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【THE RAMPAGE 武知海青】「プライドを一度壊してみたら、思っていたよりもずっと遠くまで行けると分かった」【SPインタビュー前半】

THE RAMPAGEのパフォーマーとしてステージに立ちながら、プロレスラーとしてもリングに上がる武知海青。この撮影の前日にはプロレスのメインイベントに出場し、週末にはライブ2デイズが控えていた。
ダンス、水泳、陸上、そしてトレーニングと、異なるフィールドを横断してきたその歩みの根底には、「見て学び、自分のものにする」 という身体感覚がある。表現と競技、その両極を行き来しながら、自らの可能性を更新し続ける。その現在地と、まだ見ぬ未来に迫る。

取材・文:藤本かずまさ 撮影:AP,inc.スタイリスト:YOSHIDA KEISUKE ヘアメイク:oya Web構成:中村聡美

ステージとリングのあいだで━その現在地と未来

━━まずはこれまでの運動歴から伺います。原点は、やはりダンスになるのでしょうか。

武知 はい、ダンスが最初です。母がダンススタジオを経営していて、生まれる前からその環境にありました。母の話では、お腹の中にいるときから踊っていたそうです(笑)。生まれた瞬間から、自然とダンスの道に進んでいました。正確には3歳でスタジオに入りました。

━━足は速かったですか?

武知 いえ、子どもの頃は遅かったです。実は3歳から水泳もやっていて、もともとは陸よりも水の中のほうが得意でした(笑)。水泳は、小学校5年生のときにジュニアオリンピックに出場したのが最後です。種目はバタフライと自由形です。

━━バタフライができる小学生というのも、すごいですね。

武知 もともと通っていたコースでは、まだバタフライは習っていなかったんです。その段階でスカウトされたんですが、上のクラスで中高生や大学生の選手が泳いでいるのを見て、見よう見まねで覚えました。自分なりに試していく中で感覚をつかんで、結果的に一番速くなっていました。

━━動きを見てすぐ再現できる?

武知 できます。それはダンスの影響が大きいと思います。ダンスって、シルエットをすごく大事にするんです。形だけじゃなくて、手がグーなのかパーなのか、人差し指だけ伸びているのかとか、細かいところまで見て真似をする。その積み重ねが、水泳にもプロレスにもつながっている感覚があります。

━━中学ではどのようなスポーツをされていたんですか?

武知 陸上部に入りました。もともと足がそこまで速くなかったことがコンプレックスだったのと、姉が陸上部にいたので、その流れで入った方が楽かなと思って。そこから徐々に足も速くなって、陸でも通用するようになりました(笑)。種目は円盤投げです。

━━もともと力が強かったんですか?

武知 いや、全然強くなかったです。当時、中学校に円盤投げの選手がいなくて、「なんで誰もやらないんだろう」と思って。その頃から手足が長いと言われていて、円盤投げは遠心力を使う競技なので有利だと顧問の先生に言われて、「じゃあやってみます」と。そこからですね。
ただ、それまでとは違って、見て真似できる環境がなかったんです。ダンスや水泳では、先生や上手な人の動きを見て学ぶことができたんですが、円盤投げではそれができなかった。だから自分で動画を見て研究したり、「こうしたら飛ぶのかな」と試行錯誤したりしながら取り組んでいました。

━━そういう試行錯誤も含めて楽しさがあった?

武知 楽しかったんですけど、正直うまくはいかなかったです。結果も残せませんでした。
そこで気づいたのは、自分はダンスのように、誰かの優れた動きを見て学び、それを吸収して自分の表現に変えることが得意なんだということでした。ゼロから何かを生み出すというよりも、あるものを自分なりに昇華させていく。「1」を「100」にするような力のほうが、自分には向いているんだと、その時に感じました。

━━投擲競技の陸上部だと、補強でクイックリフトのようなウエイトトレーニングも取り入れるものなんですか?

武知 当時の中学校では、そこまで環境が整っていなくて。バーベルがあるわけでもなく、本格的にトレーニングができるような設備はありませんでした。

━━でも、当時から身体はかなり仕上がっていたのでは?

武知 いえ、中学1年のときは153㎝しかなくて、体型も少しぽっちゃりしていました。そこから中学3年の3年間で183㎝まで伸びたんです。横にではなく、上に一気に伸びていった感じですね(笑)。体重も60㎏台前半くらいで、ひょろっとした身体でした。

━━そこからトレーニングを始めるようになったきっかけは?

武知 高校に進学して「THERAMPAGE」にスカウトしていただいて、HIROさんに「海青は身体のラインがきれいで、体格もいいよね」と言っていただいたのをきっかけに、始めるようになりました。だから、2014年からですね。

━━最初はどんな種目から入っていったんですか?

