「肩幅ガンダム」——。全体的に骨格が大きく、特に肩幅が広かったことからそう呼ばれ、華奢な体型に憧れていたIT系企業勤務の林田佳恵(はやしだ・かえ/31)さんは「骨格は変えられないんだ……」と絶望的な気持ちになっていたという。しかし今ではその大きなフレームを武器に変え、9月15日(月・祝)に開催された『マッスルゲート茨城大会』ビキニフィットネス一般の部で、初挑戦ながら1位に輝いた。
食べないダイエットから「継続する力」へ
かつては“食べないダイエット”に取り組み、体重は落ちたものの仕上がった身体は骨と皮のようで不健康そのもの。さらにすぐにリバウンドした。「痩せれば華奢になれる」と信じていたが、現実には憧れの体型にはならず、肩幅は変わらなかった。
そんな林田さんを変えたのがボディメイクとの出合いだった。大会出場に向け、トレーニング・食事管理・ポージング練習をコツコツ積み重ねたことで「続ければちゃんと結果が出る」という成功体験を得た。三日坊主タイプだと自覚していたが、「継続することの力と面白さ」を知り、大きな心境の変化につながった。
目指しているのは「筋肉・脂肪・骨格のバランスが取れた身体」。華奢にはなれないが、大きなフレームを生かして肩幅・ウエスト・ヒップのメリハリが際立つダイナミックな身体を作ろうとしている。「筋肉も脂肪もどちらも大切にして、どちらかだけを極端に追い求めすぎないことを意識しています」と語る。
トレーニングにおいては「ここが得意」と胸を張れる部位はまだないとしつつも、最近は背中を褒められることが増え、自信につながっているという。フォームを重視し、中重量で丁寧に効かせることを大切にしている。
父の死が背中を押した挑戦 「今やろう」と決意
ボディメイクでのこだわりは「ストレスを溜めないこと」と「よく寝ること」。減量やトレーニングに追われても「全部自分がやりたくてやっていることだから楽しもう」と前向きに取り組んだ。睡眠不足が苦手なため、疲れたときは思い切って休み、しっかり眠ることも大切にしている。
今回の優勝について「ビキニフィットネス初挑戦でまさか優勝できるとは思わなかったので、本当にびっくりしましたが、うれしかったです!」と声を弾ませた林田さん。
筋トレを始めたきっかけは、リモートワークによる運動不足と過食で太ったことから。最初はダイエット目的でジムに通っていたが、大会出場の決意を固めたのは父の死だった。健康そのものだった父が突然末期がんと診断され、わずか3カ月半で亡くなった。「いつかやりたいと思っても、いつかは来ないかもしれない」と痛感し、「今やろう」と決めたという。
最後に背中を押したのは夫だった。「一緒に大会に出よう」と誘われ、日々のジム通いや食事管理も励まし合いながら乗り越えた。現在は週5〜6日、1回1〜1.5時間のトレーニングを継続し、身体と心を磨き続けている。
【マッスルゲートアンチドーピング活動】
マッスルゲートはJBBF(公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟)とアンチドーピング活動について連携を図って協力団体となり、独自にドーピング検査を実施している日本のボディコンテスト大会である。
取材・文:FITNESS LOVE編集部