減量

"睡眠の質"で減量の仕上がりが変わる!トップ選手・寺山諒が語る夜のルーティン

「バルク派は甘く見える」。そんな通説を吹き飛ばし、昨シーズン、素晴らしい仕上がりを見せてくれた寺山諒選手。これまでの減量末期から大きく変わったのは“睡眠の質”。質を上げるために行っていることを教えてもらった。

減量中に眠れなくて、絞れない。寝る前の呼吸法が睡眠を劇的に変えた。

鍵はリカバリーにあり

筋量を維持し、しっかり張った良い状態に持っていくために、大きく変えたことと言えば〝睡眠〞です。食事・睡眠が土台となって、その上にメンタル、その上にトレーニングパフォーマンス、その上に大会時のコンディションというピラミッドがあると考えています。この土台である、食事や睡眠が整っていなければ、全てが揺らいでしまうな、と昨シーズンを通して気づきました。

例年、大会までの残り1カ月までは同じペースで減量が進みます。ですが、その1カ月前が分かれ道となっていました。昨シーズンは睡眠時間が多く取れたこと、睡眠に入るまでにリラックスできる時間を設けたことが、身体にとって非常に良かったようです。

2023年に以前の会社を退職して独立したのですが、それまでは遅い日だと夜中の1時前に帰宅、バタバタと家事をこなして2時に就寝。「早く寝なきゃ」と焦りながら寝ていたので、良い休養とは言えなかったと思います。

独立してからは、家でストレッチする時間を設けたり、湯船に浸かったりと、リラックスした状態で睡眠に入っています。そうすると、減量末期でも中途覚醒することがありませんでした。〝睡眠時間が長くなった〞というよりも、〝睡眠の質が高くなった〞という方が適切な気がします。

睡眠前には暖色の光を

減量が進んでいくとどうしても交感神経が優位になりやすくて、夜中に何度も目覚めることがありました。身体をリラックスモードにするため、他に変えたことと言えば、寝る前にLED電球のような白い光をなるべく見ないようにしたことです。家の電球が調光できるタイプなので、寝る1時間前には部屋の電気を暖色の光に変えています。さらにお風呂に入るときも、風呂場の電気は消し、脱衣所の光だけで入るとか。間接照明のような感じになって、すごくリラックスできます。

白い光を見ないようにしようと意識していたら、スマートフォンも寝室とは別の部屋に置いて充電するようになりました。こうすると、夜中に起きたときに連絡が来ていないかチェックすることもなくなって。朝にアラーム音が隣の部屋から聞こえたら、そこまでスマホを取りに行かないといけないので、確実に起きられますし、一石二鳥ですね(笑)。

呼吸による脱力の重要性

睡眠の質を高めるために重要だと感じたのは〝脱力〞です。正直いきなりできるようにはならないし難しいんですが、繰り返すうちに癖づいてきました。脱力をするために意識しているのは呼吸。

特に寝る前は、副交感神経が優位になるように深い呼吸をしています。4秒かけて深く吸って、7秒息を止めて、8秒かけて口からゆっくり吐く。このときに意識しているのは吐く方で、深く息が吐けないとか苦しいと感じたら、ストレッチをします。睡眠時に呼吸しやすいよう、身体を整えるという目的ですね。

昔、眠れなかった時代に睡眠導入の音楽を聴いていたこともありました。しかし、身体の脱力ができていないので、自分への影響力としては小さかったです。自発的に副交感神経を優位にできる唯一の方法が呼吸だな、と。そういった経緯もあり、呼吸を大事にするようになりました。

慣れないうちは縦方向の呼吸、つまり肩が上がって下がる、というような呼吸でしたが、今では360度、身体の全方位から呼吸ができるようになりました。同じくストレッチでも、〝完成形〞を作ることにこだわりすぎないようにしています。息を吐いた結果、その形になって脱力しやすくなる。身体が緩まることと、睡眠の質の向上は関係性があり、重要な要素だと言えます。

てらやま・りょう
1995年生まれの29歳。東京都出身で身長170.4cm。体重はオン82.7㎏オフ96g(現在)。職業はフリーのパーソナルトレーナーで、サバイバルゲームが好き。2024年の戦績/JBBF日本男子ボディビル選手権大会5位。減量中のご褒美は朝ご飯のブリ

取材・文:小笠拡子 撮影:岡部みつる、中島康介(プロフィール写真) Web構成:中村聡美

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