ボディメイクと聞くと『割れた腹筋(6パック)』を思い浮かべる人も少なくないだろう。しかし、がむしゃらに腹筋運動を繰り返すだけで理想の腹筋が手に入るわけではない。
日本ボディビル選手権3連覇(2021〜2023年)を成し遂げた相澤隼人選手が、自身のYouTubeチャンネルで『腹筋を出すための優先順位』と『トレーニングの考え方』について徹底解説。初心者から上級者まで知っておくべき、腹筋づくりの“教科書”をお届けする。
【動画】最短で6パックを作る!日本チャンピオンが教える正しい腹筋の鍛え方(相澤隼人公式YouTubeチャンネル)

1. 腹筋を「見える」ようにするための最優先事項
相澤選手は、腹筋を割るために最も重要なのはトレーニングではなく『ダイエット』だと断言する。

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
腹筋を見えるようにしたいのであれば、一番優先すべきはちゃんとダイエットをして除脂肪していくこと。
体脂肪を落としていけば、腹筋自体は見えてくる。
どんなに腹筋が発達していても、その上に厚い脂肪が乗っていては見えてこない。まずは体脂肪をコントロールすることが、6パックへの最短ルートなのだ。
2. 腹筋の形や数は「遺伝」で決まっている?

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
多くの人が抱く「トレーニングで腹筋の形を変えられるのか?」という疑問に対し、相澤選手はこう解説する。
「腹筋の並びやパックの数(4パック、6パック、8パックなど)は遺伝で決まるもので、後天的な努力ではどうしようもありません」
ただし、一つ一つの筋肉の盛り上がり(筋腹)を大きくすることは可能だ。
アブローラーのように、筋肉が引き伸ばされながら負荷がかかる(遠心性収縮)種目を取り入れることで、パック自体をデカくすることはできる。しかし1パックあたりの筋肉量が多くないため視覚的な変化に辿り着くまでに時間がかかる。
腹筋に関する豆知識
●腹筋のパックの並び方やパック数は遺伝によって先天的に決まっている
●1パックあたりの筋肉量が多くないため視覚的な変化に辿り着くまでに時間がかかる
3. 相澤隼人の腹筋ルーティンと「呼吸」の重要性

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
相澤選手は『腹筋の日』を設けてガッツリとアウター(腹直筋など)を鍛えることは少ない。
その理由は、腰への負担とポージングへの影響だ。
「腹筋を意識しすぎて背中が丸まってしまうと、他の機能が損なわれ、結果的に良い身体なりづらくなる可能性がある」
そこで相澤選手が重要視しているのが“呼吸”だ。
基本は息を吐きながら、肋骨を締めて腹筋をアイソメトリック(長さを変えずに力を入れる)に働かせる。体幹を安定させる役割として腹筋を機能させることが、ステージ上で腹筋を鮮明に見せるための鍵となる。
相澤流の腹筋ポイント
●腹筋を伸びも収縮もさせずに体幹を安定させることで腹筋が働き鍛えられる
4.スクワットの『腹圧』と腹筋の『溝』は別物?

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
「スクワットで腹圧を高めれば腹筋は鍛えられるのか?」という問いに対し、相澤選手はこう回答する。
「もちろん体幹を支える筋肉として腹筋は使います。ただ、競技特性上の『深い溝(セパレーション)』を作る上では、腹圧をかけるのとはまた別の話だと考えています」
スクワットは息を吸って腹圧をかけるが、ボディビルのポージング(アブドミナル・アンド・サイなど)は息を吐ききって腹筋を見せる。
最終的に腹筋を鮮明に見せるには、呼吸によるコントロールが一番必要な要素になる。
腹筋の見せ方
●呼吸による介入と肋骨のコントロールが腹筋が見えるときには必要な要素になる
5.「腹筋だけ」を鍛えるリスク:姿勢の崩れ

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
腹筋トレーニングの意外な落とし穴がある。
腹筋(腹直筋)を意識しすぎると、腰椎を丸める動き(後傾)が強くなる。その状態で固まってしまうと、背中が丸まって広がりが出なくなったり、他の機能が損なわれる可能性がある。結果として、トータルで見たときに『良い身体』に見えづらくなる可能性がある。
腹筋を強くしたいからといって、腹筋運動ばかりを優先するのは危険だ。背中をしっかり使うデッドリフトなどの種目とセットで考え、「拮抗する筋肉をどちらも使える状態」にしておくことが、美しいアウトラインを作る鍵となる。
身体機能を損なわない腹筋ポイント
●背中を使える種目をちゃんとやった上で腹筋のエクササイズを取り入れる
6.オススメする腹筋トレーニングは『クランチ』か『レッグレイズ』
もし腹筋のトレーニングをルーティンに加えるなら、相澤選手は以下の2種目を挙げる。
・1種目クランチ:仰向けの状態から背中を丸め、上半身を軽く起こす種目。主に腹直筋の上部に強い刺激が入る。
・2種目レッグレイズ:仰向けで脚を伸ばしたまま上下させる種目。主に腹直筋下部に強い刺激が入る。

相澤隼人公式YouTubeチャンネルより
もし腹筋種目を取り入れるなら、相澤選手が現在推奨するのはクランチかレッグレイズ。特にエキセントリックで耐える感覚が得やすいレッグレイズを推奨する。
単に脚を振るのではなく、腹筋に負荷を乗せたままコントロールして下ろす。これが、腰を守りつつ腹筋の厚みを作るポイントだ。
腹筋運動で脚の付け根(腸腰筋)を使ってしまうことについても、相澤選手は肯定的な見解を示す。
極端に『腹直筋だけ』に分節して動かす(身体を丸める)やり方もあるが基本的には腸腰筋も使って連動させて良い。腸腰筋がうまく使えない人は、実はスクワットで深くしゃがめないことも多いことから腸腰筋を使うような、いわゆる”上体起こし”も悪いわけではない。
目的に合わせた種目選択
●腹直筋と腸腰筋を連動しながら必要なときは分節して動かせるようにすると良い
5. まとめ:トップビルダーでも意見が分かれる?
「腹筋をやるべきか、やらなくても良いか」という議論について、相澤選手は「トップビルダーでも、がっつりやっている人もいれば、全くやらない人もいる」と明かす。
そこの判断は難しいが、まずは体幹を支える役割として腹筋を機能させ、普段から使えるようにしておくことが何より大切だ。
そして基本として腹筋を見えるようにするにはダイエットをする。そして腹筋のトレーニングは身体全体のバランスと機能を高める。これこそが、日本王者が教える腹筋づくりの真髄だ。
相澤隼人(あいざわ・はやと)
1999年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。身長164㎝。俳優、パーソナルトレーナー。JBBF(公益財団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)の審査員としても活動中。2021~2023年日本選手権優勝。
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構成:柳瀬康宏 引用元:相澤隼人公式YouTubeチャンネル『【最短で6パックを作る】日本チャンピオンが教える正しい腹筋の鍛え方』
『月刊ボディビルディング』『IRONMAN』FITNESS LOVE』などを中心に取材・執筆。保有資格は、NSCA-CPT,NSCA-CSCS,NASM-CES,BESJピラティスマット、リフォーマー。メディカルフィットネスジムでトレーナーとして活動もしており、2019年よりJBBF、マッスルゲート、サマースタイルアワードなどのボディコンテストに毎年挑戦している。










