「週に何回かはジムに行ってる。食事も意識してる。でも、なんとなく成果が出ていない気がする…」そんな風に感じているなら、もしかしたら“目標設定”が曖昧なまま走り出してしまっているのかもしれません。
ボディビル元世界チャンピオン鈴木雅さんとAthleteBody所属ボディビルコーチ本橋直人さんが、“具体的な数値目標の立て方”や“モチベーションの維持”について語ります!
筋トレ初心者の落とし穴⑩
目標を定めてから取り組むかどうかで結果が大きく変わることはよくあるが、ボディメイクにも同じことが言える。どう変わっていきたいかの明確な指標がなければ、日々のモチベーションを維持することは難しいだろう。目標を決定する際に分かりやすいのは、数値で考えることだ。
実現可能な目標を設定してモチベーションを維持するためには、今の自分を正しく知ることも大事だ。あまりにも実力からかけ離れた目標では、その道中で心が折れてしまう可能性も高くなる。

「ベンチプレスを例にするならば、120㎏が挙がればそれなりに発達した大胸筋が手に入るはずです。120㎏が現在の自分の記録からどのくらい離れた位置にあるかを理解し、その達成のために短期・中期・長期のように目標を決めてみると良いです」(鈴木)
今の自分の立ち位置が分かれば、理想とする身体になるために必要な使用重量や必要なトレーニング種目も明らかになってくる。こういったことを組み合わせながら自分の中で動機づけをしていけると、途中で挫折せずにトレーニングを続けやすくなる。

「トレーニングを続けるためには、楽しさや気持ちよさを感じることが大切です。数値を達成する快感でも良いですし、パンプが得られることの快感といったことでも良いです。今、行っているトレーニングに対して、自分はどう感じたのかを問いかける姿勢を持てると良いですね」(本橋)

「この人は身体が変わっていくなと思う人の特徴として、『前向きな姿勢を持っていること』、『強い好奇心を持って取り組んでいること』が挙げられます。結局は、どれだけ楽しみながらトレーニングできるかが大切なのではないかという気がします」(鈴木)
読者の中には、思うようにトレーニングの成果が出ず、なかなかトレーニングを楽しめないという方もいるだろう。そのような場合は、まずはここで紹介したように、小さなことでも良いので目標を定めてみてほしい。目標が達成できれば、それがまたやる気を生み出し、楽しさを感じるきっかけになる。そうしてトレーニングを継続していくうちに、気づいたときにはもっと大きな目標の達成へと近づいていけるだろう。
目標を明確にし、前向きにトレーニングを楽しんでいくことを改めて意識してみよう。
回避法!
すずき・まさし
1980年12月4日生まれ。福島県出身。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2010~2019年日本選手権9連覇。2016年IFBB世界選手権ボディビル80kg以下級優勝。現在トレーナーとしては主にアスリートやボディビル競技者のトレーニング、栄養指導にあたる。他にもアスレティックトレーナーや理学療法士に対して身体の原理原則をいかにトレーニングに落とし込むかといった指導にも携わる。
もとはし・なおと
1982年11月1日生まれ。埼玉県出身。AthleteBody.jpで活動中のパーソナルトレーナー。トレーナー歴17年であり、ここ10年は体組成改善に専門で取り組む。特にここ5年はボディビルやフィジークといった競技者のクライアントを多く指導している。久野圭一選手や昨年の日本クラス別で活躍した藤井貫太郎選手も指導を受け、指導前後の変貌振りがSNSで話題となった。
取材・文:舟橋位於 撮影:北岡一浩、舟橋賢、中島康介 Web構成:中村聡美
「現時点での体脂肪率や除脂肪体重を求めて、そこから目指す数値を決めると良いです。体脂肪率に対応した見た目の変化の画像などもネットにはあるので、参考にして決めてみましょう」(本橋)