武知 それも見よう見真似でした。近くのジムに行っても、最初はマシンの使い方も分からなくて。他の人が使っているのを見て覚えて、同じようにやってみる、というところから始めました。
その後、当時GENERATIONSの数原龍友さんがトレーニングをしっかりされていたので、「僕にも教えてください」とお願いして、一緒に連れて行ってもらうようになりました。

━━そこからレベルアップを図る上で、チャレンジしたことはありますか。

武知 2019年に「サマースタイルアワード」に出場しました。自分に自信をつけるために、あえて「THERAMPAGE」という看板を外し、一般の方と同じ土俵で勝負しようと思ったんです。当時は人前に出るのも苦手で弱気でしたが、何かを変えたかった。マネジャーには最初反対されましたが、「絶対優勝する」と伝えて出場させてもらいました。

2019年11月16日の『サマースタイルアワードルーキーチャレンジカップ』スタイリッシュガイ部門トールクラスで優勝、さらにオーバーオールでも勝利した(写真提供:サマースタイルアワード)

━━その言葉は気合いだったのか、それとも確信だったのか。

武知 自分は崖っぷちに立たないと力を出せないタイプなので、あえて追い込んだ形です。その覚悟と焦りが、自分を引き上げてくれたと思います。

━━大会にエントリーしたことで、トレーニングへの向き合い方は変わりましたか?

武知 変わりました。減量の知識もなかったので、サマスタで優勝されていた田中健斗さんに教えていただきながら、PFCバランスを一から学んで自分で管理して、3カ月半で86㎏から71㎏まで落としました。

━━かなりハイペースですね。

武知 1カ月で5㎏くらいでした。当時はデビュー直後で時間もなく、ダミーリハの合間にトレーニングしていました。深夜にジムへ行き、片道1時間歩いて通って1、2時間トレーニングして、また歩いて帰る。それを3カ月続けました。

━━そして優勝をつかみました。大きな自信になったのでは?

武知 オーバーオール優勝も果たせたので、そのときは本当にうれしかったです。でも、結果を残した一方で、「どうせ使えない筋肉だろ」と言われたこともありました。僕としては、ダンスも水泳もやって、トレーニングも積み重ねてきた中でつくってきた身体なので、やっていない人にそう言われるのは違うだろう、という思いがありました。ちょうどそのタイミングでお話を頂いたのが、『最強スポーツ男子頂上決戦』です。「ここで結果を出せば、もう何も言われないだろう」と思ってエントリーしました。

━━2022年に初出場で優勝。その後、3連覇を達成しています。

武知 さらに柔道にも挑戦して、黒帯を取ることもできました。そういった結果を重ねていく中で、「使えない筋肉」というような声は自然となくなっていきました。

━━動きのトレーニングも取り入れるようになったのでしょうか?

武知 かなり意識して取り入れました。『スポ男』を実際に見て、下半身の力が重要だと感じていました。トレーニングを始めたばかりの頃は、どうしても上半身に偏りがちだったんです。そこで初めて「自分はこんなに下半身が弱いのか」と気づいて、下半身中心のトレーニングに切り替えました。

━━具体的にはどんな種目を?

武知 レッグプレスやスクワット、デッドリフトといった高重量の種目が中心ですね。それに加えて、ブルガリアンスクワットのような片脚種目も取り入れました。あとはジャンプ系の種目もかなりやりました。ボックスジャンプのように、地面からの反発を使うトレーニングです。
高重量だけでなく、そうした反応系のトレーニングも組み合わせて、両方をバランスよく伸ばしていくイメージです。どちらかに偏ると必ず弱点が出るので、全体を底上げするように取り組んでいました。

━━勝たなければいけない場面で、しっかり結果を出している印象があります。その要因はどこにあると感じていますか?

武知 突き詰めると、すべてメンタルだと思います。スポーツは最終的にはメンタル勝負だと感じています。サマスタでオーバーオールを獲って、柔道大会でも結果を出して、『スポ男』で優勝して、さらに3連覇して。最初は、偶然だと思っていたんです。

━━その捉え方が、次第に変化していった?

武知 自分はメンタルが弱いと思っていたんですが、実は強い部分もあるのではないかと気づくようになりました。トレーニングを通じて、自分の中の壁を壊し続けてきた感覚があるんです。以前は「ここまででいい」とどこかで線を引いてしまうような、変なプライドがあったんですが、それを一度壊してみたら、自分が思っていたよりもずっと遠くまで行けると分かりました。トレーニングに出合っていなければ、今の自分はなかったと思います。

━━トレーニングの価値は、そういうところにもあるのかもしれません。

武知 本当にそう思います。よく「トレーニングは自己投資」と言われますが、僕は身体だけでなく、メンタルへの投資だと思っています。一人の時間の中で自分と向き合いながら、身体と同時にメンタルも少しずつ前に進めてくれる。見た目を変えるだけでなく、内面にも作用するものだと感じています。

後半につづく>>>
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たけち・かいせい
1998年2月4日生まれ、兵庫県宝塚市出身。身長183cm。ダンス&ボーカルグループ THERAMPAGE のパフォーマーであり、地元・宝塚市の大使も務める。アーティストとしての活動に留まらず、圧倒的な身体能力を武器に多方面で実績を残している。2019年の『サマースタイルアワードルーキーチャレンジカップ』スタイリッシュガイ部門での総合優勝を皮切りに、2021年には柔道大会(無段の部)で優勝し、念願の黒帯を取得。さらにTBS『最強スポーツ男子頂上決戦2024秋』では、番組史上初となる3連覇という金字塔を打ち立てた。飽くなき挑戦は格闘技の舞台にも及び、2024年2月25日には「DDTプロレスリング」にてプロレスデビューを果たした。肉体派アーティストとして、唯一無二のキャリアを歩んでいる。

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