ライフスタイル トレーニー

憧れボディのAZUSAとEMILYに聞く理想の身体をつくるトレーニングと食事とは「いつものトレーニング、ここが間違っていませんか!?」

メリハリのある身体で女性の憧れボディのダンシーあずささん(以下AZUSA)とEMILY(えみりー)こと柳本絵美さん。AZUSAさんはJBBF、柳本絵美さんはAPFでそれぞれ日本一に輝くなどフィットネス競技で活躍。その経験を活かしたパーソナルやオンラインセミナーも大人気です。そんなボディメイクのプロであるお二人に、間違いやすいボディメイクについて語っていただきました。見落としがちなこのポイントを押さえたら、今日からトレーニングが、カラダがきっと変わる!

[初出:Woman's SHAPE vol.28]

【大会写真】AZUSAさんの細いウエストと丸いお尻のメリハリボディ

理想のフォームを手に入れるために絶対におろそかにできないこと

AZUSA パーソナルトレーナーとして選手から一般のお客様までいろいろな方と接しているけれど、身体の硬さや身体の使い方には本当に個人差があるので、正しいフォームを伝えたとしても決してそのまますんなりできるわけではなくて。正しいフォームや丁寧なフォームを取得するのって、思ったより難しいよね。

柳本 本当にそう! 私もトレーニングを始めたばかりのころにジムでサイドレイズをやっていたら、ベテラントレーニーのおじさんに「フォームがおかしいよ、怪我するぞ」って。YouTubeやインスタを見よう見まねでやっていたから、そのアドバイスで初めて「自分にとって正解のフォームがあるのか」って。

AZUSA えみりーが今あるのは、そのおじさんのおかげだね(笑)。

柳本 間違いない(笑)。このページを読んで、今回初めてサイドレイズをやるという人がいたら、すごくチャンスだと思う。私みたいに危ないフォームから始めてしまうと、その何倍の回数をこなさないと正しいフォームに修正できないから。

AZUSA 私がトレーニング初心者のころにビックリしたのは、どんな種目でも正しいフォームの陰には全身が関わっているということ。たとえば、胸骨のあたりが硬い人はバーベルを担ぐだけでキツいと感じるし、ほぼどんなトレーニングもうまくいかない。自分にとって理想のフォームに近づけるには、身体をほぐすコンディショニングも絶対におろそかにはできないんだよね。

柳本 スクワットなら足首や股関節の柔軟性とか安定性も、しゃがみ姿勢に大きく関わってくるし。

AZUSA 身体を整える、柔軟性を上げていくというところを飛ばして筋トレで筋肉をつけようとすると、近道しているようでめちゃくちゃ遠回りになると思う。逆に、自分の身体の特徴をいち早く見抜いて改善していくことが、遠回りのようで一番効率的な気がするな。

筋トレで”頑張った”感より必要なことは……

AZUSA えみりーは、自分のフォームが間違っているかどうかをどうやって判断している?

柳本 間違ったフォームでやっているときって、必ず変なキツさを感じるんだよね。首がつらい、肩がすくんでしまう、膝に痛みや違和感がある、足首や腰に負担がかかっている気がする……とか。間違っている状態で重さを持つのが一番危ないと思うので、まずは自重でフォームを確認して、これでいけるなと思ってから重さを持つようにしています。

AZUSA 私の場合、正しいフォームのときは効かせたい部位が1セット目で温まってくる。それを感じるためには、「このトレーニングはどの部位に、どういう刺激を入れる目的なのか」ということをちゃんと考えて、イメージしながら動作をすることがすごく大切で。

柳本 私もボディメイクを勉強していくなかで、「イメージすること」の大切さが日に日にわかってきたな。

AZUSA たとえば、ラットプルダウンは背筋でバーを下げているだけに見えるけど、じつはバーが戻るときにも意識を向けないと、貴重なトレーニング時間の半分は負荷が抜けた状態になってしまうんだよね。

柳本 引き切ったところから、背中にかかった重さを感じつつ戻していくというのが基本だから。

AZUSA 引く・戻すのどちらの動作に対しても、自分の筋肉がどんなふうに効いているのかを頭で考えるとフォームが丁寧になるし、狙ったところに刺激をずっと入れられているかを考えるきっかけにもなる。それが、正しいフォームの習慣づくりの一歩なのかな。

