ハワイで出会ったヨガ。そのヨガは日本とは違うイメージだったという。rakeruさんが感じた日本とハワイのヨガ文化の違いや母親となった今のヨガの取り入れ方とは。(初出:Yoga&Fitness Vol.12)
ハワイのホットヨガから
ヨガとの出会いは、18歳のころ。ちょうど訪れていたハワイの地で、自分の将来について考えていたときに母から「身体を動かすことを続けたいのならヨガはどう?」とアドバイスをもらったことがキッカケでした。母はずっとヨガを続けていたのですが、勧めを受けたのはこのときが初めてです。
当時、ハワイではホットヨガが流行っていたので、私もそのレッスンに参加しました。ホットのほかにもダンベルをもちながらポーズをとっていくフィットネス寄りのレッスンがあったり、はたまた寝姿勢のまま誘導に耳を傾け続けるヨガニードラのレッスンなど、多様なラインナップだったと記憶しています。今はまた違う雰囲気だとは思います。
私は、それまでずっとダンスをしてきたので、ヨガの動きには最初からついていけましたが、動きの先で感じる身体の感覚は新しい発見の連続でした。ダンスとはまったく異なる身体の使い方だったり、得意な動きと苦手な動きの差を感じ取ったり。何よりも、レッスンを終えたあとのスッキリ感がとても心地良くて、ヨガがどんどん好きになっていきました。
帰国後ホットヨガの会社に就職をし、現在はヨガ歴8年目。インストラクターとしてパワー系からコンディショニング系、リラックス系まで、さまざまなスタイルのレッスンを担当しています。2020年には『英語でYOGA!』の本を母と一緒に出版。現在もEnYOGAの動画の制作、出演をしております。参加してくださる皆さんの年齢を見ると20〜90歳と幅広く、そこからもヨガの素晴らしさを感じますよね。
「今の私」に最適なヨガを
ヨガの解釈は人それぞれあると思います。そのなかで私にとってのヨガは、自分の身体と向き合って状態を知り、今日という日をよりよく過ごすための大切なツールという感じでしょうか。
例えば、なんとなく心にモヤモヤを感じているときや、疲れが溜まっている感じがするとき、はたまた足がむくんでいる感じがするときなど、その時々の感覚に対応するポーズを処方箋的にピックアップして実践していきます。そのようなヨガとの付き合い方が、今の私にはとてもフィットしていると感じているのです。
というのも、まだ子どもが小さいので、自分ひとりだけのためにマットを敷いてヨガの時間をしっかりと確保するのは正直、難しいんです。もちろん、それができたらいいなとは思いますよ。でも、カーペットの上でできるときを見つけて、サッとポーズをとるというのも、そして時には子どもを背中やおなかに乗せながら行うのも、逆にいえば今しかないヨガのある生活のかたちなのかなと思っているんです。
やらないより、やったほうがいい
私だけでなく、多くの女性が仕事をしながら子育てもしている状況にある、あるいは今後なっていくと思います。正直、毎日慌ただしいです
(笑)。どんなに心がけていても、メンテナンスが追いつかなくて身体に慢性的な痛みを感じたり、時にメンタルにきて塞ぎ込みそうになったり。そのような瞬間が誰にでもあると思います。
でも、そんなときに少しでもヨガをして身体を動かすことで、自分を丁寧に大切に扱うことができているのを実感し、心が穏やかになるんです。もしも今、私の生活にヨガがなかったら……と思うと不安に感じてしまうくらいです。ヨガがあるからこそ、今の私がいる。そんなふうに思います。
ヨガはとても深い世界なので、言おうと思えばいくらでも言及できることがたくさんあります。でも、私は実際にポーズをとったときの感覚、自分自身に没頭していく感覚、ひと通り終えたあとのなんともいえない開放感を何よりも大切にしたいと思っています。
だから、私から皆さんに伝えたいことは「まずはやってみて」なんです。複雑なことや難しいことは一旦置いておいて、やらないよりもやったほうが断然心地いい、という感覚を味わって欲しいです。
生徒さんからよく聞く言葉に「呼吸がしやすくなった」というものがあります。そのようなちょっとした気づきが、1回のレッスンのなかに1つでも2つでもあればいいな、という気持ちでヨガの空間を提供しています。
心も身体も、今よりずっとラクになるというのを一人でも多くの方に体験して欲しいですね。
取材:鈴木彩乃 撮影:中原義史 写真提供:rakeru
-ヨギー, ヨガ
-ヨガ, Yoga&Fitness