筋トレの効率アップ、くびれ形成、姿勢改善、そしてフェムケアにもつながるピラティスの要素を取り入れたワークを、倉畑優奈さんにレクチャーしていただきました。呼吸と体幹の連動を意識して、理想のボディメイクを目指しましょう。
取材・文●藤村幸代 撮影●田中郁衣 Web構成●中村聡美
WORK.1
胸郭のアライメントを整える
背面ストレッチ
ねらい
ウエイトトレーニング全般のフォーム改善をサポートします。胸郭の位置が前にずれている方は、このワークでアライメントを整え、腹圧が抜けずに正しいフォームでトレーニングしやすくなります。

土下座のような姿勢で両肘を床につけ、骨盤を後傾させたら、尾骨から頭頂部までCカーブを作って伸ばすように背中をラウンド状にする。両脇にも力を入れて床を押し、前鋸筋を使いながら背中や腰の方にも空気を入れるイメージで呼吸を行う。
◆お尻の尾骨は床に向け、みぞおちは突き上げる意識で丸まります。
◆身体が硬い人は、猫背の部分(胸椎上部)しか丸まらない傾向が。下までカーブがつながるように意識しましょう。
ココがポイント
肋骨の前が締まる姿勢を取ることで、必然的に後ろ側や横に空気を入れる感覚をつかむストレッチです。
WORK.2
腹横筋を使い、胸椎を分節的に屈曲させる
チェストリフト
ねらい
硬くなっている下部胸椎の屈曲をうながし、反り腰にならないよう肋骨を締める感覚を学習します。インナーマッスルの腹横筋をつかいながら骨盤を安定させ、胸椎を屈曲させることで背面の筋肉を緩め、肋骨を締める感覚を学習。正しい体幹のポジションを作ります。

①マットにあお向けになり両ひざを立て、両手を後頭部に添える。
②息を吐いてお腹を薄くしたら、肩甲骨下角はつけたまま頭を持ち上げる。
◆お腹はできるだけ長く、薄いままキープし、みぞおちをマットに押し込みながら折りたたむイメージで。
NG
腹筋が弱い、または背中が硬い場合は首だけで上げてしまいがち。また、股関節から持ち上げるような腹筋にならないように注意しましょう。
EASY
持ち上げづらい人は柔らかいボールを胸椎の下に置き、ボールをマットに押し付けるように行うと、胸椎から丸める感覚がつかみやすくなります。
ココがポイント
腹筋の中でもアウターの腹直筋ではなく、呼吸によってインナーの腹横筋を使うイメージでお腹を薄く保ち続けましょう。
WORK.3
腰椎を分節的に丸める感覚を学び、腰椎の柔軟性を高める
ハーフロールバック
ねらい
骨盤が先導して後傾(後ろに倒れる)できるように、骨盤の動きを学習します。反り腰の人や、腹直筋が優位に働いてしまう人の練習に有効です。

①両ひざを軽く曲げ、両手はまっすぐ前に伸ばす。骨盤をニュートラルに立てた状態からスタート。
◆骨盤はニュートラルで坐骨で座り、骨盤の上に胸郭、頭部が乗っている状態からスタート。
②息を吐きながら骨盤から先導して腰を丸める感覚で、背骨を一つずつ動かしながらゆっくり上体を斜め45度まで倒し、この姿勢で大きく息を吸う。
◆上体を倒して下部胸椎も丸まった状態で息を大きく吸うことで、背中側にも空気を入れる感覚がつかめます。
③息を吐きながら、お腹を薄く保ったまま腹横筋の力で上まで戻り、再び骨盤をニュートラルに立てる。
◆背骨はゆるやかな「Cカーブ」を保ったまま、上体を倒し、起こす。
NG
背中が硬い人や腿裏のハムストリングが硬い人は、最初から姿勢が寝やすい傾向があります。お尻の下に本やブロックを挟んでもOK。
EASY
戻る動作の際に、ボールを背中に当て、反対側にボールを押すような意識で行うと補助になります。
ココがポイント
一般的な腹筋運動のようにアウターの腹直筋だけで起き上がろうとすると、腹筋に力が集中しすぎてしまいます。お腹の薄さをキープしたまま腰から起きないで、胸から起きてくるイメージで行いましょう。
WORK.4
筋トレのスタートポジションが決まる
ティーザープレップ
ねらい
腹圧を保ったまま胸椎伸展を作り、筋トレのスタートポジションの感覚をつかむワークです。反り腰にならない姿勢をつくり、上部の胸椎だけで伸展する感覚をつかむ練習にもなるため、反り腰や猫背の改善にも役立ちます。