柳本 考えるということでいえば、サイドレイズはダンベルの上げ下げだけだという認識だと、筋肉のストレッチや収縮の感覚がわかりづらいけど、ターゲット筋肉の三角筋が肩のどこからどこまでついているかが分かると、「こう動かせば目いっぱい縮むし、伸ばせるんだ」とイメージしやすくなる。肩をちょっと横に広げて小顔に見せたいなというときも、効率よく理想に近づけます(笑)。

AZUSA 三角筋って、調べてみるとすごく小さいうえに、サイドレイズで鍛えるのは三角筋のさらに側面。

柳本 そう! だから、筋トレ1年目の女子でいきなり5、6㎏の重さは無理がありすぎる。

AZUSA その重さが最初から持てる人は、スポーツ経験があってもともと肩の筋肉が発達しているか、そうでなければ器用に三角筋以外を使ってあげてしまっているのかも。一度立ち止まって、自分のトレーニングはどこの部位を使っているのか、それに対して今の重さはどうなのかを考えることが、やっぱり大事かもしれない。

柳本 せっかく筋トレをやるなら頑張った感がほしいから、とりあえず重量をあげていこう!というのは私も通ってきた道(苦笑)。でも、今はネットで気軽に調べられるから、あずさちゃんが言うようにいったん踏みとどまって2、3分でもいいので調べてみると、自分にとって一番効率のいいやり方や重さが見つかるんじゃないかな。

ウエストは50㎝台じゃないとくびれない…ことはない!

AZUSA あげる重量が筋肉量や理想の身体に比例しているわけではない。それも間違いやすい点かな。ウエストが太くて背中の筋肉も大きければシェイプが弱く見えるし、逆に筋肉量は少なくても下半身がしっかり育っている人なら、相対的にウエストが細くてシェイプが強く見える。人それぞれ身体のバランスや骨格によってシェイプの強さや「メリハリボディ」と言われるようなボリューム感も変わってくるから。

柳本 「ウエストって50㎝台じゃないとくびれて見えないですよね」と相談されることも多いけど、決してそんなことはなくて。ウエスト70㎝でもお尻との比率が7対10のバランスでくびれは出てくる。大会に出る選手は絞って50㎝台のサイズをつくるので、そことは比較せずに自分のバランスのなかで理想に近づけていくことが、やっぱり一番の近道になるはず。

AZUSA SNSや動画で紹介されている重さとか数値に左右されず、自分のトレーニングを信じてやったほうが絶対にいいって私も思う。女性でも筋肉やボディメイクに関していろいろな知識がメディアで得られる時代だからこそ、それに惑わされないでほしいなって。

柳本 自分を軸に置くことは食事面でもいえるかも。自分がどれくらいの期間で何㎏落としたいか、ふだんどのくらい食べていて、消費カロリーはどれくらいかという目安の数値を出さないまま、憧れのあの人が1日何キロカロリーで何㎏痩せたから……と真似するだけの人も。

AZUSA 私自身、PFCバランスのなかで脂質を過度に削りすぎて生理が止まってしまったことがあって。だからこそ、自分の身体に合ったバランスを早く見つけて、そのなかである程度設定した摂取カロリーのなかで食材を選んでいくことが大事だと身に染みて感じてます。ウーマンズシェイプの読者の方は、トレーニングに少なからず興味があると思うので、筋トレをして筋肉を残しながら除脂肪していくのであれば、摂取カロリーを削ることを最初の手段として選ばないというのが賢い選択になるかな。

柳本 考えたら、ボディメイクって普通の学校ではまず教えてもらえないことで、いわば大人になってから学ぶ”学問”といえるかも?

AZUSA 私もえみりーも、まだまだ勉強の真っ最中だよね。

柳本 そうそう! みなさんも、これをきっかけに理論的な部分も小難しくなく学んで、楽しく考えながら、トレーニングも食事も遠回りせず一番の近道を選択していってほしいなと思います!

柳本絵美さんとAZUSAさん

【JBBFアンチドーピング活動】JBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)はJADA(公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構)と連携してドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト団体で、JBBFに選手登録をする人はアンチドーピンク講習会を受講する義務があり、指名された場合にドーピング検査を受けなければならない。また、2023年からは、より多くの選手を検査するため連盟主導で簡易ドーピング検査を実施している。

次ページ:AZUSAさんの細いウエストと丸いお尻のメリハリボディ

取材・文:藤村幸代 撮影:中原義史(2ショット写真)、中島康介(大会写真)

-ライフスタイル, トレーニー
-, ,

次のページへ >


おすすめトピック



佐藤奈々子選手
佐藤奈々子選手