一般競技者からトップアスリートまで、さまざまな選手の栄養サポートを行う管理栄養士・健康運動指導士のTejin(テジン)が、「女性がボディメイクする際に考えるべき糖質」について解説します。

ボディメイクを目的にトレーニングを始める女性の多くは、体重−5kg、体脂肪−2kgといった数値目標を掲げます。しかし最終的な目的は、単なる減量ではなく、美しい体型づくりやアンチエイジング、健康増進であることがほとんどです。
その中でよく見られるのが、「糖質は減らすべき」という極端な考え方です。確かに過剰な糖質摂取は体脂肪増加につながりますが、糖質を必要以上に削ることもまた、女性の身体にとってはリスクになります。
女性が糖質を極端に減らすとどうなるか
女性トレーニーにおいて注意すべきなのは、「糖質」そのものよりも「エネルギー不足」です。過度な糖質制限によって総摂取エネルギーが不足すると、身体は飢餓状態と判断し、ホルモン分泌を調整する働きが起こります。
特に女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)は、体脂肪量やエネルギー状態と密接に関係しています。慢性的なエネルギー不足が続くと、視床下部-下垂体-卵巣系の働きが抑制され、月経周期の乱れや無月経につながる可能性があります。
さらに、エストロゲンは骨密度の維持や肌のハリ、代謝機能にも関与しているため、
・骨密度低下
・慢性的な疲労感
・パフォーマンス低下
といった問題を引き起こすリスクもあります。
日本人の食事摂取基準(2025年版)では、炭水化物は総摂取エネルギーの50~65%が目安とされています。ボディメイク中であっても、極端な糖質制限ではなく、必要なエネルギーを確保することが前提です。
女性が意識したい「質の良い糖質」
ボディメイクと同時に健康やアンチエイジングも目指すなら、「量」だけでなく「質」にも目を向けましょう。
①血糖値の安定
精製度の高い糖質(菓子類、菓子パン、ジュース)を大量に摂ると血糖値が急上昇しやすくなります。血糖値の乱高下は食欲コントロールの乱れや体脂肪蓄積につながる可能性があります。
主食は白米だけでなく、玄米や雑穀米、オートミールなど食物繊維を含むものを取り入れることで血糖値の安定に役立ちます。
②食物繊維の確保
女性トレーニーに多い悩みが便秘です。便秘の主因は糖質の種類というより、食物繊維不足です。精製糖中心の食生活では食物繊維が不足しやすくなります。
オートミールや玄米などの全粒穀物、野菜、果物を組み合わせることで、糖質と同時に食物繊維を確保できます。
ただし、トレーニング前や試合前に食物繊維を急に増やしすぎると、胃腸の膨満感や消化不良につながる場合があります。食物繊維は日常の食事の中で安定して摂取し、運動直前は消化の良い主食を選ぶなどタイミングも意識することが大切です。

③糖化への配慮
糖化とは、体内で余分な糖がたんぱく質と結合し、老化を促進する物質(AGEs)を生成する現象です。慢性的な高血糖状態が続くと、肌の弾力低下や動脈硬化リスクとの関連が指摘されています。
ただし、糖質そのものが悪いのではなく、「過剰摂取」と「血糖コントロール不良」が問題です。適量を、食物繊維とともに摂取することが重要です。
果物はどう取り入れるか
果物はビタミンやポリフェノールを含む優れた食品です。特に柑橘類やベリー類は比較的糖質が控えめで抗酸化成分も豊富でおすすめです。他の果物も適量であれば問題ありません。菓子類の代替として取り入れることは、質の向上につながります。

実践的な行動目標
では、女性がボディメイクを行う際に糖質はどのように設計すればよいのでしょうか。
まず意識したいのは、主食を抜かないことです。極端に削るのではなく、「量を調整する」という考え方が基本です。
例えば、
・1日3食のうち主食は毎食取り入れる
・間食を菓子類から果物やおにぎり、さつまいもに置き換える
・週に数回は玄米や雑穀米、オートミールを取り入れる
といった小さな調整から始めることが現実的です。
減量期であっても、
・トレーニングを行う日は主食量を極端に減らさない
・夜だけ抜くのではなく、1日の総量で調整する
ことが、ホルモンバランスを守りながら体脂肪を落とすポイントになります。
まとめ
女性のボディメイクにおいて糖質は「敵」ではありません。
大切なのは、
女性ホルモンを守る
血糖値を安定させる
菓子類は控える
食物繊維を十分に取る
という視点です。
極端な糖質制限ではなく、量と質を設計することが、美しさと健康を両立させる鍵になります。
■参考文献
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
■著者プロフィール
申泰鎮(シン・テジン)
管理栄養士・健康運動指導士。高校時代のボクシング経験をきっかけにスポーツ栄養士を志す。現在はボクシングジムや大学ラグビー部で、増量・減量・コンディショニングに対応した栄養サポートを実施。競技者から一般層までを対象に、食事・サプリメント・身体づくりに関する実践的な支援を行う。執筆や講演活動も多数。
Web構成:中村聡美










