近年、メキメキと頭角を表す期待の星たち。昨年から今年にかけて、「ファイナリスト」という壁を越えるために、 どんなことをしてきたのだろう。彼らの戦術の中に、「成長の秘密」が見えるかもしれない
取材・文:小笠拡子 Web構成:中村聡美
壁を超えるためのカギ
フォームの安定ありきでBIG3の使用重量を増やす
藤井貫太朗 2025年日本クラス別75kg以下級優勝

撮影:中原義史
Q.課題に感じていたことは?
厚み
細かな部位で言うと、胸部・上背部・僧帽筋あたりの厚みや腕の筋肉量が少ないと感じています。仕上がり体重は2~ 3kg増えていれば、1年通してしっかりトレーニングに取り組めたのかな、と。
Q.自分の身体を最も成長させてくれたのは?
BIG3
かなり大切にしたのは、がむしゃらに挙げるのではなく減量末期を見越して、オフの時期からフォームを安定させたうえで、重量を増やしていくこと。昨年のオフは、がむしゃらに重量を増やせるだけ増やすという感じだったので、かなり意識が変わりましたね。現時点で昨年の仕上がり体重と比べて、約2.5kg体重が増えています。
Q.トレーニング面で注力してきたことは?
使用重量の増加
去年に引き続き、BIG3やフリーウェイト種目の使用重量を上げていくことに最も重きを置いてトレーニングをしています。昨年と比べてスクワットは5RMで170kgから185kg、デッドリフトは5RMで200~210kgから235kgに伸びました。減量期においては、正直、増量期のMAXのときと比べるとレップ数が落ちてはいるのですが、持っている重量に関しては維持できています。これは仕上がり体重の増加に直結すると考えています。
Q.食事面で変えたことは?
高カロリー摂取で体重を増やした
昨年のオフでは最大の体重が83kgぐらいだったんですが、今年は87kgまで増やすことができました。カツ丼やカレー、ラーメンをはじめ、高カロリーなものを気にせず食べたんです。毎年クリーンな食事でオフ期も過ごしていたのですが、なかなか量が食べられなくなっていたので……(笑)。「ボディビルで高みを目指すため」に、必要なこととして取り組みました。
Q.そのほか、変えたことや尽力してきたことは?
ケア面
自分に必要なメンテナンスやケアが明確になり、行っていることの質が上がりました。相澤隼人さんのポージングレッスンで胸郭を引き上げる重要性を教えていただいて、自分なりにエクササイズやコンディショニングを行っています。また、個人的な癖としてはお尻周りや腰周りに負担がたまりやすいのと、胸郭の使い方が少し苦手で固いので、そういう部分のストレッチに取り組んでいます。半年ほど前から整体院などに積極的に行き、信頼できる方の言うことを実践するようになりました。ストレッチもその先生から教わったものです。
Q.一番の強みは?
やり残したことがないように、毎日をちゃんと積み重ねていること
ふじい・かんたろう
1995年生まれの30歳、大阪府在住。身長168cm、体重71~72kg(オン)、87kg(オフ)。現在は大阪の完全会員制ジム『ReXeR』にてパーソナルトレーナーとして活動中。最近のビッグニュースは「我が子の誕生」。主な戦績:2024年JBBF日本クラス別ボディビル選手権70kg以下級2位、2025年JBBFジャパンオープン優勝。2025年JBBF日本クラス別ボディビル選手権75kg以下級優勝