーナー/戦歴:2021~2024年オールジャパンメンズフィジーク176㎝以下級4連覇。2022~2024年グランドチャンピオンシップスメンズフィジ―ク3連覇

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