ベストボディ・ジャパン出場歴3年で全国戦トップ10入りの実績を持ち、年齢を感じさせない若々しい肉体を誇る西村弘美(にしむら・ひろみ/58)さん。
ヨガと「一水空」(中国王族の呼吸養生法、宮廷武術を融合させた健康メソッド)、増量期・減量期なく素材の味を活かした食事での体型管理は、従来のボディメイクとは一線を画すとして注目を集めている。しかし、西村さんは昨シーズン左脚の複雑骨折により1年間の欠場を余儀なくされた。
欠場で考え抜いたフィットネスの原点
「身体と心の試練に直面した1年でした。負傷箇所だけでなく全身の筋肉が弱り、出産以来のぎっくり腰が再発するなど、次々と身体の不調が出て、全身はつながっているんだと改めて実感しました。理屈では上半身のトレーニングは可能なはずでしたが、心が追いつかず上手くいきませんでした」
人生で初めて食欲の乱れも経験したと語る。
「身体が本能で欲する感覚を初めて知りました。生きてきたなかで『食べたいものを我慢する』という感覚がなかったのですが、甘いものが食べたいという欲求がふつふつと湧いてきました。自分の身体の声を大切に聞くようにしているので、これは必要なことなのだと思い欲求に応えました」
こうした休養中の生活変化により体重は前年から5kg増えたが、西村さんはこれを前向きに捉えているという。
「筋肉が一旦リセットされたことで、体型の左右差が解消しました。また、休養中もヨガと一水空は行っていたので、上半身のコントロール力は以前より増しました。一番の変化は、脂肪がついたことで今までよりも『女性らしい肉体』になりました。ずっと痩身であることへの固定観念があったので、不可抗力でなければ、この自分には出会えなかったと思います。自分の身体が以前より愛おしく大切にありがたく思えて、心と身体が両思いでつながったような気持ちになりました。自分にとって必要な体験だったんだなと思いました」
西村さんはこの変化を「神様がくれたおやすみの時間」と呼んでいる。
地元金沢で再起、仲間と地域にエールを
6月1日、西村さんは能登半島地震の影響が残る金沢大会で復帰戦を迎える。その胸中には様々な決意がある。
「コンテストに出る方は、怪我や不調で欠場すると努力が泡になったと悲観し、やめてしまう人も多いです。私が再起した姿を見せることで、そういう方々に勇気を与えたい。そして、まだ震災の影が残る地元・金沢で活躍することで地域を元気にしたい。初心に帰り、全力でコンテストを楽しみます」
取材:にしかわ花 撮影:西村弘美
『IRONMAN』『FITNESS LOVE』『月刊ボディビルディング』寄稿。広告・コピーライティング・SNS運用。ジュラシックアカデミーでボディメイクに奮闘している。
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