国際的な舞台でも活躍してきたボディコンテストのコンペティターが、業界に革新をもたらそうと動き出した。2025年6月、APFと共同で横浜にて開催される『WBFF ASIA in JAPAN』の発起人、それがKOZUEさんだ。彼女はこれまでのコンテストの枠を超え、新たな可能性を切り開こうとしている。
WBFF(World Beauty Fitness & Fashion)は2007年から始まり今では世界で開催されているが『WBFF ASIA』は昨年、韓国で開催されPRO制度もある人気の大会だ。それが今年、日本で人気のAPFと手を組み開催する運びになった。
「これまでのコンテストとは違う、参加者も観客も一緒に楽しめるものにしたいんです」
KOZUEさんは、そう目を輝かせる。
「ボディコンテストって、ストイックなトレーニングや過酷な減量が求められるから、どうしても一般の人には遠い世界に感じられがちですよね。でも、私はそのイメージを払拭して、もっと身近で魅力的な世界観を作りたいんです」
『WBFF ASIA』は、フィジークやビキニといった定番カテゴリーに加え、タキシードやドレス、コスチュームといった楽しいカテゴリーもある。華やかな演出とともにKOZUEさんが長年コンテストで培った経験を活かし、「誰もが楽しめる場所」を目指す。
多才な経歴が光る異色のコンペティター
KOZUEさんの経歴は、まさに唯一無二だ。2017年以来、ベストボディ・ジャパン、サマースタイルアワード、FITNESS STAR(韓国)、FWJなど、数え切れないほどの大会に出場し、優勝・上位入賞を重ねてきた。現在は選手としての第一線を退き、後進を支える「コンテストアドバイザー®︎」として活躍している。
「大会に出る選手のトータルプロデュースが私の仕事です。ヘアメイクやアクセサリー選び、それに2018年からほぼ月1回で渡韓し学んでいるポージングや本格的なストレッチまで、コンテストに関することは何でも相談できる存在でありたいと思っています。また、今年4回目の開催だった私が主催の新年会には、150人もの選手やフィットネス関係の方が日本全国、韓国から集まってくださり、協賛企業も今年は22社よりご協力いただきました。ステージ以外でもフィットネスを楽しむ皆さんのために、これからも常に謙虚に感謝の気持ちを大切に、尽力したいと思っております」
昨年は年間で過去最多となる2400人もの指導を行ったKOZUEさん。
「現在ギネスブックに申請しているぐらい多く、本当に皆さんのお陰です。もっと笑顔を増やしていけるように、この実績を還元したいと思っています」
そう語る実績は、周囲からKOZUEさんへの厚い信頼の証だ。なぜプロデュースを始めたのか。その理由をこう明かす。
「私が選手を始めた2017年頃は、まだ大会に関する情報があまりなかったんです。特に女性選手は、ヘアメイクやポージングのやり方すらわからなくて困っていました。日本で参加者が増えないのはこの情報不足が原因の一つだと思って、自分の経験を活かして『TeamKOZUE』を作り、コンテストに出る方へアドバイスをする『コンテストアドバイザー®︎』としてサポートを始めました。今は逆に情報が溢れすぎて、何を選べばいいか迷う人が多い。だから、一人ひとりに合ったベストな提案をするようにしています」
挫折を乗り越えた意外な過去
KOZUEさんの人生は、決して順風満帆ではなかった。「実は小さいころ、極度の肥満児だったんです。健康診断の度に母親が学校に呼び出されて」と意外な過去を明かす。
「30代で派遣会社に勤めていたときに、太りすぎて制服が全サイズ着れなくなってきてしまって。『このままでは体型のせいで仕事を失うかもしれない!』と焦り、ダイエット目的でジムに通い始めたのが、ボディメイクを始めたきっかけです。そしたらすっかりハマっちゃって、今に至りますね」
この飾らない朗らかな人柄が、多くの選手から愛される理由だろう。KOZUEさんはまた、大きな試練も経験している。
「2019年から頸椎椎間板ヘルニアになってしまって、選手としての道を諦めざるを得なかったんです。でも、その夢は後輩たちに託したいと思って、今は指導に全力を注いでいます」
大会成功と日韓をつなぐ未来へ
KOZUEさんが未来に持つビジョンは明確だ。
「『WBFF ASIA in JAPAN』では、日本にはないエンターテインメント性の高いカテゴリーを用意しているので、多くの方に参加していただきたいです。優勝するとWBFF PROカードを獲得できるので、今後世界のWBFF PRO戦に出場も可能になります。フィットネス大会の選択肢の一つとして、この大会を成功させて、たくさんの人にコンテストのまた違う楽しさを知ってほしいです。そして選手時代から続けてきた韓国との深い交流を活かして、日韓の架け橋になりたいです」
KOZUEさんの情熱は、ボディコンテスト業界にどんな変化をもたらすのか。『WBFF ASIA』は、単なる競技会を超えた「新しい体験の場」として注目を集めそうだ。
取材:にしかわ花 写真提供:KOZUE
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
-ライフスタイル, トレーナー
-サマースタイルアワード, ベストボディジャパン, フィットネススター, FWJ, WBFF