①両ひざを曲げ、骨盤を立てた状態でマットに座り、両手を前に伸ばして大きく息を吸う。
②息を吐き、両手を前に伸ばしたまま骨盤を後傾して上体を倒し、坐骨の後ろ側に体重をかける。このとき背中がCカーブになるようにする。
◆腹横筋をしっかり働かせながら上体を倒し、起こしましょう。
③頭の位置をなるべくキープし、骨盤をニュートラルに立てていきながら両手を天井方向へまっすぐ伸ばす。
◆両手をあげたときに脇の力が抜けないよう、少し肩甲骨を下げるイメージで行うとお腹にも力が入りやすい。
NG
骨盤の動きではなく、股関節の動きで上体を起こしてしまっている。これはインナーマッスルのトレーニングにはなりません。
NG手を上げたときに体幹が安定せず、骨盤が後ろに寝たままの状態。これでは胸が伸展できません。
EASY
ボールを仙骨下部に当てると、骨盤を起こすサポートになります。
ココがポイント
骨盤と一緒に胸が上がってくる連動性を意識して動作を繰り返しましょう。両手を天井まで上げるのが難しい場合、最初は正面に伸ばしたままでもOKです。
WORK.5
腹圧を保ったまま胸椎伸展の可動性を高める
バックエクステンション
ねらい
スタートポジションで腹圧を抜かずに胸椎を伸展させる感覚を掴みます。背中のトレーニングはもちろん、お尻にも効きやすくなります。猫背や巻き肩の改善にも!

①両脚を軽く開いてうつ伏せになり、両手はマット幅に。恥骨をマットに押し込むようにして骨盤をニュートラルにする。
②息を吸いながら、鼻先をマットにこするようなイメージ、また鎖骨を前方に見せるようなイメージで上体を上げていく。写真の姿勢を取ったら、息は吐きながらゆっくり元の姿勢に戻る。
◆背中が縮まらないように、背骨一つひとつの伱間を開けるような意識で上体を起こしていきます。
◆お腹がマットに寄りかかりすぎないように常に引き上げましょう。
◆両手でマットを自分の身体に引き寄せながら身体を起こすイメージを持つと、前鋸筋も動員できます。
NG
骨盤ニュートラルの保持ができていないと反り腰になり、腰で上がっていく動作になってしまいます。また、前腿が硬い人は、うつ伏せになるだけで反り腰になるため、事前のストレッチがお勧め。
EASY
胸のあたりにボールを置いて、ボールを前に転がすようにして上体を起こすと、胸椎伸展の感覚がつかみやすくなります。
ココがポイント
上体を起こすときは胸の中心(みぞおち付近)と恥骨は床につけておき、お腹はマットから手の平1枚分くらい浮かせておくイメージで!
くらはた・ゆうな
1994年3月9日、東京出身。理学療法士、ポージングコーチ、フィットネストレーナー。2016年、22歳の時にボディビルダーでパーソナルトレーナーのご主人の勧めでトレーニングを開始。2018年JBBFオールジャパン・ビキニフィットネス35歳未満163 ㎝以 下 級で準 優 勝、2019年アジア選手権6位と躍進。2021年に長男を出産後、23年に復帰しJBBF東京選手権で優勝、オールジャパン3位。第2子出産後の2024年12月にフェムケアサロン『NAVI』をオープン。女性の美と健康を支えている。













